日本美術に影響を受けた初期の作品やグラフィックアートも
2018年9月26日(水)から12月17日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館では「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」を開催する。展覧会ではオルセー美術館の豊富なコレクションを中心に、油彩72点、素描(デッサン)17点、版画・挿絵本17点、写真30点とさまざまなジャンルの作品が130点超も揃う。
会場は年代順にボナールの画業を並べる構成。ナビ派の一員だった初期のボナールは、当時流行していたジャポニスムの影響もあって、「日本かぶれのナビ」と呼ばれるほど日本美術を愛好していたそう。当時の作品には、屏風をイメージさせるような縦長の構図や、日本画のような平板な色面構成など、浮世絵からの影響が。
また、初期にはリトグラフによるポスターや本の挿絵なども手がけており、それらのグラフィック・アートも展示。画家、デザイナー、イラストレーターと、マルチに活躍していたことが分かる。
ボナールに本名も年齢も30年以上教えなかったミューズ!
謎多き画家といわれるボナールだけど、彼の絵画に多く登場したミューズ(創作の女神)であるマルトもまた、謎多き女性だったよう。
1893年に出会ったとき、26歳のボナールに「16歳」だと告げたマルト。やがてボナールの恋人となり、一緒に暮らすものの、2人が正式に結婚したのは1925年でボナールが58歳のとき。ここで初めて、マルトの本名や実年齢(ボナールより2歳下)が分かったというから驚く。
絵の中には、ボナールの大好きな動物も多く描かれている。自宅でも猫と4匹の犬を飼っていて、生涯で残した2300点あまりの作品のうち、動物が描かれたものは約700点もあるという。
そんな生涯の伴侶とのエピソードや動物好きの一面などを知ると、ボナールの人物像が分かって、絵の鑑賞もさらに楽しくなるかも。
ピンボケもあり?日常をユニークな構図と効果で捉えた写真
コダックのポケットカメラを手に入れたボナールは、1890年代の初めから写真撮影も始める。別荘のあったル・グラン=ランスでは、家族が思い思いにくつろいでいる姿が撮影されている。
恋人のマルトと一緒に住んでいたパリ郊外のモンヴァルの家では、庭の緑のなかで撮られたマルトの美しいヌード写真も数多く残る。
ボナールの写真は、中心をちょっと外した構図やピントをわざと合わせずにボケの効果を狙ったものなど、身近な日常をユニークな構図で捉えたものが多い。これも、アーティストとしてのこだわりと言えそう。
自然に魅了されて描いた風景画や、独自の画法にも注目を
柔らかい光に包まれたノルマンディー地方の自然に魅了されていたボナールは、40歳を過ぎて印象派の巨匠・モネが住む街の近郊に小さな家を購入。その後、南フランス・カンヌ郊外のル・カネに移住。さらに風景画に情熱を注ぐようになる。
ボナールの絵画には、構図も遠近感も一見しただけでは分かりにくい、ぼんやりとした印象のものがあるけれど、よく見ると思いがけない発見につながることも。ボナールによれば、それは目がとらえた色や形が「意味」を持つ以前の、「なまの見かた」を絵にしている試みなのだという。難しく考えず、先入観を持たずに色や形をそのまま感じる、というのも絵画の楽しみ方のひとつかもしれない。
多彩な作品のなかに、ボナールの「好きなもの」や「興味のあるもの」が詰まった展覧会。画家の思いを感じ取ったり、絵に仕掛けられた試みを体験しながら、自由に楽しんで。
イベントDATA
- イベント名
- オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展
- 開催場所
- 国立新美術館 企画展示室 1E
- 会期
- 2018/9/26(水)~ 12/17(月)
- 開館時間
- 10:00~18:00
※毎週金・土は20:00まで。ただし9/28(金)、29(土)は21:00まで
※入場は閉館の30分前まで
- 休館日
- 毎週火曜
- 入館料(前売料金)
- 一般1600円(1400円)、大学生1200円(1000円)、高校生800円(600円)
<企画チケット>
「オリジナルグッズ(マカロン形バスフィズ)付前売券」2200円
※300枚限定、イープラスで9/25(火)まで販売
- ホームページ
- オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展 特設サイト
国立新美術館
- 電話番号
- 0357778600 0357778600 ハローダイヤル
- 住所
- 東京都港区六本木 7-22-2 Map
- 交通アクセス
- 東京メトロ千代田線「乃木坂駅」青山霊園方面改札6出口(美術館直結)、日比谷線「六本木駅」4a出口より徒歩5分、都営地下鉄大江戸線「六本木駅」7出口より徒歩4分
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