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【岩手県・盛岡市】手仕事体験も!一生ものの道具たちに出会える名品の店

更新日:2023/09/26

「2023年に行くべき52カ所」で世界2位に選ばれた盛岡の魅力は、町に根付く手仕事の文化。モダンにアップデートした工芸品に触れたり、クラフトを多数揃えるセレクトショップを訪ねて、長く使える名品をゲットしよう。盛岡の手仕事を体験できるとっておきスポットも。

左/4代目を継承するべく修業中の宮昌太朗さん 右上/オブジェにもなるモダンなデザインの栓抜き各1375円 右下/現在の店舗は1954年に再建。戦時中に取り壊された旧店舗の図面通りに復元した

普遍的なのに新しいモダンな鉄器を提案

2023年1月にニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2023年に行くべき52カ所」で、イギリスの首都・ロンドンに次いで第2位に選ばれた盛岡。外国人の目にも魅力的に映る町には、古くから守り継がれてきたものと新しいカルチャーが共存し、その懐の深さが訪れる人たちを魅了している。

岩手の伝統工芸品である南部鉄器もそのひとつで、盛岡には全国的に有名な工房が点在。なかでも「釜定」は、プロダクトデザイナーでもある3代目の宮伸穂さんが生み出すモダンな鉄器にファンが多く、鉄瓶以外にもコーヒーケトルや洋鍋など、これまでになかった鉄器を次々に提案している。フィンランド在住経験もある宮さんの鉄器は、北欧デザインに通じる洗練された美しさに加えて、手軽に使える工夫がなされていることも絶大な人気につながっている。

左/3代目の作品の中でも人気の洋鍋7150円~。木の持ち手がぬくもりを添えている 右上/豊富なデザインが魅力の釜定の鉄瓶。受注生産制で、注文してから1年を目安に届く 右下/動物モチーフの箸置き各550円

「南部鉄器は江戸時代に生まれた道具ですが、実はIH調理器とも相性がよく、現代のライフスタイルにも適しています」と話すのは、宮さんの長男で鉄器職人の昌太朗さん。また、水道水を鉄瓶で沸かすことでカルキ臭が消え、口当たりもまろやかになっていいこと尽くし。そんな時代背景も手伝って、いつかは欲しい憧れの道具だった南部鉄器は、日々使いたい優れた調理道具として再注目されている。

「鉄器は手入れをすれば一生使える道具です。少しの手間で味わいが増すので、育てていく過程も楽しんでも
らいたいですね」。現在、釜定の鉄瓶は最低でも1年待ちという人気ぶり。待ちわびた時間の分だけ手にしたときの喜びも大きく、使うほど愛着が深まるだろう。

釜定

かまさだ
TEL.019-622-3911
住所/岩手県盛岡市紺屋町2-5
営業時間/9:00~17:30
定休日/日
アクセス/盛岡駅より盛岡都心循環バスでんでんむし左回りで約12分、盛岡バスセンター下車徒歩3分

イイモノたくさん!盛岡のセレクトショップ

光原社

1924年に宮沢賢治の代表作『注文の多い料理店』を発刊した小さな出版社からスタート。のちに工芸品店となり、全国から厳選した焼き物や漆器、布物などを取り揃える。別館「モーリオ」では、南部鉄器やかごバッグなど東北の物産や食品を紹介。

DATA

こうげんしゃ
TEL.019-622-2894
住所/岩手県盛岡市材木町2-18
営業時間/10:00~18:00
定休日/毎月15日定休(土・日・祝の場合翌平日休)
アクセス/盛岡駅より盛岡都心循環バスでんでんむし右回りで約3分、材木町南口下車徒歩2分

shop + space ひめくり

東北とゆかりのあるクラフトを中心に扱うショップ&ギャラリー。漆器や木工、染織物などは、岩手の作り手の作品が充実。南部鉄器は、軽めの鉄瓶が人気の「鉄瓶工房高橋」や、シンプルでモダンなデザインの「小笠原鋳造所」の鉄器を取り揃える。

DATA

ショップ プラス スペース ひめくり
TEL.019-681-7475
住所/岩手県盛岡市紺屋町4-8
営業時間/10:30~18:30
定休日/木・第1・3水
アクセス/盛岡駅より盛岡都心循環バスでんでんむし左回りで約9分、県庁・市役所前下車徒歩5分

豊かな時間を感じながら、手仕事に触れられる話題のスポット

左上/2Fの工房で作られた雑貨は1Fのショップで販売。コースター528円~ 右上/さき織りとは、使い古された浴衣などの古布を緯糸に織りあげた織物のこと 左下/工房では昔ながらの織機を使って機織り体験ができる。1週間前までの完全予約制で1時間1000円~ 右下/ベイクドチーズケーキ400円とコーヒー550円(クッキー付き)

紺屋町番屋

1891年に消防番屋として建てられた歴史的建造物が、交流体験施設として昨年3月リニューアル。現在の建物は1913年の改築当時をしのばせる姿で、1階にはカフェとクラフトショップが誕生し、町と人をつなぐ場として親しまれている。2階には盛岡伝統のさき織りの工房があり、コースターなどが作れる体験も人気。ショップでは、工房で織りあげたさき織り雑貨をはじめ、県内外の作り手によるクラフト製品もセレクト。

DATA

こんやちょうばんや
TEL.019-625-6002
住所/岩手県盛岡市紺屋町4-34
営業時間/10:00~17:00 カフェ~16:30(LO)
定休日/月(祝の場合翌休)
アクセス/盛岡駅より盛岡都心循環バスでんでんむし左回りで約9分、県庁・市役所前下車徒歩4分

左上/羊毛の手染めや、混ぜて色を作る体験もできる 右上/教室では、ホームスパン作家の小山牧子さんと原しおりさんが講師となり、手紡ぎ・手織りをレクチャー 左下/足踏み紡毛機を使って行う糸紡ぎ体験。1回500円 右下/卓上織機を使ったコースターづくりも人気。1回1500円

手紡ぎ手織りの学校 Looms

大正期から岩手に受け継がれている「ホームスパン」の技術と作品を伝える学びの場として、昨年11月開講。教室では、材料となる羊毛を洗う作業から染色、糸紡ぎ、織りまで、ホームスパンを作る工程がひと通り体験できる。事前予約制の半日・1日講座のほか、現地で申し込める糸紡ぎやコースターづくりの体験もある。

DATA

てつむぎておりのがっこう ルームス
TEL.019-601-8604
住所/岩手県盛岡市本宮荒屋25-8盛岡市中央公園BeBA TERRACEまなび棟内 
営業時間/10:00~17:00
定休日/月 
アクセス/盛岡駅よりイオンモール盛岡南行きバスで約5分、盛南大橋南下車徒歩7分

左上/店内にはkanakenoの鉄瓶を展示。いちばん人気の「あかいりんご」(写真左) 48400円は、鉄瓶には珍しい凹凸が少ないスタイリッシュなデザイン 右上/入店するとまず鉄瓶で沸かした白湯でおもてなし。まろやかな口当たりをダイレクトに実感できる 左下/気軽なテーブル席と、靴を脱いでくつろげる座敷がある 右下/自家製ティーシロップを添えたコーニッシュチーズケーキ480円とコーヒー550円

お茶とてつびん engawa

盛岡の南部鉄器ブランド「kanakeno」が手がける鉄瓶カフェ。鉄瓶で沸かしたお湯で淹れるドリンクと一緒にフードが味わえるほか、鉄瓶に触れて使い勝手を体験できる。鉄瓶は受注生産で、注文後1年ほどで手もとに届く。今年2月には、盛岡市中央公園「BeBA TERRACE」内にショップ&ギャラリー「SUNABA」もオープン。

DATA

おちゃとてつびん エンガワ
TEL.019-656-1089
住所/岩手県盛岡市中ノ橋通1-5-2唐たけし寫場1F
営業時間/11:00~17:00 土・日・祝8:00 ~
定休日/月・火
予約/不可
アクセス/盛岡駅より盛岡都心循環バスでんでんむし左回りで約12分、盛岡バスセンター下車徒歩3分

東京から盛岡へのアクセスは?

東京駅より東北新幹線はやぶさで約2時間10分、片道合計約15000円(盛岡駅まで)

この記事が掲載されているのは、OZmagazine TRIP「手仕事の町へ行こう」特集

OZmagazine TRIP「手仕事の町へ行こう」特集

日本各地には伝統や歴史を今に受け継ぐ、手仕事のアイテムがたくさんありますよね。今回は、編集部が今こそお買い物に出かけてほしい手仕事の町を厳選しました。セレクト基準は、素敵な手仕事があること、そして観光も楽しめること。さぁ、お買い物の旅へ出かけましょう!

発売日/2023年9月26日(火)
定価/800円
販売場所/全国の書店、コンビニエンスストアなどで発売中!

PHOTO/YUKO CHIBA  WRITING/CHIAKI TANABE(Choki!)
※OZmagazine TRIP(2023年9月26日発売)の情報を転用して掲載しています。掲載情報は、2023年9月11日時点のものです。その後、変更が生じる場合がありますのでご了承ください

※記事は2023年9月26日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります