ルーベンス展~バロックの誕生@国立西洋美術館 クララ+マルスとシルウィア
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上野の国立西洋美術館で「ルーベンス展―バロックの誕生」開催。壮麗なバロック美術を堪能して

更新日:2018/10/29

日本では名作アニメ「フランダースの犬」で、主人公ネロが一目見たいと願い続けたことで知られる祭壇画。その作者であり、17世紀ヨーロッパを代表する画家・ルーベンスの作品を、バロック美術の中心地・イタリアとのかかわりの中で紹介する「ルーベンス展―バロックの誕生」が、2018年10月16日(火)から2019年1月20日(日)まで、国立西洋美術館で開催される。壮麗なバロック美術の名品を、堪能して。

ルーベンス展~バロックの誕生@国立西洋美術館 《セネカ》+アグリッピナとゲルマニクス
ペーテル・パウル・ルーベンス《セネカの死》1615/16年 油彩/カンヴァス マドリード、プラド美術館(C)Madrid, Museo Nacional del Prado 

古代彫刻やイタリア美術への憧れを物語る作品たち

スペイン領ネーデルランド(現在のベルギー)で育ったルーベンスは、若い頃から憧れだったイタリアに滞在して、古代美術やルネサンス美術を学んだという。

そこで、ルーベンスが古代彫刻や16世紀の作品について、模写や研究を行った成果を展示。《セネカの死》は、濡れ衣を着せられた古代ローマの哲学者セネカが皇帝に自殺を命じられた場面で、凛とした哲学者の表情を見事に描いている。

ルーベンス展~バロックの誕生@国立西洋美術館 《眠るふたりの子供》
ペーテル・パウル・ルーベンス《眠るふたりの子供》1612-13 年頃 油彩/板 東京、国立西洋美術館

相手の姿や眼差しへの愛情が感じられるさまざまな肖像画も

また、ルーベンスは家族や近しい人々を描いた、さまざまな肖像画も残している。

《眠るふたりの子供》は、ルーベンスと仲のよかった兄・フィリプスの子供たちがモデル。この絵と同じ頭部の表現が、宗教画の中で天使や幼いイエスとなって登場する作品もあるそう。兄は早くに亡くなったため、ルーベンスは甥や姪の後見人になっていて、この絵からも子供たちに対する愛情が伝わってくる。

ルーベンスの長女・クララを描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》は、父親に見せる幼い娘の天真爛漫な笑顔がかわいい。

ルーベンス展~バロックの誕生@国立西洋美術館 《パエトンの墜落》
ペーテル・パウル・ルーベンス 《パエトンの墜落》1604-05年頃、おそらく1606-08年頃に再制作 油彩/カンヴァス ワシントン、ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art,Washington,Patron's Permanent Fund,1990.1.1

スピード感のある早い筆さばきで、生き生きと濃密な動きに

ルーベンスの早い筆さばきは、絵のテーマとなる物語の一場面を生き生きと伝えながら、濃密な動きをしっかりと伝える力も備えている。

《パエトンの墜落》は、太陽神アポロの息子であるパエトンが父親に頼み込んで太陽の馬車を走らせるけれど、軌道を外れたために地上が太陽の熱に焦がされ、最後には最高神ユピテルによって雷に打たれて墜落してしまう神話。こちらは、ルネサンス期とバロックの時代に好まれたテーマ。

ルーベンスは早い筆致で躍動感あふれる画面を描き出しているものの、よく見ると描き直しの部分も多く、何度も何度も考え熟慮を重ねて構図を練ったことが分かる。

ルーベンス展~バロックの誕生@国立西洋美術館 《エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》
ペーテル・パウル・ルーベンス《エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》 1615-16 年 油彩/カンヴァス ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション (C)LIECHTENSTEIN. The Princely Collections,Vaduz-Vienna

神話や古代文学の知識も豊富な「王の画家にして画家の王」

会場では、ルーベンスの描いた神話のテーマを、古代彫刻とともに展示する。ルーベンスは、美術についてはもちろん、古代彫刻などでテーマとなった神話にも精通し、考古学者とも対等に議論できるほどの知識があったそう。

《エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》は、カゴに入った大地の子・エリクトニオスを、アッティカ王の娘たちが見つけるという神話の1シーンを描いたもの。3人の娘たちの姿は、古代彫刻に血を通わせたような豊かな肉体表現となっている。

宮廷画家としても活躍し、後に「王の画家にして画家の王」と呼ばれたルーベンスの、存在感あふれる傑作を楽しんで。

ルーベンス展~バロックの誕生@国立西洋美術館 ランチ
Turandot 臥龍居「コラボランチメニュー」3024円 ※写真は、鶏肉をメインにしたメニュー、10月16日(火)~11月16日(金)提供

中華の有名シェフが作品からヒントを得たコラボメニューも

会期中は、国内外で高い評価を集める中国料理の脇屋友詞シェフがルーベンス展の出品作品にインスピレーションを受けて考案した「コラボランチメニュー」(3024円)がいただける。

赤坂の「Turandot 臥龍居(トゥーランドット ガリュウキョ)」で提供されるメニューには、食品メーカー・シュガーレディのオーガニック食材や季節の野菜などが使われていて、素材にもこだわっている。 メニューは3種類あり、1カ月ごとに入れ替わるので、それぞれの味を楽しむのもよさそう。

アート性を感じさせるおしゃれな盛り付けの前菜、旬の食材の甘みや旨みをいかした味わい、多彩な調理法によるバラエティの豊かさなど、盛りだくさんのメニューはまさにお値打ち。ルーベンスの名作とともに、おいしい秋の実りを満喫して。

イベントDATA

イベント名
ルーベンス展―バロックの誕生
開催場所
国立西洋美術館
会期
2018/10/16(火)?2019/1/20(日)
開館時間
9:30?17:30
※金、土は~20:00 ただし11/17(土)は17:30まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日
月曜日(ただし12/24、1/14は開館)、12/28(金)?2019/1/1(火)、1/15(火)
入館料
一般1600円、大学生1200円、高校生800円、中学生以下無料
コラボランチ
メニュー「ルーベンス展コラボランチ」3024円
会場:Turandot 臥龍居 東京都港区赤坂6-16-10(TEL 03-3568-7190)
2018/10/16(火)~11/16(金)(鶏肉をメインにしたメニュー)
2018/11/17(土)~12/16(日)(豚肉をメインにしたメニュー)
2018/12/17(月)~2019/1/20(日)(牛肉をメインにしたメニュー)
ホームページ
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※記事は2018年10月29日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります