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すべてが日本初公開!上野の国立西洋美術館 で「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」開催

更新日:2020/02/24

世界屈指の美の殿堂「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」。上野の国立西洋美術館では、2020年3月3日(火)から6月14日(日)まで世界初の大規模所蔵品展となる「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を開催する。展覧会ではルネサンスから19世紀ポスト印象派まで、世界的な傑作を一挙に公開。全61作品はすべて日本初公開で、これほどの点数が館外に貸し出されるのは前代未聞とか。二度とないチャンスを体感して。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展@国立西洋美術館  クリヴェッリ+レンブラント
左/カルロ・クリヴェッリ《聖エミディウスを伴う受胎告知》 1486年 卵テンペラ・油彩・カンヴァス 207 x 146.7 cm  (C) The National Gallery, London. Presented by Lord Taunton, 1864 右/レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 《34歳の自画像》 1640年 油彩・カンヴァス 91 x 75 cm  (C) The National Gallery, London. Bought, 1861

西洋絵画の教科書と称されるコレクション。まずは中世・ルネサンスから

ロンドン・ナショナル・ギャラリーの最大の特徴は、幅広い世代と地域にわたって集められた質の高いコレクションで、その充実ぶりから「西洋絵画の教科書」とも言われている。

今回は、コレクションの中核ともなっている「イタリア・ルネサンス絵画の収集」を第1章として、全7章で構成。第1章では、19世紀半ば以降にイギリスで再評価が進んだ、15世紀以前の初期ルネサンス絵画などにも注目。15世紀にイタリアで活躍したクリヴェッリや、16世紀ヴェネツィア派の大家と称されたティツィアーノらの作品を紹介する。

「第2章 オランダ絵画の黄金時代」では、17世紀オランダ絵画の重要な作品としてレンブラントやフェルメールなど巨匠の傑作はもちろん、イギリスで特に人気だった風俗画、海洋画などの作品群も展示。押えておきたい中世の西洋絵画がしっかり鑑賞できる。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展@国立西洋美術館  アンソニー・ヴァン・ダイク
アンソニー・ヴァン・ダイク 《レディ・エリザベス・シンベビーとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー》 1635年頃 油彩・カンヴァス 132.1 x 149 cm  (C) The National Gallery, London. Bought, 1977

18世紀イギリスで人気を博した肖像画とイタリア旅行に注目

18世紀になると、イギリスでは肖像画の分野で注目すべき画家が次々に登場。その背景には、17世紀にイギリスで活躍したフランドル人の画家ヴァン・ダイクの影響があったと言う。

「第3章 ヴァン・ダイクと イギリス肖像画」には、気品あふれる人物描写と華麗な色彩で王侯貴族を魅了したヴァン・ダイクの絵とともに18世紀イギリスの画家たちの絵を展示して、両者の作品を比較しながら検証する。

また、18世紀のイギリスでは、上流階級の子息たちがイタリアを訪れることが流行。「第4章 グランド・ツアー」は、彼らが旅行先から持ち帰った都市景観図などを軸に展開。イギリスとイタリアがツアーを通して行った、芸術文化交流の様子を紹介する。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展@国立西洋美術館  ムリーリョ+ゴヤ
左/バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《窓枠に身を乗り出した農民の少年》1675-80年頃 油彩・カンヴァス 52×38.5cm  (C) The National Gallery, London. Presented by M.M. Zachary, 1826 右/フランシスコ・デ・ゴヤ《ウェリントン公爵》1812-14年 油彩・板 64.3×52.4cm  (C) The National Gallery, London. Bought with aid from the Wolfson Foundation and a special Exchequer grant, 1961

スペイン絵画の美を再評価し、風景画の巨匠を生んだ新しい美の価値観

スペイン国外でスペイン絵画を再評価したのも、その先頭に立っていたのはイギリス。特に、19世紀初頭のスペイン戦争にイギリス軍が参戦したことをきっかけとして、スペイン絵画が多くもたらされた。

「第5章 スペイン絵画の発見」には、宮廷画家として名を馳せたベラスケスをはじめ、甘美な聖母像や愛らしい子供を描いた風俗画などで高く評価されたムリーリョなどの名作が並ぶ。スペイン絵画の巨匠・ゴヤの描いた《ウェリントン公爵》はイギリス人将校で、スペイン絵画を故国に持ち帰り、イギリスでの再評価をリードした人物。

さらに18世紀後半になると、イギリスでは荒々しい「絵のような(ピクチャレスク)」美が流行し、風景画が人気に。ここから、17世紀の理想風景画をもとに、ロマン主義風景画の巨匠と呼ばれるコンスタブルとターナーが登場。「第6章 風景画とピクチャレスク」では、当時の美的な価値観を振り返る。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展@国立西洋美術館  ルノワール+モネ
左/.ピエール=オーギュスト・ルノワール《劇場にて(初めてのお出かけ)》1876-77年 油彩・カンヴァス 65×49.5cm  (C) The National Gallery, London. Bought, Courtauld Fund, 1923 右/クロード・モネ《睡蓮の池》1899年 油彩・カンヴァス 88.3×93.1cm  (C) The National Gallery, London. Bought, 1927

近代絵画を代表する印象派の傑作やゴッホの「ひまわり」も

最終章となる「第7章 イギリスにおける フランス近代美術受容」は、19世紀フランスで進んだ近代絵画の改革が、どうやってイギリスにもたらされたのかについて検証する。

イギリスでは印象派やポスト印象派などは、20世紀になってやっと本格的な収集が始まったそう。それでも、モネの《睡蓮の池》やルノワールの《劇場にて(初めてのお出かけ)》など、印象派の傑作もずらり。

また、今回初来日を果たすゴッホの《ひまわり》は、「ひまわりの画家」とも呼ばれるゴッホが、生涯で描いた7枚の花瓶に生けられたひまわりの絵のうちの1枚。

南仏・アルルで、パリから来るポール・ゴーガンを迎えるために描かれた4枚の「ひまわり」は彼との「友情の証」であり、ゴーガンの寝室を飾るにふさわしいと自らサインをした2枚のうちの1枚なのだとか。

全61作品を通して、イギリスの視点で綴られた西洋絵画の歴史にふれてみよう。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 ポスター

イベントDATA

イベント名
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
開催場所
国立西洋美術館
会期
2020/3/3(火)~6/14(日)
開館時間
9:30~17:30 金曜、土曜は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日
月曜日
※ただし、3/30と5/4は開館
観覧料(前売)
一般1700円(1500円)、大学生1100円(1000円)、高校生700円(600円)、中学生以下無料
■日時指定優先入場券(ファストパス)
料金:400円(300円)
※観覧料は別途必要
※指定日前日までは前売価格、指定日は当日価格
※当日券の販売は各区分の終了時間の30分前まで
販売期間:2020/2/1(土)~6/14(日)14:30
設定日:会期中の金・土・日・祝日
設定時間:以下の3区分から選択が可能 
9:30~11:00/11:30~13:00/13:30~15:00
※購入の際は公式ホームページの「注意事項」を必ず確認のこと
※ページ内画像の無断転載禁止
ホームページ
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WRITING/ YOSHIDA (はちどり)

※記事は2020年2月24日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります