日本初公開の作品を含む9点が展示される奇跡の光景
作品の数が少ないことで知られ、現存するのは35点ともいわれるフェルメール作品。そのうち、日本初公開の「ワイングラス」「赤い帽子の娘」「取り持ち女」を含む9点が、欧米の主要美術館から特別に貸し出される今回の展覧会。
フェルメール作品は、「フェルメール・ルーム」と名付けられた空間で展示される。制作年も所蔵元も違うこれらの作品が、同じ部屋の中で一度に見られるなんて、フェルメール本人も目にしたことのない奇跡的な光景と言えそう。
近年のフェルメール人気の中で大変な混雑が予想されるため、展覧会は「日時指定入場制」を採用。長時間待つことなく入場できる上に、来場者全員に音声ガイドを無料提供することで作品にじっくり向き合える環境を作り出している。入場までのストレスが少ない分、鑑賞に集中できるのが嬉しい。
静謐さと独特の質感で、何気ない日常が印象的な絵画に
フェルメールの作品は、ミステリアスな緊張感をたたえた静かで穏やかな空間と、光の粒子までもとらえたような独特の質感が特徴的。その筆致から「光の魔術師」と称されることも。
日常の何気ない作業を印象的な絵画に仕立て上げる手腕は、「牛乳を注ぐ女」や「手紙を書く婦人と召使い」などの作品からも見てとれる。
また、17世紀のオランダでは郵便制度が発達して手紙のやり取りが盛んに行われたそう。フェルメールも手紙をテーマに6点の作品を残していて、当時の生活風景が伺えるのもおもしろい。
身支度を整える女性を描いた「真珠の首飾りの女」では、かすかにほころぶ口元の表情で、おしゃれを楽しむウキウキした気分が伝わってくるみたい。
同時代の作品で当時のオランダ絵画の広がりと独創性も紹介
展覧会では、フェルメールと同時代に活躍したオランダの画家たちの作品も展示。ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンらの絵画約40点を通して、17世紀オランダ絵画の独創的な広がりを紹介する。
絵画はそれぞれに、第1章から「オランダ人との出会い:肖像画」「遠い昔の物語:神話画と宗教画」「戸外の画家たち:風景画」「命なきものの美:静物画」「日々の生活:風俗画」というカテゴリに分類。第6章は「光と影:フェルメール」として、フェルメールの作品を一堂に集める。
当時のオランダ絵画の流れを見ながらフェルメールの作品を鑑賞することで、時代背景なども浮かび上がってくるはず。
フェルメール作品にちなんだ限定コラボグッズも販売
会期中のミュージアムショップでは、ここでしか買えない「フェルメール展」限定コラボレーショングッズも多数揃う。
例えば、アパレルブランド「YAECA(ヤエカ)」とウェブメディア「ほぼ日」がコラボしたLDKWARE(エルディーケーウェア)は、フェルメール・ブルーをイメージしたオリジナルロゴ入りの「エプロン」(10580円)と「バディバッグ」(6690円)を数量限定で販売。日常生活の場面を描いたフェルメールの絵画にぴったり。
ほかにも、フェルメール作品にちなんで手紙、ミルクポットなどをあしらった近沢レース店「タオルハンカチ」(1296円)など、生活のシーンに使えるグッズが登場。
日常をモチーフにしたものが多いフェルメールの絵画は、専門知識を持たなくても十分に楽しめるのも魅力のひとつ。まずはその繊細な色使いや、絵画の中に描かれた小道具などを楽しんでみては。
イベントDATA
- イベント名
- フェルメール展 Making the Difference:Vermeer and Dutch Art
- 開催場所
- 上野の森美術館
- 会期
- 2018/10/5(金)~2019/2/3(日)
※会期中、一部作品の展示替えあり
「赤い帽子の娘」2018/10/5(金)〜12/20(木)、「取り持ち女」2019/1/9(水)〜2/3(日)
- 開館時間
- 9:30~20:30(入場は閉館の30分前まで)
※開館・閉館時間の異なる日あり
- 休館日
- 12/13(木)
- 入館料
- <日時指定入場制のため、入場券は事前購入>
一般 2500円、大学・高校生1800円、中学・小学生1000円
※図録付前売日時指定券5000円(図録3000円がセット・予定枚数に達し次第受付終了)
- ホームページ
- フェルメール展 HP
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