コウノトリ米、コウノトリ育むお米、コウノトリ育む農法、コシヒカリ、つきあかり、兵庫県、豊岡市

自然と共生する、兵庫・豊岡の「コウノトリ育むお米」~注目の新品種はこうして誕生した。No.012

更新日:2024/02/29

市場を席巻する人気のぶどう、シャインマスカットのように、末永く愛されるヒット品種を―。上の写真の、つややかな炊きたての白米は「コウノトリ育むお米」です。近年、各地にコウノトリとの共生を掲げる農業が登場していますが、その元祖が兵庫県豊岡市の、このお米であることをご存じですか? かつて絶滅したコウノトリが、今再び大空を舞う豊岡市へ。お米や米粉スイーツを買える、おすすめスポットもご紹介!

コウノトリ米、コウノトリ育むお米、コウノトリ育む農法、コシヒカリ、つきあかり、兵庫県、豊岡市
取材中に運よくコウノトリを発見! 豊岡市立コウノトリ文化館そばの人工巣塔にて。春に向けて巣を整えているのか、左のコウノトリは小枝の束をくちばしにくわえていた

豊かな生態系を未来に!
豊岡の「コウノトリ育むお米」

「コウノトリ “も” 生きていけるということは、人間にとってもいい環境である、ということのバロメーターなのです」

兵庫県豊岡市の米生産者、村田憲夫(むらたのりお)さんに「コウノトリ育む農法」に取り組むわけを尋ねると、そう返ってきました。

コウノトリは、羽を広げると2メートルにもなる大型の鳥。このあたりでは古くは「ツル」と言えばコウノトリを指したそうで、田んぼでエサを獲り、樹上に巣を作ってヒナを育てる姿は、故郷の原風景として親しまれてきました。

コウノトリ米、コウノトリ育むお米、コウノトリ育む農法、コシヒカリ、つきあかり、兵庫県、豊岡市
試食させてもらった、炊きたての「コウノトリ育むお米」。この日のお米の種類は「つきあかり」。さっぱりとして食べ飽きないおいしさ

ところが、明治時代以降の乱獲や戦後の経済成長期の環境破壊により数が激減。日本で最後の1羽は、1971年に村田さんの田んぼがある一帯で確認されました。

案内してもらうと、冬にもかかわらず満々と水を湛(たた)えた水田が広がっています。聞けば、秋の稲刈り後に米ぬかなどを土にすき込み、水を張ることで、イトミミズなどの土壌生物の活動が盛んになり、翌夏に雑草が生えにくくなるそうです。

農薬や化学肥料に頼らず、こうした水の管理や土作りを工夫する農法は、人工繁殖の取り組みの末にコウノトリの野生復帰に成功した2005年の少し前から、豊岡の生産者たちが苦労して確立してきたもの。

コウノトリ米、コウノトリ育むお米、コウノトリ育む農法、コシヒカリ、つきあかり、兵庫県、豊岡市
水を湛えた田んぼを背に、JAたじま コウノトリ育むお米生産部部会長の村田憲夫さん。「コウノトリ育む農法」で無農薬と減農薬のコシヒカリ、無農薬のつきあかりを生産

コウノトリは当地の生態系の頂点捕食者であり、「コウノトリ育む」という言葉には、エサとなるドジョウやフナ、カエルやヘビ、野ネズミなどの魚や小動物を含む、豊かな生態系を未来につなごうという想いが込められているのです。

炊きたてを味わうと、粒感が際立つ食べ応えと豊かな米の風味。
「農家の努力が実り、おいしさも理想に追いついてきました。学校給食でも評判がいいんですよ」

そう話す村田さんの笑顔が素敵でした。

炊きたての「コウノトリ育むお米」。大粒の粒揃いのよさも魅力

PICK UP! >> コウノトリ育むお米

コウノトリのエサとなる魚や小動物が生息できるように、農薬や化学肥料に頼ることなく、おいしいお米と多様な生物を同時に育む「コウノトリ育む農法」で育てたお米。大きめの1.9mmの網目で選別した粒揃いのよい食感と、すぐれた食味が魅力。

豊岡市は、1965年から兵庫県とともにコウノトリの保護・増殖の取り組みを開始。数々の困難を乗りこえて1989年に人工繁殖、2005年に自然放鳥、2007年に野外繁殖に成功し、「必ず野に帰す」というコウノトリとの約束を果たした。

「コウノトリ育むお米」はその歩みのなかで、県と市と生産者が一緒になって生産方法を確立してきた歴史をもつ。2007年からは豊岡市内の学校給食でも提供されている。

名称/コウノトリ育むお米
生産地/兵庫県豊岡市
栽培開始/2002年
交配/ ―

先駆けのまち・豊岡を旅して、味わって。
コウノトリとの絆に触れる3スポット

左上/見ためもかわいいおむすび。日替わりのスープ(お味噌汁)150円と 左下/ひとつひとつ手作りしているため、朝に用意したぶんのおむすびが売り切れたらその日は営業終了 右上/もとはファスナー工場という店内。往時の棚も活かしたお洒落な雰囲気 右下/お米は、豊岡市神鍋高原の生産者「ユメファーム」が作る「いのちの壱」の無農薬米を使用

【SPOT 01】58N musubu
お米のおいしさに感動する、おむすび専門店

「コウノトリ育む農法」で育てた無農薬米が主役のおむすび専門店。お米は「いのちの壱」という品種で、もちっとした食感が特にすばらしい。直球勝負の大粒塩musubi 210円のほか、ポリポリ食感が楽しいSPAMたくあん330円や大葉が爽やかなちりめん明太子マヨmusubi280円など、季節の食材を中心に、お米好きの心をくすぐる多彩な具に迷うこと必至!

58N musubu(ゴーハチエヌ ムスブ)

TEL.0796-23-5378 
住所/兵庫県豊岡市加広町5-23 
営業時間/11:00 ~ 14:00(なくなり次第終了) 
定休日/日・月 
※テイクアウトのみ

左上/コウノトリ育むお米(無農薬)コシヒカリ 450g 500円、2㎏ 2000円 左下/しっとり食感の米粉バウムクーヘン 1998円(6H)、1350円(4H) 右上/コウノトリ育むお米の米粉と但馬地方で採れた希少なはちみつを使った、米粉はちみつフィナンシェ1080円(5個入り) 右下/コウノトリにちなんだ商品以外にもおみやげにぴったりのアイテムが揃う

【SPOT 02】コウノトリ本舗
バラエティー豊かな豊岡みやげが勢揃い!

「コウノトリ育むお米」の無農薬米と減農薬米を、それぞれ3合、2合~と手ごろな量から買えるおみやげ店。その米粉を使ったバウムクーヘンのしっとりもっちり具合は最高。コウノトリ育む農法で育てた酒米を使った日本酒や米焼酎、ハンカチやお箸などのかわいいコウノトリグッズも豊富。

コウノトリ本舗(コウノトリほんぽ)

TEL.0796-37-8222 
住所/兵庫県豊岡市祥雲寺14-2 
営業時間/10:00~16:00 
定休日/月~水(祝日は営業)
※併設の『こうのとりテラスカフェ』では薪窯ボートピザやオリジナル珈琲、「コウノトリ育むお米」を使用したスイーツなどが楽しめる(営業時間、定休日は『コウノトリ本舗』と同じ)

コウノトリ本舗 公式WEB

左上/迫力あるコウノトリのはく製。充実の展示により、この地域の豊かな生態系を知ることができる 左下/自然解説研究員の北垣和也さん。目の前に広がる公開飼育ケージを指し示しつつ、コウノトリの生態や人間の営みとの交わりなどを楽しく解説してくれる 右/公開飼育ケージでは6羽のコウノトリが飼育されている

【SPOT 03】豊岡市立コウノトリ文化館
コウノトリの生態や歴史を知る、学ぶ公開施設

コウノトリと人間との文化的な関わりや野生復帰の歴史を、はく製やパネル、映像で紹介。ウッドデッキからは公開飼育ケージを自然解説員のガイドを聞きながら間近に見学できる。週末には自然観察会の開催も。

豊岡市コウノトリ文化館(とよおかしりつコウノトリぶんかかん)

TEL.0796-23-7750 
住所/兵庫県豊岡市祥雲寺127 
営業時間/9:00 ~ 17:00 
定休日/月(祝日の場合はその翌火休)
入館料/無料(コウノトリ環境協力金100円・任意)

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豊岡市立田鶴野小学校の給食の様子

【取材ノート】
豊岡市立田鶴野小学校で6年生の給食を特別に見学させてもらう。同市では、2007年から学校給食で減農薬の「コウノトリ育むお米」の使用が始まった。この3学期は無農薬米を提供しているとのこと。校内放送で「コウノトリ育むお米」をはじめとする地産地消の食材を紹介していた。ごはんの感想を尋ねると「おいしいです!」と児童たちの元気な声が返ってきた。

大きな羽を広げて飛ぶコウノトリ 写真提供=豊岡市

【INFORMATION】
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PHOTO/DAISUKE YANAGI
※メトロミニッツ2024年3月号「今日もどこかで第2のシャインマスカットが生まれている。」に加筆して転載

※記事は2024年2月29日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります