脂肪が“冷湿布”になり体を冷やす!?女性が冷えを感じやすい理由とは?
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脂肪が“冷湿布”になり体を冷やす!?女性が冷えを感じやすい理由とは?

更新日:2020/09/03

冷えに悩む人にとってはツライこの時季。よく女性のほうが男性よりも冷えを感じやすいと言われるけれど、それはなぜ? 冷える理由から根本的な解決方法について公認スポーツ栄養士の鈴木志保子さんに教えてもらおう。

76%の人が冷えに悩んでいる!特に手足の冷えに悩む人が多数
(2018年12月 オズモール調べ 1892人)

76%の人が冷えに悩んでいる!特に手足の冷えに悩む人が多数

冬の健康に関するお悩みについて聞いたオズモールのアンケートによると、76%の人が冷えに悩んでいるという結果に。中でも足が冷える人が85%で最も多く、次に手が冷える人が60%、お尻(26%)、お腹(26%)と続く。腰や太もも、二の腕が冷えるという人も。対策としては「湯船に入る」(65%)「体を温めるものを飲む」(62%)「靴下や腹巻を着る」(59%)という声が多かった。岩盤浴や酵素風呂、足湯など体を温めるために積極的に出かけるという人も。

寒い時季は皮下脂肪がさらに冷えを感じやすくする

寒い時季は皮下脂肪がさらに冷えを感じやすくする

一般的に女性のほうが冷えを感じやすいものだけど、それは男性よりも女性のほうが脂肪の量が多く、筋肉量が少ない傾向があるから。鈴木さんは、「皮下脂肪は気温が高ければ“温湿布”になりますが、低ければ“冷湿布”になります」と話す。
「血液にはエネルギー代謝によって生まれた熱を全身に運ぶ役割があります。けれども脂肪は血管が少ないため、外気温が下がったときに、積極的に内側から温めることができず、外気の温度に影響されやすいのです。部屋の温度設定で男女がもめるのはよくあるシーンですが、女性の場合は温度が下がると、皮下脂肪が冷湿布状態となり、冷えやすいからなのです」
逆に衣類を着込むと脂肪が温湿布となり、体を温めてくれる。
また、手足が冷えやすいのも、手足の血管は細いため、温まりにくいといえる。
一方筋肉は熱を生み出すほか、血管が多く集まっているので熱を維持することもできる。
このため、運動によって脂肪を落として筋肉をつけることは、冷えの解消にもつながるというわけ。

エネルギー不足の人は熱が産生されにくい体に

エネルギー不足の人は熱が産生されにくい体に

さらに、ダイエットなどによるエネルギー不足が、冷えを引き起こしていることもあるそう。
「熱はエネルギー代謝によって生み出されますが、摂取エネルギーが少ないと体は節約モードになって代謝が落ち、熱が産生されにくくなります。特に糖質制限などでエネルギー源となる主食の量が少なくなっている人は要注意です」(鈴木さん)
糖質の摂取を控えたり減らしたりしていて、冷えを感じる人はエネルギー不足を疑ってみて。体重が気になる人は、少しずつごはんの量(糖質)を増やしていけば体重を維持したままエネルギー不足を解消できる。
また、朝食抜きの生活習慣も冷えの原因に。
「朝食をとることによって筋肉でできている胃や腸が筋運動を開始し、それによって得られた熱が寝ている間に低くなった体温の上昇を助けます。さらに朝食でとったエネルギーが日中の体温を維持するのに役立つのです」(鈴木さん)
エネルギー不足や朝食抜きの生活では、いくら体を外側から温めても根本的な解決にはならない。時間がなければトーストにインスタントのスープだけでもOK。慢性的な冷えに悩まされている人は、食生活を見直してみよう。

教えてくれた人

鈴木志保子さん

神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授。(一社)日本スポーツ栄養協会理事長、(公社)日本栄養士会副会長、NPO法人日本スポーツ栄養学会前会長。マツダ株式会社陸上競技部、パラ水泳日本代表など、数多くのトップアスリートの栄養指導に従事。2018年7月に新刊『理論と実践 スポーツ栄養学』(日本文芸社)が発売。

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WRITING/AKIKO NAKADERA

※記事は2020年9月3日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります