客観的な記録とは違うアーティストの「もうひとつの事実」
大震災やテロなど、世界各地で絶えず発生するカタストロフ。多くのアーティストがこうした悲劇に出会うたびに、そのことを考え後の世に語り継ぐために作品を制作している。それは、マスメディアの客観性を重んじる記録とは異なる、もうひとつの事実を私たちに提示する。
今回の展覧会では、現代美術の世界で世界的に活躍するスター作家から、注目の若手作家、日本初公開の作家まで、40組の作品を展示。カタストロフから再起しようと想像力を駆使するアーティストたちの試みに、注目したい。
「セクションⅠ」では、「美術が惨事をどのように描くのか」に焦点を当てる。ここでは、作家たちが惨事をどのように記録・再現し、どんな形で他者と共有しようとしているのかについて考える。
カタストロフから再起しようとする「美術のちから」を紹介
「セクションⅡ」は、破壊から創造を生み出す「美術のちから」を紹介する。カタストロフは私たちを絶望に追い込むけれど、一方で、そこから再起しようとする力は想像力を刺激し、創造の契機となることもまた事実。
アーティストの豊かなイマジネーションによって制作された、再生、復興、よりよい社会が表現された作品は、私たちの想像力も刺激してくれるはず。例えば池田学氏の《誕生》は、東日本大震災をきっかけに制作された作品。絵の中に込められた、未来へのメッセージを共有しよう。
ジョンとヨーコの思いをつないで世界平和を祈る屋外展示も
また、屋外展示の《戦争は終わる》は、ミュージアムコーンの周辺と六本木ヒルズ内の各所に展示されるビルボード作品。
これは、ベトナム戦争が激化していた1969年に、オノ・ヨーコとジョン・レノンが「WAR IS OVER “IF YOU WANT IT” Merry Christmas from John and Yoko」と描かれたビルボードを、ニューヨークをはじめ世界11都市で掲示し、その後も世界各地で行われているプロジェクトのひとつ。
実用性とセンスあふれるオリジナルグッズも「ちから」に
ミュージアムショップでは、ロゴがデザインされた「ツールボックス」(3456円)や「軍手」(540円)など、実用性とセンスにあふれるオリジナルグッズを販売する。
中には、メッセージ入りの「Tシャツ」(2808円)や、実際に使っていた消防服を再利用したデザインの、1点もののMODECO「Fireman」トートバッグ(1万6200円)も。消防服は、火災現場や被災現場で染み付いたすす汚れやダメージまでもデザインとしてそのまま利用しているので、消防士の活躍の軌跡に思いを馳せるのもいいかも。
美術を通して、社会とつながり、変革をもたらす「美術のちから」。アートの可能性を信じたアーティストたちの多彩な表現の中から、明日への希望を感じ取ろう。
イベントDATA
- イベント名
- 六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 「カタストロフと美術のちから展」
- 開催場所
- 森美術館
- 会期
- 2018/10/6(土)~ 2019/1/20(日)
- 開館時間
- 10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし2018/12/25(火)、2019/1/1(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30)
- 観覧料
- 一般 1800円、学生(高校・大学生)1200円、子供(4歳~中学生)600円、シニア(65歳以上)1500円
- ホームページ
- カタストロフと美術のちから展
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