松本

【松本ひとり旅】草間彌生の集大成!松本市美術館のアートとカルチャーさんぽの旅

更新日:2020/03/10

日本アルプスに抱かれた松本は、民芸という〝身近にある美〟を愛でてきた町。前衛芸術家・草間彌生の出身地でもあり、松本市美術館では充実した常設展示が見られる。世界に誇る日本の現代アートと暮らしに宿る美を訪ねて、ひとり気ままに歩いてみよう

『幻の華』と建物に展開された、『松本から未来へ』が来館者を迎える

今しか見られない草間彌生の集大成に浸る

(左)展示室で最初に現れる『大いなる巨大な南瓜』。代表作から初期の貴重な絵画まで見られるのは草間彌生の故郷ならでは (右上)マネキンやテーブルなど、すべてが網目の中に消失していく『シャングリラの女』 (右下)2004年から制作された『愛はとこしえ』シリーズ全50作 

400年以上の歴史がある城下町であり、クラフトの町としても知られる松本。水玉やかぼちゃのアートが有名な草間彌生が28歳まで過ごした町でもあり、松本市美術館には20代から現在に至るまでの作品が常設展示されている。5月中旬までは50点にも及ぶシリーズや、鏡やLEDを使った奥行きのあるアートなど約70点を展示。ひとりで作品と向き合っていると草間彌生の心の内をのぞくような気分に。来年4月から約1年間の休館を予定しているから、鑑賞するなら今!

(左)ミュージアムショップにも草間彌生グッズがいっぱい (右上、右下)松本市美術館限定手ぬぐい880円、巾着付きのがま口(小)9680円。草間彌生作品の中でも特に愛されているかぼちゃのモチーフのアートを旅の記念に

松本に縁の深い芸術家を中心に、常設や企画展を開催しており、草間彌生の作品は数百点も収蔵。外観や屋外にも氏の作品が展示され、建物全体でアートが楽しめる。期間限定作品も見られる特別展示「魂のおきどころ」は5月中旬まで。その後も作品を入れ替えて継続。

「『傷みのシャンデリア』や『天国への梯子』など、体験型のアートも多いので五感で草間さんの世界を感じられると思います。ひとり旅ならじっくり鑑賞できて、新しい発見もあるかもしれませんよ」と学芸員の渋田見 彰さん。

松本市美術館

まつもとしびじゅつかん
TEL.0263-39-7400
住所/長野県松本市中央4-2-22
開館時間/9:00~17:00(16:30最終入館)
休館日/月 (祝の場合翌平日休)※2021年4月から2022年4月中旬(予定)まで改修のため休館
入館料/410円
アクセス/JRほか松本駅より徒歩12分

タウンスニーカー「水玉乱舞」号にも乗ろう

松本周遊バス「タウンスニーカー」の車両の中に1台だけ、真っ赤なドット柄が目を引く草間彌生デザインの「水玉乱舞」号が運行。日によって走行路線が違うので見かけたらラッキー。松本駅を起点に走っているからぜひ探してみて。

■MORE INFO
1日乗車券500円がお得。乗り降り自由&提携観光施設での割引も!

松本がもっと好きになる、町と人がつながる店

(上)2Fでは食事をしながら販売している本が読める (左下)松本の若手農業集団NO-JINが作るりんごジャムを使ったアップルシナモントースト500円は、酸味のある栞日ブレンドと好相性。11:00までは同時オーダーのドリンクが300円引き (右下)1Fはカフェ&企画展スペース、2Fはブックカフェ。思い思いに過ごせる「栞日」

不揃いで味のある本と食が魅力的

「高橋ラジオ商会」の看板が目を引く建物の中は、コンクリート壁と古材のテーブルが印象的なカフェ。2階にはインディーズの雑誌や書籍など、書き手の声がそのまま飛び込んでくるような本が並ぶ。食事も地元の果物や京都オオヤコーヒ焙煎所のコーヒー豆など、オーナーの菊地 徹さんさんが「いいな」と思ったものばかり。一つひとつに思いをはせたくなる空間で、常連さんに交じってのんびり。

「松本市美術館の近くにあるので、朝、開館までの時間を過ごすひとり旅の女性のお客様も多いですよ」と菊地さん。

栞日

しおりび
TEL.0263-50-5967
住所/長野県松本市深志3-7-8
営業時間/7:00~20:00(LO)
定休日/水(祝の場合営業、ほか不定休あり)
予約/不可
アクセス/JRほか松本駅より徒歩10分

山山食堂
(上)まろやかな酸味が後を引く豚の角煮の黒酢あんかけ定食1000円。水出しで時間をかけて煮干しからだしをとったお味噌汁も滋味豊かでおいしい (左下)2Fの栞日分室。「これからの日用品」をテーマに、月1回企画展を行うギャラリーになっている (右下)松本の古道具屋「燕」のコーナーは、これからさらに充実予定

山好き店主による体にやさしいごはん

酒蔵や民家として使われていた築140年以上の建物が2019年5月にフルリノベーション。1階が「山山食堂」、2階が「栞日分室」に生まれ変わった。山山食堂のオーナーの高橋秀紀さんは、山小屋で約10年働いていた経歴もある山好き。圧力釜で炊く米や季節の惣菜など、山小屋で覚えた調理を活かした定食900円~はやさしい味わいで、ぺろりと食べられる。

「松本は、朝の方が空気が澄んでいて周囲の山がクリア!カメラ好き女子なら朝散歩がおすすめです」と高橋さん。

山山食堂/栞日分室

さんさんしょくどう/しおりびぶんしつ
TEL.0263-75-3508
住所/長野県松本市大手5-4-25
営業時間/7:00~18:00(17:30LO)
定休日/月(祝の場合翌休、ほか不定休あり)
予約/可※現金のみ
アクセス/JRほか松本駅より徒歩20分

日々の暮らしが楽しくなるクラフトを探して

the BOX SHOP
(左)材や塗装により表情も多彩。スワローテイルと呼ばれる留め部分がアクセント (右上)もとは薬局だった建物で、どことなく昭和レトロな雰囲気。裁縫箱くらいからひと抱えもあるものまで、サイズ展開が豊富なボックスが並ぶ (右下)「LAVORATORIO」は国内外の雑貨や食品を集めたセレクトショップ。奥にはランチがいただけるカフェも

シンプルで美しいオーバルの木箱

ミニマルな暮らしをしていたキリスト教の一派、シェーカー教徒から生まれたオーバルボックス5500円~をオーナーの井藤昌志さんが一つひとつ手作り。薄い木の板を巻き銅釘で留めるシンプルな形なのに、存在感があり見飽きない。井藤さんセレクトの雑貨が揃う2階の「LAVORATORIO」ものぞいてみて。

the BOX SHOP

ザ ボックス ショップ
TEL.0263-36-5536
住所/長野県松本市大手1-3-29-1F
営業時間/11:00~18:00
定休日/火
アクセス/JRほか松本駅より徒歩8分

TOCA by lifart...
(左)毎月、その季節の松本の風物詩をイメージした限定キャンドル2420円~も登場 (右上)オーナー作家の西牧隆行さんが選んだ雑貨が並ぶ店内は、「キャンドルがある日常を想像しやすいように」とディスプレイ (右下)hummingbirdの靴下1210円~。ゴムを使わないタイプはむくみやすい人におすすめ

信州の風景が薫るキャンドル

植物性100%の蝋を使ったハンドメイドキャンドルとセレクト雑貨の店。信州をイメージした、リンゴや花の香りのshinanoや、木曽の檜の精油を使ったkodama各880円~など、風景が思い浮かぶような香りにリピーターが多い。シンプルなデザインと煙の少なさも日常使いしやすいようにとのこだわり。

TOCA by lifart...

トーカ バイ リファート
TEL.0263-87-8942
住所/長野県松本市大手4-3-17
営業時間/12:00~19:00
定休日/水・木 (祝の場合ほか不定休あり)
アクセス/JRほか松本駅より徒歩15分

松本へのアクセス&ひとり旅のHINT

【アクセス】
●東京から/新宿駅より特急あずさで約2時間40分、松本駅下車。片道約6700円
●大阪から/新大阪駅より東海道新幹線のぞみで約50分、名古屋駅下車。特急ワイドビューしなのに乗り換え、約2時間5分、松本駅下車。片道約11000円

【市内の移動】
松本周遊バス「タウンスニーカー」や徒歩で散策を。遠出は市内8カ所にある無料レンタサイクルが便利。利用時間は9:00~最大21:00(貸出施設により異なる)

【ひとり旅のHINT】
市内には、ランチからディナーまで、ひとりでも入りやすいお店が多いので食事の心配はなし。ホテ ルやゲストハウスは比較的安いので、宿泊もおすすめ。カフェで朝食を取ってから朝いちばんに美術館をめざせば、ゆっくりアート鑑賞ができる

PHOTO/AYUMI OSAKI WRITING/AI FUNAHASHI(able-fool)

※OZmagazineTRIP(2020年3月6日発売)の情報を転用して掲載しています。掲載情報は、2020年2月20日現在のものです。その後、変更が生じる場合があります。また各店の営業時間や定休日などは時期によって変わる場合もありますのでご了承ください

※記事は2020年3月10日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります