月経カップが、自分の生理の状態を知るきっかけにも
慣れるまではつけ外しにちょっとコツがいるけれど、基本的な使用方法を守ればだれでも安全に使えるという月経カップ。
「においがしない、繰り返し使えるから経済的、肌トラブルが防げるなど、メリットが多いと思います。婦人科医としてはカップに目盛りがついているので、経血量が把握できる点がメリットだと感じます。
生理痛や経血の量に悩んでいる患者さんはとても多いのですが、生理は個人差が大きく、なかなか人と比べられないので、判断が難しいですね。経血量が多い場合は、婦人科系の病気が原因になっている場合もありますので、経血量の多さが気になっている患者さんなど、判断材料のひとつになるのではないかなと思っています」と吉岡さん。
皮膚が弱くてかぶれが気になる人にこそ月経カップを
それでは、婦人科医としての視点から、みんなが感じている月経カップに対する疑問にお答えいただきました。
Q.月経カップはどんな人におすすめですか?
「まずは、皮膚が弱くてナプキンでかぶれてしまう方におすすめしたいです。夏は経血やナプキンでむれやすくなりますし、冬でも運動をしたり、暖房の利いた部屋で長時間過ごしているとむれてしまうことも。月経カップが直接膣内で経血をためてくれるので、肌トラブルになることはほとんどないと思います。
もうひとつは、出産経験がある方にもおすすめです。初めて月経カップを使う方の中には、つけるのに苦戦される方が多いようですが、出産経験がある方は膣が広がりやすい傾向にあるため、初めてでも比較的苦痛なく使用できると思いますよ」
Q.どんなときに使うと効果的ですか?
「長時間、電車や飛行機に乗るような旅行に最適だと思います。においも気になりませんし、頻繁にトイレに行く必要もありません。恐らく、荷物もその分減らせますよね。温泉や海に入る場合にも使えますが、スキューバダイビングなどカップ内の圧力が変化するようなアクティビティは、ちょっと注意したほうがいいかもしれません」
万が一、トラブルが起きたらすぐにかかりつけ医に相談を
Q.月経カップを使う上で、注意するべき点があれば教えてください
「ごくまれにではありますが、トキシックショック症候群(TSS)という、黄色ブドウ球菌の産生する毒素が原因で起こる、急性疾患を引き起こす可能性があります。大切なのは、使用方法を守ること。できればこまめに経血を捨て、使用後はきちんと消毒しましょう。また、出産経験や性交渉の経験がない方は膣が広がりにくいため、装着しづらいと感じるかもしれません。もうひとつ、月経カップの多くは、人体に安全な医療用シリコンでつくられていますが、ゴムアレルギーがある方は注意が必要です」
Q.万が一、痛みやかゆみなどのトラブルが出てしまったら、どうしたらいいでしょう?
「トラブルを感じたら、一度装着をやめていただき、それでも痛みやかゆみが続く場合は、かかりつけの婦人科医に相談をしましょう。困ったときに気軽に相談できるかかりつけ医の存在はすごく重要ですが、残念ながら、まだ日本では月経カップについて理解している医師は少ないので、受診する前にリサーチが必要かもしれませんね」
安全に使うためには、取扱説明書をきちんと読み、正しい使用方法を守ること。また、月経カップを使用する前には婦人科で性感染症や子宮、卵巣のがん検診を受けてほしいと吉岡先生。
これをきっかけに、自分のカラダと向き合う時間をつくってみては?
教えてくれた人
吉岡範人先生
1978年千葉県生まれ。聖マリアンナ医科大学産婦人科を経て「つづきレディスクリニック」院長に就任。丁寧な問診を通して一人ひとりの生き方の違いや年齢、ライフスタイルなどに寄り添い、すべての女性がいつまでも若々しく・活き活きと暮らすお手伝いができるレディスクリニックをめざしている。
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WRITING/MINORI KASAI