抜け毛や白髪、足がつる、集中力の低下なども貧血が原因の可能性が
東洋医学では血液のことを「血(けつ)」と呼び、主に2つの働きを持つと考えられている。ひとつは全身に栄養と潤いを供給する働きで、皮膚や髪に潤いやツヤを与える、筋肉を充実させる、目を潤して視力を維持するなどの役割を担っている。
そしてもうひとつの働きは、意欲や集中力、記憶力、感覚などの精神活動を支えること。前向きで意欲的といった精神の充実には、血の量が十分に満たされていることが欠かせないという。
「血が不足して全身に栄養と潤いを供給する働きが不十分になると、皮膚や髪の乾燥、白髪や抜け毛、目のトラブル、足がつる(こむら返りなど)、手足がしびれる、ふらつくといった症状につながります。また、血の精神活動を支える働きが不足すると、イライラしたりぼんやりしたりすることが多くなるほか、記憶力や集中力の低下、不安感などの症状が現れることが」(上之原さん)
こうした症状が多く見られる場合、東洋医学では“血が不足した状態”、つまり貧血の状態だと考えるのだとか。心当たりがある場合は、貧血対策を考えてみるのがよさそう。
夜ふかしや目の酷使などで血を消耗しすぎると貧血に
貧血(血が不足した状態)の原因は大きく2タイプに分けることができ、原因別に対処するとより効果的なのだと、上之原さん。まず挙げられる原因は血を消耗しすぎているケースで、次のような傾向があるのだそう。
□顔色が白くツヤがない
□肌や髪が乾燥しがち
□爪がもろくて割れやすい
□ドライアイで視力低下が気になる
□月経の血の色が薄く量が少ない
□夢をよく見て熟睡できない
「夜ふかしをしがちな生活習慣や、パソコンやスマホを使いすぎて目に負担をかけることは、血の消耗につながります。また、無理なダイエットも血の消耗を引き起こす可能性があります」(上之原さん)
このタイプがまず意識したいのは、血を消耗しすぎる生活を見直すこと。体力に見合わない無理な運動も、血を消耗しすぎてしまう可能性があるので控えて。また、東洋医学では寝ている間に血が全身を修復すると考えられているため、睡眠の質と時間も貧血対策として重要なのだとか。寝る2時間前には食事を終え、ゆっくりとお風呂に入り、日付が変わる前に寝るように心がけよう。
「赤身の肉、レバー、クコの実、ニンジンなどの赤い食材と、黒米、黒豆、ヒジキ、黒キクラゲなどの黒い食材は、血を補うので積極的に取りましょう」(上之原さん)
血を作り出すエネルギーの不足も貧血を引き起こす
貧血のもうひとつの原因は、体内で血をうまく作れていないケース。血を作り出すために必要なエネルギーが不足しているタイプで、次のような傾向が見られるのだそう。
□食欲があまりなく、少食傾向
□胃腸が弱く、軟便や下痢をしがち
□疲れやすく体力がない
□食後すぐに眠くなる
□少し動くと息切れがする
□肌にハリがなくたるむ
「体の中で血を作り出すためにはエネルギーが必要ですが、偏食や少食、悩みや心配ごとが多くて食欲が落ちているときなどはエネルギー不足になりやすく、貧血を引き起こしやすいといえます」(上之原さん)
エネルギーを補うためにまず行いたいのは、朝日を浴びることなのだとか。朝日は心身にエネルギーを与えてくれるので、朝日を浴びながら深呼吸をすることを毎日の習慣にしてみて。また、激しい運動はエネルギーを消耗するので避け、ウォーキングなどの軽めの運動を取り入れよう。そして、エネルギー源となる穀類、イモ類、豆類をよく噛んで食べることも大切なポイント。エネルギーを補うことで、体内で血が作られやすくなり、貧血対策につながるはず。
ひとくちに貧血といっても、原因別のケア方法を取り入れられるのは東洋医学ならでは。自分のタイプに合った貧血対策を取り入れて、心身の不調を上手に解消してみて。
教えてくれた人
上之原静佳さん
薬剤師、「カガエ カンポウ ブティック日本橋髙島屋S.C.店」漢方カウンセラー。漢方と香りを融合した漢方ビューティブランド「カガエ カンポウ ブティック」にて、漢方薬からハーブティ、スキンケア、アロマまで、からだの内外からのトータルビューティケアを提案。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO