【SDGs】リサイクルとは?リデュース、リユースを含めた3Rについてや、すぐできること、おすすめのサービスなどを専門家が解説

【SDGs】リサイクルとは?リデュース、リユースを含めた3Rについてや、すぐできること、おすすめのサービスなどを専門家が解説

サステナブルチャレンジとは?

オズモールとはじめる、SDGsアクション。小さな“サステナブルチャレンジ”から始めてみませんか? 2018年度のごみ総排出量は年間4272トン。これは東京ドーム約115杯分もの量だとか。埋め立てる土地にも限界があり、ごみを燃やすと発生するCO2により地球温暖化が加速する原因にも。今回はごみを減らすために有効な3R(リデュース、リユース、リサイクル)についてや、すぐできることなどを家庭科教諭・葭内ありさ先生が徹底解説。

更新日:2024/04/16

リサイクルって?家庭科教諭・葭内ありさ先生が解説

「3R」のひとつであるリサイクル。リデュース、リユースとはなにが違うの?

「3R」のひとつであるリサイクル。リデュース、リユースとはなにが違うの?

ごみを減らすためのキーワードとして「3R(スリーアール)」という言葉を聞いたことがある人も少なくないと思います。「3R」とはReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つの頭文字をとった言葉。

「リデュース」はごみの量そのものをできるだけ減らすこと。
「リユース」は一度使ったものをごみにしないで再利用すること。
そして「リサイクル」はごみを回収し、再び原材料として有効利用することです。

日本では、プラスチックは90%以上が回収されています。ただそのうちペットボトルなど”新しいもの”に生まれ変わるリサイクルは25%くらい。残りの57%はプラスチックを燃やした熱を温水プールなどに活用する「サーマルリサイクル」(熱回収)で、未利用のまま処分されるのが18%(焼却10%、埋め立て8%)です(※)。

海外では、ごみを燃やして消滅させるサーマルリサイクルはリサイクルには含めませんが、日本ではサーマルリサイクルもリサイクルに含めて考えているのが現状です。

※出典:「マテリアルリサイクルによる天然資源消費量と環境負荷の削減に向けて」(平成28年3月 環境省)

リサイクルはなぜ今話題なの?

リサイクルはなぜ今話題なの?

今、ごみ問題は非常に深刻な状況です。2018年度のごみ総排出量は年間4272トン。これは東京ドームに換算すると約115杯分もの量です。
ごみがこれ以上増え続けたら、埋め立てる土地もすぐ満杯に。

また、ごみを燃やすと発生するCO2により地球温暖化が加速する原因にも。
ごみ処理場の問題もあります。ごみ処理場は30年くらいしか使えないのですが、例えば40万人の都市でも新たに作るのに100億円くらいかかります。

世界的に人口が増加している中、資源が不足することも懸念されています。

そのため、リデュース、リユース、リサイクルをして、循環型社会にしていくことが喫緊の課題なんです。

リデュース、リユース、リサイクルをするメリットは?

リデュース、リユース、リサイクルをするメリットは?

「3R」のなかで、いちばん大切なのがリデュース。そもそもごみを出さないのがいちばんですよね。
ですから不要なものは買わず、今あるものを長く使う意識を持っていただけるとよいかなと思います。エコバックを持参してレジ袋を断る、過剰包装してもらわないなどもリデュースの一環です。

また、元の形のままもう一度使うリユースも、無駄なエネルギーがかからない有効な方法。たとえ壊れていたとしても、修理したら使えるかもしれません。それもリユースになります。
例えばプラスチックはリサイクルするために燃やして溶かされるのが一般的ですが、そうするとCO2が出ますから、元の形のまま利用するのがいちばんなんです。

服を購入する際は、本当に気に入った服を買うようにして、繰り返し大切に着たり、古着を買うというのはリユースとなり、ごみを減らす上でも環境面でも効果的です。

そして最後の手段がリサイクルです。リサイクルとして処理し、新しいものに生まれ変わることで、新たな資源を使う必要がなくなります。
購入する時から、素材や形などがリサイクルしやすいかどうか、考えるといいでしょう。
これらを1人ひとりが意識することで、ごみが資源として生かされる社会になっていくんです。

リサイクル商品にはどんなものがある?

リサイクル商品にはどんなものがある?

最近は、色々な新しい技術により、不要になった原料を使った新たな商品が生まれています。

例えば、「アディダス」は100%リサイクル可能なランニングシューズを開発しました。単一素材でできており、接着剤も不使用。寿命を迎えたシューズをアディダスに返却すると、洗浄後に分解され、新しいシューズの部品用の素材として溶かされるそう。
こんなふうに、つくる段階からリサイクルすることを考えたものづくりをする事業者も増えてきています。

また、家庭内のごみで一番出る生ごみはコンポストに入れて堆肥にするのも立派なリサイクルです。
私は「LFCコンポスト」というバッグ型のコンポストを愛用していて、生ごみをリサイクルしてできた堆肥を使って野菜を育てています。生ごみを捨てずに済むと気持ちいいし、野菜が育つと嬉しいし楽しいですよ。

リサイクルを取り入れよう!家庭科教諭・葭内ありさ先生が解説

ごみを正しく分別する

ごみを正しく分別する

日本では1993年に環境基本法、2001年に循環型社会形成推進法が施行され、いわゆる3R、天然資源の消費抑制、環境負荷の低減などが言われるようになりました。この法律の下に廃棄物処理法やリサイクル推進法などがあり、家電、建築物、自動車、食品などのリサイクルの仕方などが決められています。

まずはお住まいの自治体のルールに則って、ごみをしっかり分別しましょう。
民間の無料の資源回収業者の中には、不要なものをきちんと処理せずに不法投棄してしまうことも。粗大ごみは自治体に出すようにしましょう。
そして、リサイクルに回す場合は汚れも気にしたいところです。次のものに生まれ変わりやすいよう、油を拭いてきれいに洗ってからリサイクルしてくださいね。

ごみを再生して作られた製品を選ぶ

ごみを再生して作られた製品を選ぶ

最近増えてきているのが、アップサイクルです。不要になったものをリサイクルして、デザインなどの力で価値を高めたものをアップサイクルと言います。
例えば以前は繊維をリサイクルすると、品質の面でレベルが下がるのが通常でした。でも今は、技術の進歩で品質を下げることのない繊維に作り替えたり、デザインなどの付加価値がついた魅力的なアップサイクル品を作るブランドも増えています。

先程のアディダスの例もそうですが、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄のモデルから、今まで廃棄されていたものを資源として循環させていく考え方を「サーキュラーエコノミー」と言います。「3R」だけでは立ち行かなくなってきた今、注目を集めている考え方です。

何かを買うときに、こういったリサイクル前提の商品を選ぶだけでも、ごみ削減に貢献できますよ。

おすすめのリサイクルサービス

おすすめのリサイクルサービス

衣類なら資源回収に出すほか、寄付という選択肢も。
古着を寄付することで開発途上国にワクチンを送れるサービスなどもありますし、タオル類なら、犬や猫の保護団体が寄付をつのっているケースも。
まだ着られる、使えるものであれば、寄付できるサービスがないかぜひ検索してみてください。
ただ、寄付する場合は、補修や洗うなどしてきれいにしてからお渡しするのが礼儀。人に差し上げる気持ちで寄付をしましょう。

そのほか資源を大切に使う方法は?

そのほか資源を大切に使う方法は?

最近ではカーシェアリング、家電、家具、服などのシェアリングなどのサービスも増え、持たずにシェアするのもひとつの方法。
買う前に、レンタルできないかも確認してみてください。

そのほか、不要になったものはフリーマーケットサイトで売る、リサイクルショップに持っていくなどは、すでに行っている人も多いかと思います。捨てる前にリサイクルできないか、必要としている人がいないかを考える意識がまず第一歩です。

【随時更新】あの人に聞いた、リサイクルのアイデア

【包装作家・正林恵理子】牛乳パックやあき箱など使用済み紙モノを使って収納グッズにリサイクル

『もっとエコ・ラッピング〜思わず誰かにプレゼントしたくなる』の著者で、包装作家の正林恵理子さんに、普段は捨ててしまうような物を素敵にアレンジしたデスク周りの収納グッズの作り方を教えてもらいました。牛乳パック&紙袋のバッグやダンボールで作るファイルなど、センス光るリサイクル術をチェックして。

【フラワーサイクリスト・河島春佳】廃棄されてしまうお花を使った小物づくり

ロスフラワーとは、廃棄予定のお花のこと。自然の美しさを愛でる気持ちで暮らしにお花を取り入れてみるのが、ロスを減らす近道に。フラワーサイクリスト河島春佳さんが教える、お花を使ったインテリア小物づくりのアイデアをご紹介。見切り品コーナーのお花を購入したり、お部屋に飾ってある生花をより長く楽しむために工夫するのも、地球にやさしい心がけ。簡単にできる手軽なスワッグづくりも、動画で紹介しているのでぜひチェックしてみて。

リサイクルに取り組む企業、商品、スポット

青森県の廃棄される野菜をリユースして作られた「おやさいクレヨン」

和歌山県・熊野川流域の間伐材を有効活用。生育のために伐られた木から抽出したエッセンシャルオイル

廃棄・パラグライダーから生まれた、カラフルで丈夫なバッグ「HOZUBAG」!SDGs未来都市・亀岡で誕生

かまぼこ板製造の技術力を生かした新発想!大分県の日田杉を使った繰り返し使えるストロー

脱プラスチックと森林保全に貢献できる竹のストロー。島根県安来市で誕生

良質な木灰を作るときに出る灰汁を無駄なく活用。京都に伝わる温故知新なエコ洗剤

岐阜県のミツロウ、奄美大島の天然染料で作られたプラゴミ削減につながるミツロウラップ

宮城県丸森町の養蜂園で持て余していたミツロウを活用。繰り返し使えるミツロウラップに

廃棄されるりんご箱から生まれた、“りんご愛”あふれるアップサイクル家具。青森県北津軽郡で誕生

繰り返し使えて環境にも優しいエシカルグッズ5選

おしゃれで地球にもやさしい、エシカル素材のエコバッグ3選

家庭科教諭・葭内ありさ先生が解説!リサイクルのQ&A

最近よく耳にするリサイクルという言葉。でも、「どういう意味?」「リサイクルとリデュース、リユース、リメイク、アップサイクルの違いは?」「リサイクルですぐにできることを教えて!」など、わからないことや知りたいことがまだまだいっぱい。そこで家庭科教諭・葭内ありさ先生がみんなの疑問にわかりやすくお答えします。

リサイクルってなに?

「リサイクル」はごみを回収し、再び資源に戻して有効利用することです。

例えば、牛乳パックを回収して溶かしてトイレットペーパーなどにする、ペットボトルからカーペットを作るなどがリサイクルです。ガラスびんやアルミ缶のように、また同じ種類の製品になることもあります。

リサイクルとリデュース、リユースの違いはなんですか?

Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)と合わせて「3R(スリーアール)」と言われ、ごみを減らすために持っておきたい意識のひとつです。
ただ、一番大事なのはごみの量そのものをできるだけ減らす「リデュース」。
次に、一度使ったものをごみにしないで再利用する「リユース」を考えたいところ。
最後の最後に「リサイクル」をするという心構えが好ましいです。

リサイクルできるものはなに?

リサイクルできる代表的なものには、ガラス瓶、スチール缶、アルミ缶、ペットボトル、紙などがあり、新しい技術のおかげで、そのほかにもリサイクルできるものが増えています。
また、自動車、家電製品、パソコンなどもリサイクルに回すことが法律で決められています。これらの製品も、鉄、銅、アルミ、ガラス、レアメタルなど多くの資源が使われており、有効に利用する必要があるのです。

リサイクルで、すぐできることを教えてください

まずは不要なものは買わない、パッケージされていないものを選んだり、包装も断るなど、ごみを出さない工夫が第一です。これをリデュースと言います。ペットボトルは1人年間180本くらい消費するそうです。ペットボトルに入った飲料を買うのを控えて紙パックを選んだり、マイボトルを持ち歩くだけでも、1人でも随分プラスチックのリデュースができますね。
買うときには、処分するときのことまで想像してみるといいですね。

次に、使えるものは長く使う、壊れていたら修理する。必要な人に差し上げる・寄付する、フリーマーケットサイトで売るなどして、リユースを考えてください。

それでも処分するしかない場合は、リサイクルできるものはリサイクルに回しましょう。リサイクルする際は、きれいに洗った上で、瓶、缶、ペットボトル、紙、プラスチック等と分別してください。
生ごみは家庭用のコンポストを利用するのも方法です。
身近にできることはたくさんあるので、ぜひ今日から始めてみてください。

取材協力・監修/お茶の水女子大学附属高等学校教諭・葭内ありさ先生

取材協力・監修/お茶の水女子大学附属高等学校教諭・葭内ありさ先生

お茶の水女子大学附属高等学校教諭、お茶の水女子大学非常勤講師、エシカル・ラーニングラボ代表。児童労働やフェアトレード、環境問題などを家庭科の授業で取り上げ、現在はエシカルファッションやSDGs、サイエンスをテーマにした授業を展開。 学会活動や教育関係者向けワークショップを通して、エシカル教育の普及に努めている。消費者庁「倫理的消費」調査研究会委員などを歴任。高校家庭科教科書(東京書籍)編集委員、日本エシカル推進協議会発起人。NHK高校講座「家庭総合」監修・講師。

こちらもチェック!オズモールとはじめるSDGsアクション「#サステナブルチャレンジ」

SDGsと言われても「それって何なの?何から始めればよいの?」と、難しく考えてしまう人も多いはず。でも実は、毎日の暮らしのなかにヒントがたくさんあるんです。食材をムダなく活用するのも、エコバックを持ち歩くのも、サステナブルなSDGsアクションのひとつ。そこでオズモールでは、楽しみながら始められる「#サステナブルチャレンジ」をガイドしていきます。ぜひ参考にして、できることから始めてみて。

WRITING/KIMIKO OHKATSU

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※記事は2024年4月16日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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