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【長崎県・波佐見町】かわいい波佐見焼がいっぱい!毎日のごはんが楽しくなる器を探して

更新日:2023/09/26

長崎県波佐見町で誕生し、400年以上、庶民の器として受け継がれてきた波佐見焼。そんな波佐見焼が、今なお進化を続けているって知ってた? 窯元や産地瀟洒の直営店を訪ねて、食卓の主役になる器を探しに出かけよう。

上/アメリカのデザインオフィス・House Industriesとコラボした「FAMILYCOLLECTION」シリーズ。伝統的な呉須絵具と銅板転写の技法を用いることで、ポップでありつつ落ち着きのある作風に 左下/窓越しに公園の緑を取り込む、マルヒロストアの店内。波佐見焼の器だけでなく、デザイン性の高い雑貨や食品など、オリジナル&国内外のアーティストとのコラボ商品が幅広く取り揃う 右下/HIROPPAエントランスのパークロゴ、公園内のオブジェや建築物、壁画などは国内外で活躍するアーティストが手がけたもの。オブジェや建築物は、ベンチにしたり遊具にしたりと自由な使い方ができる

波佐見焼から広がる楽しい企画が次々と

長崎県のほぼ中央、山間の波佐見町付近で作られる波佐見焼。400年以上の歴史を持ち江戸時代には輸出もされたが、伊万里港から出港したため伊万里焼、有田駅から出荷されたため有田焼と呼ばれ、長く波佐見焼として世に出ることはなかった。

天草で採れる陶石を原料にした白磁に呉須(藍色)で絵付けされた染付が伝統的意匠で、現在も日本の日常食器の約16%のシェアを誇る。品質のよさと大量生産を支えてきたのが、生産工程ごとに型屋、生地屋、窯元、産地問屋などに会社が分かれる分業制にある。

マルヒロが製造を委託するこちらの窯元では素焼き、下絵付け、釉薬がけ(写真右下)、本窯が行われる。その間にも素焼きはらい、はみ出た部分の削り(写真上)など職人の緻密な手作業が欠かせない。古来、波佐見焼は「均一であること」が重要とされてきた

そんな背景を持つ波佐見焼の現場では10年ほど前から代替わりが進み、新たな進化を遂げつつある。牽引するのが「HASAMI」というブランドを立ち上げ、若い世代にも波佐見焼の名を浸透させた「マルヒロ」の存在。昭和32 (1957)年、露天商に始まり産地問屋として3代続いたマルヒロに転機が訪れたのは2010年のこと。

現社長の馬場匡平さんが工芸メーカーのブランディングに定評のある「中川政七商店」にコンサルティングを依頼、新ブランド「HASAMI」が誕生した。

上/広い工場内には素焼きや本窯を待つばかりの生地がうず高く積まれている 左下/HIROPPAのウツボが描かれたやきものビーチ。廃品のやきものを細かく砕いて研磨した砂が敷き詰められている 右下/コーヒースタンド「OPEN-END」でハーブティ550円とベイクドチーズケーキ450円を

カラフルでポップ、スタッキングできる機能性と丈夫さを併せ持ったマグカップは、セレクトショップに並びヒット商品に。これを機に企業やアーティストとのコラボ商品が次々に生まれ、器に限らず雑貨やアパレルへも広がりを見せる。

「社内の企画チームは2名ですが、最近は他部署のスタッフの企画が商品化されることも。担当を固定化しないことで斬新な発想が生まれる」と馬場さん。2021年10月には約1200坪の私設公園「HIROPPA」がオープン。マルヒロが波佐見焼を通じてつながった国内外のアーティストによるオブジェや壁画が彩る。直営店やコーヒースタンドも併設され、芝生の公園を散策しながら買い物やカフェタイムが楽しめるように。既成の枠にとらわれないマルヒロの挑戦は波佐見焼の未来を拓きつつある。

HIROPPA

ヒロッパ
TEL.0956-37-8666
住所/長崎県東彼杵郡波佐見町湯無田郷682
営業時間/10:00~18:00
定休日/無休(臨時休業あり)
アクセス/やきもの公園よりレンタカーで約2分

食卓の主役になるごはん茶碗が見つかる波佐見焼のお店

上/100以上の柄に圧倒される平茶わんコレクション各3300円 左下/とり型キャンディーボックス(M)4400円と(S)3080円は直営店限定販売 右下/ショールームの玄関前には磁器を埋め込んだ壁が。陶石を焼いたものも混じっている

白山陶器本社ショールーム

安永8(1779)年に創業、デザインから製造、販売まで一貫して自社で行い、全製品が揃う。デザイナー・森正洋氏が手がけたG型しょうゆさしや平茶わんなど、国際的デザイン賞も多数受賞。使いやすく生活になじむのはもちろん、丁寧な仕上がりにも定評がある。照明器具や花器などアイテムは幅広い。

DATA

はくさんとうきほんしゃショールーム
TEL.0956-85-3251
住所/長崎県東彼杵郡波佐見町湯無田郷1334
営業時間/10:00~17:00(最終入店16:45)
定休日/木・第2日
アクセス/やきもの公園よりレンタカーで約3分

上/テキスタイルのモチーフを使った「ORIME」 左下/窯元時代は絵付け場だった築100年近い建物をリノベしたaiyuの店内 右下/陶磁器デザイナー・Pebble Ceramic Design Studio石原亮太氏によるtileネスト1枚1540円。コースターや鍋敷にも

aiyu

明治30(1897)年に窯元として創業し、のちに産地商社に。アパレル業界に造詣の深い2代目は生地の織目に着目したORIMEシリーズや、ユニバーサルデザインを取り入れたmotteシリーズなどの商品を開発。OEMにも取り組みアパレルメーカーとのコラボや内装用タイルなど多岐に展開。

DATA

アイユー
TEL.0956-85-2600
住所/長崎県東彼杵郡波佐見町皿山郷380
営業時間/10:00~17:00 土12:00~
定休日/日・祝(年末年始・夏季臨時休業あり)
アクセス/やきもの公園よりレンタカーで約10分

上/優しくふんわりとしたタッチのユートピアシリーズのカップ全6色1320円 左下/窓越しの緑が気持ちいい店内 右下/natural69のアールシーボリ チョウチョウウオ科全7色1個880円。手描きデザインを機械彫りで型作りした小皿

natural69

波佐見焼の伝統的な藍色を用いて、海の生き物をモチーフにしたココマリンシリーズや、愛らしい動物の絵柄をパターン化したヤンケシリーズなどを展開。社内デザイナーによる商品が毎日の食卓に楽しさをプラスしてくれる。釉薬ムラやゆがみのあるB品アウトレットもチェック。

DATA

ナチュラルロック
TEL.0956-85-3427
住所/長崎県東彼杵郡波佐見町村木郷2311
営業時間/9:00~17:00
定休日/土・日不定休(HP営業日カレンダー参照)
アクセス/やきもの公園よりレンタカーで約5分

上/手描きの丸・三角・四角がかわいい、店舗限定販売のお碗各600円 左下/ショップ併設のカフェでは、波佐見焼の絵付けの伝統色をイメージした呉須色ソーダ550円が人気 右下/マグカップ付きクッキー各1200円。B品のマグカップの中に地元洋菓子店のオリジナルクッキーを詰めるアイデアが新鮮

ZOË L’Atelier de poterie SHOP+CAFE

パリにファッション留学経験のある川上ひとみさんが監修する、一誠陶器の新プロダクトライン。伝統的な絵付け技法を継承し若い人にも伝えたいと、かわいくモダンな絵付けの商品を展開。オリジナル配合の半磁器陶土を使ったeasy donシリーズは、軽量で熱さを感じにくい優れもの。

DATA

ゾエ ラトリエ ドゥ ポトゥリー ショップ プラス カフェ
TEL.0956-55-7460
住所/長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2255-5
営業時間/10:00~17:00
定休日/木不定休(Instagramを要確認)
アクセス/やきもの公園よりすぐ

東京から波佐見へのアクセスは?

羽田空港より長崎空港まで約2時間。レンタカーで約50分、片道合計約51000円(やきもの公園まで。レンタカー代含まず)

この記事が掲載されているのは、OZmagazine TRIP「手仕事の町へ行こう」特集

OZmagazine TRIP「手仕事の町へ行こう」特集

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発売日/2023年9月26日(火)
定価/800円
販売場所/全国の書店、コンビニエンスストアなどで発売中!

PHOTO/NORIKO YONEYAMA  WRITING/NORIKO SHIOTA
※OZmagazine TRIP(2023年9月26日発売)の情報を転用して掲載しています。掲載情報は、2023年9月11日時点のものです。その後、変更が生じる場合がありますのでご了承ください

※記事は2023年9月26日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります