生理でつらくても、いつもどおりに働いている人が半数
オズモールのアンケートによると、「生理中の悩みがある」と答えた人は、60.5%。特に「生理痛」や「イライラ」「だるさ」などに悩まされている人が最も多かった。「食欲が増したり、眠気が出るので仕事への集中力が下がる」(ymさん/30代・会社員)、「腹痛がひどくて鎮痛剤を飲まないと仕事に支障が出ます」(せーすさん/30代・会社員)など、仕事に影響が出るという声も少なくなかった。
そこで「生理でつらいとき、仕事はどのようにしているか」と聞いたところ、約半数の人が「がまんして通常どおり働く」という結果に。「仕事量を減らすなど調整する」「休暇をとる」という人は、それぞれ10%程度だった。対処法としては、「痛み止めの薬を飲む」「腹巻きやカイロなどでお腹や腰を温める」という人が多かった。
生理休暇は雇用形態を問わず取得できる
生理休暇をとったことがある人は、15%程度。ほとんどの人は生理休暇を利用したことがないことになる。生理休暇をとったことがない理由として「とっている人がいない」「生理休暇があるのかどうかがわからない」という声が目立った。
そもそも生理休暇は、労働基準法第68条で「使用者は生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合には、その者を生理日に就業させてはならない」と定められている。労働者であれば、雇用形態は問わず取得でき、医師の診断書は必要ない。ただし、有給か無給かについては、会社によって異なるので確認して。「生理休暇は無給になるので、有給休暇から消化している」(きこりん/20代・会社員)という声もあった。
生理休暇を申請してハラスメントを受けた人も
また、「生理休暇がとりやすい環境か」という質問については、約8割の人が「いいえ」と回答。特に「上司が男性なので言いづらい」という声が目立った。一方「女性が多い職場だからこそ、『つらいのはみんな同じ』という暗黙の空気があり、休みにくい」(あきさん/30代・会社員)という声も。そもそも「生理休暇と言わずに、体調不良といって休めばいい」「男性上司に生理だと報告するなんて気分が悪い」という声もちらほらあった。なかには「上司から『そんなにつらいの?』とハラスメントとも思われることを言われた」(まりんさん/40代・会社員)という人も。
経済産業省が公表したデータによると、生理痛やPMS(月経前症候群)など生理に伴う症状による労働損失は年間4911億円と試算されている(平成31年3月経済産業省ヘルスケア産業課資料より)。
産婦人科医の入江琢也さんは、こう話す。
「職場での女性の役割が大きくなっている現在、労働損失を減らす目的で保険適用となっているピルもあります。体調が悪いときは生理休暇をとることも大切ですが、もっとも大事なことは、生理痛を耐え忍ぶことではなく、痛みを抑えることです。生理痛が重い人の中には、不妊の原因にもなる子宮内膜症を発症している人もいます。生理痛に悩んでいる方は、ぜひ産婦人科で相談されることをおすすめします」
教えてくれた人
入江琢也さん
アイレディースクリニック新横浜院長。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本臨床細胞学会細胞診専門医。慶應義塾大学病院、けいゆう病院のほか渋谷や恵比寿の婦人科クリニックに勤務。2016年開院。月経痛緩和のための低用量ピル処方、子宮頸部異形成に対するレーザー治療などをおこなっている。
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WRITING/AKIKO NAKADERA