腸内の菌を元気にするエサは、食物繊維。日本人の多くが食物繊維不足に!?
腸内の菌は生きている。生きているものは必ずエネルギー源を必要とするので、菌のエサとなるものも必要となる。そこで積極的に食べたいのが、腸内の菌のエサになる「食物繊維」。しかし1日に摂りたい食物繊維の目標量18~20g(※1)に対し、日本人の平均の摂取量は15g(※2)と、足りていない人が多いのが現実のよう。
とはいえ、摂りたい食物繊維量の18gは、野菜でいうとキャベツ丸ごと1個にあたるので、それだけの量を単品で摂るのは難しいもの。3食の食事の中で、野菜の料理を1~2皿小鉢で付け合わせるような感覚でいないと、意外と食物繊維不足になってしまうんだとか。
「食物繊維には“不溶性食物繊維”と“水溶性食物繊維”があり、このふたつを2:1くらいのバランスで摂るのがいいとされています。不溶性食物繊維は玄米などの穀類、野菜、豆類に多く含まれ、水溶性食物繊維は大麦やキノコ、納豆、海藻、ゴボウなどに多く、野菜以外の食品にも含まれています」と金丸さん。野菜だけではなく、さまざまな食品から食物繊維を摂ることで、まずは慢性的な食物繊維不足を解消することが、菌活ライフの第一歩といえそう。
※1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)
※2 平成27年国民栄養調査
水溶性食物繊維の多い食品を積極的に摂ろう!キノコはバランス◎な優秀食材
その食物繊維のなかでも、特に水溶性食物繊維は、菌が分解してエサにしやすいので、腸内を元気にするための強い味方に。しかし、水溶性食物繊維が含まれている食品は、そんなに多くないのがネック。「水溶性食物繊維の多い食品のひとつ、キノコは低カロリーなのも嬉しい食材ですね。キノコの中でも特に水溶性食物繊維が多いのが、なめこ、椎茸、エノキです。どれも身近な食材なので毎日の食事に取り入れやすく、菌活の強い味方です」と金丸さん。
またキノコは水溶性だけでなく不溶性食物繊維も豊富なので、ひとつの食材でふたつの食物繊維をバランスよく摂れるのも、忙しい働く女性には嬉しい。さらに、水溶性食物繊維には炭水化物の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きもあるため、ダイエットにも役立ってくれるという嬉しいオマケも。
身近で意外な食品にも水溶性食物繊維はいっぱい!毎日の食卓に少しずつプラスしたい
そのほかにも水溶性食物繊維の多い食品は? 「納豆は生きて腸まで届きやすい納豆菌を含むうえに、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維もバランスよく含みます。まさに理想的な食物繊維バランスを誇る、パワフル食材。オクラのネバネバ成分・ペクチンにも水溶性食物繊維が豊富で、大腸がん予防にも効果的といわれます。もち麦も水溶性食物繊維が豊富のうえ、もちもちした噛み応えが食時の満足感もアップし、ダイエットのサポートにもなります。白米に混ぜたり、サラダにいれたりして普段の食卓に気軽に取り入れてほしいですね」(金丸さん)。
ほかにもらっきょうやごま、枝豆、キウイフルーツ、トマトジュースなど意外な食品にも、水溶性食物繊維が含まれているんだそう。今回紹介した食材を頭の片隅に置いて、毎日のメニューを考えるときに1品プラスしてみては? そんなちょっとした気遣いで、腸内の菌たちはどんどん元気になってくれる。
教えてくれた人
金丸絵里加さん
料理家、管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学講師。健康や美容に役立つメニューが高い評価を受ける。書籍や雑誌、テレビ、栄養指導などで幅広く活躍。著書に『女性のやせ定食』(光文社)、『今日からはじめる菌活習慣』(枻出版)など多数。
【特集】プチ不調や身体の悩みを解消!すこやかなココロとカラダへ
毎日がんばる働く女性にプチ不調や悩みはつきもの。そこでみんなが気になる健康法やグッズ、食材やドリンク、悩みの解決法やメカニズム、取り入れたい習慣などを専門家やプロのお話しとともにご紹介。自分のココロとカラダに向き合って、健やかに私らしく。オズモールはそんな“働く女性の保健室”のような存在をめざします
こちらもおすすめ。ヘルスケアNEWS&TOPICS
WRITING/HIROKO KUROKI