京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-「如意輪観音坐像」+「醍醐花見短冊」
美術展ニュース

癒しの仏像も!桜の名所・醍醐寺の名宝が集結。六本木のサントリー美術館で「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」

更新日:2018/08/13

豊臣秀吉がゴージャスな花見を行ったことでも有名な京都・山科盆地にある醍醐寺(だいごじ)。1100年以上の歴史を持ち、寺には本格的な密教美術の数々が伝わっている。六本木・サントリー美術館の「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」では、そんな醍醐寺に伝わる仏画や仏像などの美術品や貴重な史料・書跡など選りすぐりの名宝約100件を紹介。濃密な密教美術の世界を体感しながら、千年の歴史に思いを馳せて。

左/重要文化財「如意輪観音坐像」平安時代、醍醐寺蔵、画像提供:奈良国立博物館、撮影:森村欣司 右/重要文化財「醍醐花見短冊」安土桃山時代、慶長三年(1598)、醍醐寺蔵

京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-「醍醐寺縁起」
国宝「醍醐寺縁起」江戸時代、醍醐寺蔵、画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔

天皇の流れをくむ僧・聖宝が開いた醍醐寺に歴代天皇も協力

2018年9月19日(水)から11月11日(日)まで、六本木・サントリー美術館では「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」を開催。醍醐寺の約15万点にのぼる寺宝のなかから、国宝約35件、重要文化財約50件を含む約100件を展示する。

2016年に醍醐寺の名宝が海を渡り、中国(上海・西安)で展覧会を開催した時にはのべ80万人以上が来場したそう。大好評を博した中国展開催を記念して開かれる今回の展覧会も、見どころいっぱい。

「醍醐寺の始まり」に注目した章では、醍醐寺を開いた僧・聖宝(しょうぼう)の坐像や伝記、醍醐寺の歴史について書かれた国宝「醍醐寺縁起」などを展示。もともと聖宝は天智天皇の流れをくむ家柄のプリンスで、その後、醍醐寺は醍醐天皇をはじめ歴代天皇の協力を得て整えられていったとか。そんな草創期の思い出を偲ぶ名品を見ることができる。

京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-「如意輪観音坐像」+「薬師如来」
左/重要文化財「如意輪観音坐像」平安時代、醍醐寺蔵、画像提供:奈良国立博物館、撮影:森村欣司 右/国宝「薬師如来坐像」平安時代、醍醐寺蔵、画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔

さまざまな願いに応える儀式の本尊は仏像・仏画の名品たち

また、真言宗醍醐派の総本山である醍醐寺は、真言密教のうちでも加持祈祷(祈り)や修法(すほう:儀式)などの実践を重んじて、その効験(こうけん:効き目)によって多くの天皇や貴族たちの心をつかんだという。

この祈りの儀式に欠かせないのが、彫刻や絵画、修法に用いる仏具、手順などを記した文書など。第2章となる「真言密教を学び、修する」では、仏像と仏画の名品を中心に紹介する。

国宝の「薬師如来坐像」や重要文化財の「如意輪観音坐像」など、平安時代の仏像彫刻の名品は、どちらも人々の願いを聞いてくれそうな穏やかな表情。いにしえの人々も、この表情に信頼を寄せたのかも。

京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-「不動明王」
左/国宝「五大尊像のうち不動明王」鎌倉時代、醍醐寺蔵、画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔 右/重要文化財「五大明王像のうち不動明王」平安時代、醍醐寺蔵

弘法大師・空海によって広まった密教は、それまでの日本仏教になかった“さまざまな願いに応じる”ための儀式などが特長。空海直系の弟子だった聖宝が開いた醍醐寺の寺宝を見れば、醍醐寺が人々の願いに応えて千年以上も修法を続けてきたことが実感できるはず。

また、醍醐寺では仏像仏画の研究もさかんに行われていて、それらの設計図とも言える「白描図(はくびょうず)」が展示されるのも見どころのひとつ。今回は料紙に墨の線だけで描いた白描図も多数展示されるので、実際の絵や彫刻と見比べてみるのもおもしろそう。

京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-「秀吉」+金天目茶碗
左/「豊臣秀吉像」江戸時代、醍醐寺蔵、画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔 右/「金天目および金天目台」安土桃山時代、醍醐寺蔵、画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔

華麗な桃山文化の象徴!秀吉の「醍醐の花見」にちなむ品も

創建以来、天皇や貴族、そして室町幕府の武士などの帰依によって栄えてきた醍醐寺も、戦国時代を生んだ「応仁の乱」(1467年)によって荒廃してしまう。その後、16世紀末に第80代座主となった義演は、豊臣秀吉らの保護を受けて寺の復興を進めることに。

平安時代から「花の醍醐」と呼ばれた桜の名所だけに、復興して整備された寺では秀吉が歴史に名を残す「醍醐の花見」(慶長3年・1598年)を開催。秀吉は花見に合わせて京都周辺から集めた700本の桜を植え、宴には1300人以上が参加したというから、当時の華麗な桃山文化がしのばれる。

会場では、そんな桃山文化を象徴する美術品や、金銀に彩られた豪華な襖絵や絵画なども展示。開山から近世までの醍醐寺の繁栄を伝える寺宝とともに、密教の世界観や古都・京都の歴史を一緒に楽しんで。

また、関連イベントとして9月26日にはイラストレーターのみうらじゅん氏と作家・クリエーターのいとうせいこう氏による「仏像大使トークショー」もあるので、仏像に興味のある人はこちらもチェックを。

京都・醍醐寺-真言密教の宇宙- ポスター

イベントDATA

イベント名
京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-
開催場所
サントリー美術館
会期
2018/9/19(水)?11/11(日)
開館時間
10:00~18:00
※金・土および9/23(日・祝)、10/7(日)は20:00まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日
火曜
※ただし11/6(火)は18:00まで開館
※shop×cafeは会期中無休
入館料(前売料金)
一般1500円(1300円)、大学・高校生1000円(800円)、中学生以下無料
※前売券の販売は9/18(火)まで、サントリー美術館受付での前売券販売は9/2(日)まで

割引(下記の適用で各当日料金から100円割引)
 WEB割:美術館ウェブサイト限定割引券提示
 携帯割:携帯サイトの割引券画面提示
 あとろ割:国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示
 団体割引:20名以上の団体
関連イベント
「仏像大使トークショー」
出演 みうらじゅん(イラストレーター)、いとうせいこう(作家、クリエーター)
日時 2018/9/26(水)19:00?20:00(受付18:30?)
会場 ベルサール六本木
定員600名(全席自由)
「京都・醍醐寺展」仏像大使トークショーセット券 3000円
ホームページ
京都・醍醐寺-真言密教の宇宙- 特設サイト
サントリー美術館 外観

サントリー美術館

電話番号
0334798600 0334798600
住所
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F? Map
交通アクセス
都営地下鉄大江戸線「六本木駅」出口8より直結、東京メトロ日比谷線「六本木駅」より地下通路にて直結、千代田線「乃木坂駅」出口3より徒歩3分
(c)木奥恵三

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NAOKO YOSHIDA (はちどり)

※記事は2018年8月13日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります