おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン@東京都美術館 小倉ヒラク
美術展ニュース

人と人をつなぐお弁当の世界を楽しもう!東京都美術館で「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」

更新日:2018/08/27

レジャーからお昼ごはんまで、私たちの暮らしの中にいつもあるお弁当。日本独自の食文化である「お弁当」を、人と人をつなぐコミュニケーション・デザインの大切なツールとしてとらえた、ユニークな企画展「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」が東京都美術館で開催される。出品作家は、お弁当ハンターの写真家など8名。インスタレーションや参加型作品など、多彩なアプローチで「お弁当」を再発見しよう。

小倉ヒラク《おべんとうDAYS》 部分 2018年

おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン@東京都美術館 コミュニケ お弁当:大塩・平野
《あゆみ食堂のお弁当》2017年 料理:大塩あゆ美、写真:平野太呂

「おべんとう」から見えてくるコミュニケーションに注目

2018年7月21日(土)から10月8日(月・祝)まで、東京都美術館で開催される企画展は、お弁当をテーマにした、発酵デザイナー・小倉ヒラクの新作アニメーション《おべんとうDAYS》から始まる。内容は、食いしん坊の女の子・ね子と、身体がお重になったおべんとウサギがお弁当のことを歌って踊るもので、オープニングから期待感が膨らむ。

出張料理“あゆみ食堂”としてケータリングを行う大塩あゆ美が、「誰々にこんなお弁当を作ってあげたい」というリクエストに応えてお弁当を作り、写真家の平野太呂が撮影し、レシピとお弁当箱が届けられるプロジェクト《あゆみ食堂のお弁当》の展示では、リクエストした人の思いが伝わってくる。

また、NHK番組「サラメシ」でも有名な“お弁当ハンター”の写真家・阿部了の作品《ひるけ》は、お弁当を食べる姿から、作った人との関係性まで想像できそう。

おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン@東京都美術館 コミュニケ お弁当:小山田
小山田徹《お父ちゃん弁当》2017年

京都市立芸術大学教授の小山田徹は、家族とのお弁当作りのアーカイブ《お父ちゃん弁当》を展示。お弁当は、幼稚園生の弟のために小学生の姉が指示書を書き、父親である小山田が作る。くねくねと蛇行する川や三日月などが書かれた指示を、父親が愛情いっぱいに再現しようとするお弁当は、何ともほほえましい。

また、映像作家の森内康博は、中学生が自分でお弁当を作る様子を子どもたち自身が撮影してドキュメンタリー映像を作るワークショップを開催。そのプロジェクトの様子を映像作品として展示する。

おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン@東京都美術館 体験型:マライエ
マライエ・フォーゲルサング《intangible bento》イメージスケッチ 2018年

違う視点から「おべんとう」を再発見できる参加体験型作品

また、普段とは違う視点でお弁当をとらえる参加型の作品も登場。

「食べること」をデザインするイーティング・デザインの先駆者、オランダ在住のマライエ・フォーゲルサングは、お弁当の精霊の声が聞ける音声ガイド「精霊フォン」を使ってブースをめぐる、体験型のインスタレーションを展開。人と人のつながりや記憶、未来の夢などを語る精霊の物語は、お弁当のなかにある見えない世界をいきいきと伝えてくれる。

美術家の北澤潤はお弁当を、「箱」と「布」で自由にコミュニケーション空間を創り出すツールととらえている。そこで、さまざまな人の協力で集めた「おすそわけ」アイテムを並べ、《FRAGMENTS PASSAGEーおすそわけ横丁》を制作。「これとこれを詰めて、あの人に贈ったら」なんて、想像するのも楽しい。

おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン@東京都美術館 江戸弁当箱
左/白陶朱漆組合せ瓢成り弁当 個人蔵 右/楼閣形弁当 個人蔵

粋でユニークな江戸時代のものから世界のお弁当箱まで

お弁当を入れるお弁当箱には、遊び心あふれるユニークなデザインのものも多い。会場では、江戸時代から昭和・現代までの日本のお弁当箱と、アジア、アフリカ、ヨーロッパなど世界のお弁当箱も展示する。

例えば、江戸時代に作られた、ひょうたんの形の「白陶朱漆組合せ瓢成り弁当(はくとうしゅうるしくみあわせひょうなりべんとう)」や、まるで建築物のような「楼閣形弁当(ろうかくがたべんとう)」などは、宴の場に登場しただけでもその場のテンションが上がりそう。

コミュニケーションを創り出す食文化として「おべんとう」を考えるユニークな企画展。いつもは見慣れたお弁当が、新しいアプローチによって新鮮に見えてくるかも。

おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン@東京都美術館 ポスター

イベントDATA

イベント名
BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン
開催場所
東京都美術館 ギャラリーA・B・C
会期
2018/7/21(土)~10/8(月・祝)
開室時間
9:30~17:30 ※入室は閉室の30分前まで

<夜間開室>
金曜は20:00まで
※ただし8/31(金)はサマーナイトミュージアムにより21:00まで
休館日
月曜、9/18(火)、25(火)
※ただし、9/17(月・祝)、24(月・休)、10/1(月)、8(月・祝)は開室
観覧料
一般 800円、大学生・専門学校生 400円、65歳以上 500円 ※高校生以下は無料

「家族ふれあいの日」9/15(土)、16(日)は、18歳未満の子ども同伴の保護者(都内在住、2名まで)は一般料金の半額
「サマーナイトミュージアム割引」8/31(金)17:00以降は一般600円、大学生・専門学校生無料(要証明)
ホームページ
BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン 特設サイト
東京都美術館 外観

東京都美術館

電話番号
0338236921 0338236921 東京都美術館 BENTO おべんとう展担当
住所
東京都台東区上野公園8-36 Map
交通アクセス
JR「上野駅」公園口より徒歩7分、東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」7番出口より徒歩10分、京成線「京成上野駅」より徒歩10分
画像提供 東京都美術館

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※記事は2018年8月27日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります