若い時代の作品にも素朴な魅力が。貴重な卒業制作も!
2018年7月31日(火)から10月8日(月・祝)まで、上野の東京都美術館では「没後50年 藤田嗣治展」を開催。節目の展覧会ということで、パリのポンピドゥー・センターをはじめ、欧米の名だたる美術館からも約20点の代表作が揃う。
会場では、「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマを設け、8章にわたって展示。初期の作品として、上野の東京美術学校(現・東京藝術大学)の卒業制作の自画像といった現存する貴重な作品も見られる。
その後、26歳でパリにわたった藤田は、当時の画家たちが集まっていたセーヌ河左岸のモンパルナスに住み、風景画や静物画、人物画などを描いた。これから30歳前半までに描かれた作品群は、素朴な魅力にあふれている。作家の個性が誕生する以前の、若々しい筆ぶりにはちょっと親近感を覚えるかも。
半世紀以上描き続けた自画像はセルフプロデュースのひとつ
藤田は、20代前半から80代の最晩年まで、ずっと継続して「自画像」を描き発表し続けている。
藤田嗣治といえば、おかっぱ頭に丸メガネとちょびヒゲという3点セットが有名だけど、東洋人のストレートな黒髪をいかしたスタイルは1910年代のパリではとても目立ったという。
このスタイルは、藤田がセルフプロデュースのひとつとして行っていたとも言われており、その姿を繰り返し描くことで自分の個性を印象付けるイメージ戦略が上手だったというわけ。現代でも通じるようなちょっとおしゃれな雰囲気に、センスのよさがうかがえる。
乳白色の秘密を科学で解明!その代表作10点以上が一堂に
1920年代のはじめに、「乳白色の下地」に黒く細い筆で輪郭を描くという独自の絵画スタイルが生まれた。
この画法については長い間謎の部分が多かったけれど、ここ数年の科学的なアプローチや写真資料などの研究によっていろいろなことが明らかになってきている。例えば、乳白色の上品で美しい深みを出すために、藤田はベビーパウダーの粉を使っていたそう。女性の肌のツヤを表現するのにベビーパウダーを使っていたなんて、コスメ感覚なのがおもしろい。
今回は、この藤田の代名詞ともいえる「乳白色の裸婦」10点以上が一堂に会する、またとないチャンス。数年前に修復を終えた大原美術館の《舞踏会の前》など、国内にある代表作に加えて、海外の主要な美術館からも作品が集まる。美しい乳白色の美女たちを、この機会にしっかり見ておきたい。
敬愛するダ・ヴィンチにちなんで洗礼を受け、宗教画へ
60歳を過ぎ、パリに戻ってフランス国籍を得た藤田は、妻とともにカトリックの洗礼を受ける。洗礼名は敬愛するレオナルド・ダ・ヴィンチにちなんでレオナールに。
それまでもキリスト教を題材とした絵は描いていたものの、洗礼後は信仰の証として宗教画を多く描いた。《礼拝》は晩年の代表作でもある。
誰にもまねできない輝く乳白色の裸婦を生み出し、自己演出で画壇の寵児となり、時代の波に翻弄されながらも芸術の道を歩み続けた藤田。その人生の移り変わりと画業の全貌を、見どころ満載の回顧展で堪能して。
イベントDATA
- イベント名
- 没後50年 藤田嗣治展
- 開催場所
- 東京都美術館
- 会期
- 2018/7/31(火)~10/8(月・祝)
- 開室時間
- 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
金曜は9:30~20:00 ※ただし、8月の金曜は 9:30~21:00
- 休館日
- 月、9/18(火)、25(火)
※ただし、8/13(月)、9/17(月・祝)、24(月・休)、10/1(月)、8(月・祝)は開室
- 観覧料(団体料金)
- 一般 1600円(1400円)、大学生・専門学校生 1300円(1100円)、高校生 800円(600円)、65歳以上 1000円(800円)
- ホームページ
- 没後50年 藤田嗣治展 特設サイト
東京都美術館
- 電話番号
- 0357778600 0357778600 (ハローダイヤル)
- 住所
- 東京都台東区上野公園8-36 Map
- 交通アクセス
- JR「上野駅」公園口より徒歩7分、東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」7番出口より徒歩10分、京成線京成「上野駅」より徒歩10分
- (C) 東京都美術館
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