ピカソらと交流しながら独自のスタイルで時代の寵児に
19世紀の終わりにポーランドで生まれたキスリングは、美術学校を出た後に19歳でパリへ向かう。
当時はフランス以外の国からパリに出て制作活動をする芸術家が多く、彼らの一群は「エコール・ド・パリ」と呼ばれていたそう。キスリングはそんな芸術家たちの集まるセーヌ河畔のモンマルトルやモンパルナスで、ピカソやモディリアーニなど多くの芸術家と交流を持つように。
初期の頃はピカソらのキュビスム(立体派)にも影響を受けたけれど、現実の世界から離れるキュビスムの描き方に抵抗を覚えて、イタリアやフランドル(現在のベルギー・オランダ・フランス北部)の古典的な絵画を学んだキスリング。やがて風景画や静物画、肖像画などで独自のスタイルを確立し、数々の個展を成功させて時代の寵児となった。
独自スタイルで描かれた豊かな色彩と透明感あふれる肖像画
その独自のスタイルがいちばん特徴的に表れるのは肖像画で、キスリングは友人や妻、女優やモデル、少年少女など、数多くの肖像画を手がけている。丁寧な筆致で描きこまれた画面は、洗練されたレアリスムとともに静謐な雰囲気が魅力。
フランスの女性小説家コレットの娘を描いた《ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)》は、輝くような透明感にあふれた色彩と写実的に描きこまれた細部の表現、憂いを含んだアーモンド形の大きな瞳が独特の存在感を感じさせてくれる。
展覧会では、ほかにも国内外の美術館やコレクターが所有する貴重な肖像画が多数出品されるので、20世紀初頭のパリに生きた人々の息吹が伝わるかも。
激動の時代に翻弄されながらも画家としては幸せな人生
キスリングが生きた19世紀末から20世紀半ばは、二度の世界大戦が勃発した激動の時代。
第一次世界大戦(1914~1918年)ではフランスの外国人部隊に入隊して負傷したり、第二次世界大戦(1939~1945年)ではユダヤ人であったために戦禍を逃れてアメリカに身を寄せたり、キスリング自身も激動の日々を送っている。
それでも、明るく社交的な性格で人望もあり面倒見のよかったキスリングは、家族や友人に恵まれ、絵の制作依頼も途切れることがなかったという。最後まで絵を描き続けることができて、幸せな人生を歩んだ画家でもある。
今回は、1910年代に描いた初期の作品から、アメリカに渡った頃の1940年代の作品を含む約60点を展示。時代に翻弄されながら、画家としての人生を全うしたキスリングの歩みに思いを馳せて。
キスリングが過ごしたパリをイメージしたコラボメニューも
東京都庭園美術館の正門横にある「レストランデュパルク」と新館1階の「カフェ庭園」では、展覧会の期間中に限定のコラボメニューがいただける。
「レストランデュパルク」では、ランチメニューの「ショートコース」(1620円)と「ランチコース」(2916円)のなかの一品として、「トウモロコシのスープ パリソワール仕⽴て ベーコンジュレ」を提供。初夏を感じる甘みの増したトウモロコシを使ったスープは、キスリングが過ごしたパリの夕暮れをイメージして黄金色に輝く。
また、「カフェ庭園」にはマカロンを生菓子でアレンジした「マカロン・パリジャン」(950円)が登場。マカロンの間には、バニラムース、木苺のバタークリーム、パッションフルーツクリーム、フレッシュの木苺、さらにハイビスカスの香りをつけた木苺ジャムも入って、パリの街角のカフェに負けない彩りと味わい。
このほかにも、展覧会にちなんだメニューが揃う。キスリングの絵を満喫した後には、コラボメニューでパリの雰囲気を味わおう。
イベントDATA
- イベント名
- キスリング展 エコール・ド・パリの夢
- 開催場所
- 東京都庭園美術館(本館+新館ギャラリー1)
- 会期
- 2019/4/20(土)~7/7(日)
- 開館時間
- 10:00~18:00 (入館は閉館の30分前まで)
- 休館日
- 第2・第4水曜日(4/24、5/8、5/22、6/12、6/26)
- 入館料
- 一般 1100円、大学生(専修・各種専門学校含む)880円、中学生・高校生 550円、65歳以上 550円
- ホームページ
- キスリング展 エコール・ド・パリの夢
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