生理前の強烈な精神不安、もしかしたら「PMDD」かも?
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生理前の強烈な精神不安、もしかしたら「PMDD」かも?

更新日:2021/10/06

生理前にイライラする、精神的に不安定になる・・・そんな経験がある女性は少なくないはず。そうした生理にともなう精神症状が特に強い場合は、「PMDD(月経前不快気分障害)」の可能性があるかも。PMDDとはどんな症状で、どう対処したらいいのか、PMS/PMDD専門カウンセラーの森井恵子さんに聞いてみよう。

PMDDとはどんな症状?PMSとはどう違うの?

PMDDとはどんな症状?PMSとはどう違うの?

PMDDとは、生理が始まる約2週間~10日前の排卵の頃から精神的な症状が強く現れるもので、うつ、不安、怒り、気分の落ち込み、悲しみ、絶望感などが激しくなるほか、攻撃的な感情や集中力の低下などが見られることも。こうした精神的症状は生理が始まると軽くなるか、すっかり消えてしまうのも特徴なのだそう。

生理前の精神的な不調といえば、PMS(月経前症候群)を思い浮かべる人も多いかも。PMDDとPMSは、どう違うの?

「PMSの場合、精神的な不調だけなく、頭痛や生理痛などの身体的な不調が多く見られる点が特徴です。そしてこれらの不調は、病気ではなく『症候群』とされています。一方、PMDDはPMSよりも社会生活に深刻な支障が出るほどの精神症状があり、病気として考えられています」(森井さん)

PMDDの原因には、自律神経系の乱れやホルモン分泌機能、脳機能の低下、ストレスや過去のトラウマなどの心理的な問題なども関わると、森井さん。これらが複雑にからみ合ってPMDDが引き起こされているため、体質改善やメンタルケアがPMDDをやわらげるための重要なポイントとなる。

生理前の状態からPMDDかどうかをチェックしよう

生理前の状態からPMDDかどうかをチェックしよう

PMDDかどうかを知るためには、生理前にどんな不調が見られるのかを確認することが必要。次の3つのブロックそれぞれの項目について、生理前に見られる不調として当てはまるものをチェックしてみて。

【ブロック1】
□集中力が切れやすい
□ネガティブな気持ちになりやすい
□無性に食欲が出る
□疲れやすくなる
□眠くなりがちになる

【ブロック2】
□ささいなことで過剰にイライラする
□寂しくなったり、ふとしたことで泣いたりする
□自分のことが嫌いになる
□家族や人に会いたくなくなる
□未来に対する絶望感が起こり、将来が不安になる

【ブロック3】
□死にたい気持ちや、消えてしまいたいような感情が起こる
□激しく怒ったり、暴言を吐いたり、ときには暴力を振るうことがある
□家族関係が破綻しそうなことがある
□ものに当たったり壊したりすることがある
□自傷行為をすることがある

「ブロック1の項目のみが当てはまる場合はPMSと考えられますが、ブロック1と2の両方に当てはまる項目がある場合、PMSとPMDDの境界線にいる可能性が高いです。さらに、ブロック1、2、3のいずれにも当てはまる項目がある場合は、PMDDであると考えられます」(森井さん)

食事面や生活面、心理面のセルフケアがPMDDの緩和につながる

食事面や生活面、心理面のセルフケアがPMDDの緩和につながる

PMDDの予防や緩和のために、まずは食事や生活習慣の改善といったセルフケアから取り組んでみて。

「PMDDの原因のひとつである脳機能の低下は、『オメガ3脂肪酸』を積極的に取ることが改善の助けとなります。イワシやサバなどの青魚や、アマニ油、エゴマ油などに多く含まれますが、効率よくサプリメントで摂取することもおすすめです。また、ストレスによる脳の興奮を抑える『GABA』も、精神の安定に役立ちます。トマト、アスパラガス、ジャガイモ、カボチャなどに多く含まれるので、食事によく取り入れるといいでしょう」(森井さん)

また、感情のバランスを整えるホルモンである「セロトニン」の分泌量を増やすためのケアも実践してみよう。運動不足や日光を浴びる時間の不足は、セロトニン量の低下の原因となるので、日光を浴びながらウォーキングなどで体を動かすことを習慣にするといいのだそう。自律神経の機能を整えるヨガや呼吸法などもおすすめ。

「食事面では、炭水化物を極端に減らさないようにしましょう。炭水化物はセロトニン合成に関わるため、不足すると脳内セロトニンが減少してしまいます。そのほか、バナナはセロトニン合成に必要な栄養素が豊富なので、積極的に取るといいでしょう」(森井さん)

そして、心理面のケアとして、自分自身の感情と向き合って心の傷を癒やすこともPMDDの改善に役立つのだそう。生理前にどんな症状が現れ、そのときにどんな感情が湧き出てくるか、その感情は過去にも感じたことがあるか、過去のどんな経験がその感情を呼び起こすのか・・・と、記憶をたどるうちに心の傷が見つかることも。その心の傷を否定せずに受け入れることが、癒しにつながるはず。


健康な体づくりが心を癒やすサポートとなり、PMDDの予防や緩和につながるのだと、森井さん。ただし、症状がつらいときは専門の治療やカウンセリングを受けてみて。

教えてくれた人

森井恵子さん

PMS/PMDD専門カウンセラー。「ホリスティック・レメディ」主宰。長年PMDDに苦しみ、ヨガや食習慣などを通し体質を改善。数年の過程でPMDDの症状が消失。自身の経験からPMDDの治癒には体と心の両方が癒される必要があることに着目し、症状改善の独自メソッドを樹立。現在はPMS、PMDDをはじめ、さまざまな状況に悩む女性のためのカウンセリングを行っている。著書に『いつもやってくる殺したくなる自分にサヨナラ』(ヴォイス)がある。

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WRITING/TOMOKO OTSUBO

※記事は2021年10月6日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります