いまさら聞けない「コラーゲンの役割」って?肌へどんな効果があるの?

いまさら聞けない「コラーゲンの役割」って?肌へどんな効果があるの?

更新日:2022/10/25

肌に良いといわれる成分・コラーゲン。でも、「実際どんな役割があるのか、摂取すると肌にどんないいことがあるのかを説明して」といわれたら、きちんと説明できる人は少ないのでは? 知っているようで意外に知らない、コラーゲンの役割についてしっかり理解しながら、上手な摂取方法や摂取する際の注意点について学んでみよう。

いまさら聞けないコラーゲンの働き〈美容編〉

コラーゲンとは、たんぱく質の一種。繊維状をしていて、体内のたんぱく質のなかで最も多く、約30%をコラーゲンが占めている。一口にコラーゲンと言っても実は20種類以上のタイプ(型)があるのだとか。発見された順にⅠ型、Ⅱ型……と付けられていて、肌にはそのうち、Ⅰ型、Ⅲ型などが存在。真皮と呼ばれる肌の深い部分にあり、弾力を保ったり、構造を維持したり、細胞同士をつなぎ止めたりする役割を持っている。

そのようなことから「コラーゲンは肌にいい」といわれることが多く、積極的に摂取している人もいるのでは。しかし、サプリメントや化粧品などから摂取したコラーゲンが、肌に実際どの程度の効果をもたらすかは未知数。摂取する人の体調、体質、食習慣や生活習慣、含まれるコラーゲンの特性などによって異なるそう。「コラーゲンさえ摂取していれば、肌の調子はバッチリ!」と思いこむのはNGかも。

チェックポイント

・コラーゲンとはたんぱく質の一種
・コラーゲンの主な役割は肌の弾力を保ったり、構造を維持すること
・サプリメントから摂取したコラーゲンが肌にどの程度効果をもたらすかは未知数

いまさら聞けないコラーゲンの働き〈健康編〉

コラーゲンは肌以外にも体のあちこちに存在。40%は肌にあるものの、20%は骨や軟骨に、そのほかには血管、じん帯、腱、内臓など全身の組織に広く分布しているのだとか。丈夫な骨の形成、動脈硬化の予防、関節痛の緩和などにも役立っていて、美容だけでなく健康においてもコラーゲンは欠かせない成分。

そのため、コラーゲンが配合されているサプリメントや健康食品も多いものの、摂取したコラーゲンが骨や関節の軟骨など、働いてほしいと思った部位でのコラーゲンの合成に利用されるどうかは未知数。


チェックポイント

・コラーゲンは肌だけでなく体中に存在
・丈夫な骨の形成や関節痛の緩和にも役立ち健康面でも欠かせない成分

ピークは20代!コラーゲンを上手に摂取するには

そんな私たちの体にとって欠かせないコラーゲンですが、20代半ばをピークに右肩下がりに減っていってしまうのだとか。
うるおいのある健康な肌を維持するには、コラーゲンの減少をゆるやかにすることが欠かせない。そのためには体内できちんとコラーゲンが合成される準備を整えておくことが大切なのだそう。

体内でコラーゲンをつくるのに必要なのはたんぱく質。食べ物から必要分のたんぱく質が摂取できていれば、基本的にコラーゲン不足になることはないというのが、最近の考え方の主流。

なお、1日に必要なたんぱく質の量は、成人男性が50g、成人女性が40g。可能であれば成人男性は60g、成人女性は50g摂ることが推奨されている 。1日あたり50gのたんぱく質を摂取する場合の、食品の例をあげてみるので、参考にしてみて(カッコ内はたんぱく質の量)。

・卵=2個(約12g)
・納豆=50g(約8g)
・豆乳=200ml(約7g)
・鶏ささみ肉=100g(約25g)

この組み合わせで50gのたんぱく質の摂取が可能。さらに動物由来と植物由来、両方のたんぱく質をバランス良く摂ることができるはず。

まずは適量のたんぱく質をしっかり摂取することを心掛けて。そのうえで、好みに応じてコラーゲンの入ったサプリメントや健康食品などを摂取してみては。

チェックポイント

・コラーゲンは20代をピークに、加齢により減少する
・基本的には、たんぱく質をきちんと摂取できていればコラーゲン不足にはなりにくい
・適量のたんぱく質をしっかり摂取することが大切

コラーゲンを摂取するときに気をつけたいポイント

体内でコラーゲンを合成するには、ビタミンCが必要。そのため、たんぱく質だけではなくビタミンCも充分に摂取することが大切。また、ビタミンCの必要量は成人の男女ともに1日あたり85mg。可能であれば100mgの摂取が推奨されている。キウイフルーツなら1~1.5個、いちごなら1~2個 で推奨量を満たすことができるからたんぱく質と組み合わせて。バランスの良い食事を心がけて、栄養が偏らないように注意して。

なおコラーゲンについては、大量摂取によりアレルギーが引き起こされることも。アナフィラキシー症状が出たという事例もあるので、アレルギー体質の人は摂取を避けた方が良い場合もあるので医師に相談してみた方が良いかも。

また、妊娠中や授乳中のコラーゲン摂取についても安全性についてはまだ十分なデータがないため、サプリメントなどからの大量摂取は避けた方が無難。できるだけ食べ物からたんぱく質が摂取できるように心がけてみよう。

チェックポイント

・体内でのコラーゲンの合成にはビタミンCが必須となるため合わせて摂取するのがおすすめ
・アナフィラキシー症状の可能性もあるので大量摂取には要注意
・できるだけ食べ物からたんぱく質を摂取し、体内でコラーゲンが合成できるように心がけよう

教えてくれた人

横井彩さん

日本橋いろどり皮ふ科クリニック院長。皮膚科学会認定専門医・医学博士。2003年秋田大学医学部卒。同皮膚科・形成外科にて広範囲にわたる皮膚科学の診療や研究に従事、2015年には助教授に。2017年藤田医科大学総合アレルギー科講師。2021年2月、日本橋いろどり皮ふ科クリニックを開院。ニキビやアトピー性皮膚炎など慢性皮膚疾患に対してスキンケア指導も含めた丁寧な診療を信条とする。また、化粧品トラブルに関する皮膚アレルギー検査にも取り組んでいる。

WRITING/YAMAMOTO NAOE

※記事は2022年10月25日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります