横山大観といえば、明治から昭和にかけて新しい日本画の創造に努めた近代日本画の巨匠。その大観の生誕150年、没後60年を記念した大回顧展が開催される。展覧会では、長さ40メートルを超える日本一長い画巻や、行方不明になって100年ぶりに発見された驚きの大作など、話題の展示も見られるとか。代表作をすべて鑑賞できる“オール大観”の展覧会で、近代日本画の名作を堪能しよう。
《群青富士》 1917(大正6)年頃 絹本金地彩色 静岡県立美術館蔵 東京展4/13‐5/6展示(予定)
時代ごとに本画など91点を展示。壮年期の意欲作や晩年の出展作品も
竹橋の東京国立近代美術館では、2018年4月13日(金)から5月27日(日)まで「生誕150年記念 横山大観展」を開催。明治元年に生まれ、文明開化で西洋からさまざまなモノや情報が押し寄せる中で、日本の伝統技法を大切にしながらも新しい試みを続けた大観は、今も高い人気を誇る国民的画家のひとり。今回は、完成した作品である本画83点と習作などの資料8点を含む91点が展示されるそう。会場では、「明治」の大観・「大正」の大観・「昭和」の大観と、時代ごとに作品を鑑賞できる。
ちなみに写真左の《山路(やまじ)》は、1912年(明治45年)の43歳の作品で、ザラザラした人造絵具をまるで油絵のタッチのように表現した新しい手法が意欲的。対して右の《或る日の太平洋》は、1952年(昭和27年)84歳の時に第37回再興院展に出品されたもので、17点もの試作を作って完成させたというから、そのバイタリティには脱帽!
全長40メートル超!大観の水墨技法をすべて注いだ日本一長い画巻
大観は日本画だけでなく、日本の水墨画の歴史にも輝かしい足跡を残したという。全長40mを超える日本一長い画巻(中国に伝わる水墨画の絵巻物)である《生々流転》(せいせいるてん)は、大観の水墨画の技法がすべて注ぎ込まれているといわれる傑作。今回の展示では、その全貌を見ることができる。
画巻の内容は、山の合間に湧き上がった雲からひと粒のしずくが落ちて川となり、やがて海へと流れ込み、龍が踊る荒れた海から雲となって天に昇るという「水の一生」の物語を描いたもの。モノクロの世界で描かれた水の物語が、見ているうちに大パノラマとなっていく様子は、スケール感たっぷり。そこまで大きな絵が連なっているわけでもないのに、なんとも雄大な自然の営みを感じさせてくれる。
大観作品の中でもとくに豪華絢爛な《夜桜》と《紅葉》が同時展示
今回は、大観作品の中でもとくに豪華絢爛と言われる2作品が同時に展示されるのも、見どころのひとつ。上段の《夜桜》は1930年(昭和5年)にローマで開催された日本美術展に出品された渾身の作品で、燃え上がるかがり火とその光に照らし出される夜桜の姿が、夢幻の世界へと誘うよう。華やかさと共に幽玄な魅力を持った傑作。
下段の《紅葉》は、力強い造形で日本画材の美しい発色を際立たせた1931年(昭和6年)の作品。鮮明な紅葉の朱の色にプラチナが輝き、まさに錦のような秋を表現している。この2作品が同時に展示されることは滅多にないそうだから、大観の華やかな春と秋を一度に見られることこそが、まさにゴージャスな体験と言えるのかも。
100年ぶりの発見や彗星の水墨画も。偉大な画業をこの機会に!
さらに、今から105年前に出版された「大観画集」(芸艸堂・うんそうどう 1912年刊)に掲載されて以降、行方が分からなくなっていた大作《白衣観音(びゃくえかんのん)》が100年ぶりに発見されて展示されるのにも注目を。
このほか、1910年(明治43年)に地球に大接近したハレー彗星を水墨画で描いた《彗星》など、大観の自由なテーマ選びやみずみずしい感性がうかがえる作品も興味深いもの。
明治から大正、昭和と、時代の大きなうねりの中で、自在な画風と深い精神性を備えた作品を生み出し続けた大観。その70年以上に及ぶ充実した画業を、この機会にぐるりと巡ってみては。
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生誕150年 横山大観展
- イベント名
- 生誕150年 横山大観展
- 開催場所
- 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー、2Fギャラリー4
- 開催日程
- 2018年4月13日(金)~ 5月27日(日)
- 開催時間
- 10:00~17:00(金・土曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
- 休館日
- 月曜日(ただし4/30は開館)
- 観覧料(前売)
- 一般1500円(1300円)、大学生1100円(900円)、高校生600円(400円) 中学生以下無料
- ホームページ
- 生誕150年 横山大観展 HP
東京国立近代美術館
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