【春のひとり旅】ローカル線を途中下車して見つけた里山の暮らし_千葉県いすみ市・市原市

【春のひとり旅】ローカル線を途中下車して見つけた里山の暮らし_千葉県いすみ市・市原市

更新日:2023/03/23

沿線を彩る菜の花や桜、新緑に覆われた山々・・・、房総の春を楽しむローカル線の旅へ。旅のはじまりは、いすみ市の里山にポツンと佇む私設図書館から。まるで書斎のようにこぢんまりと居心地のいい空間で本の世界に浸った後は、いすみ鉄道と小湊鐡道、人気の2大ローカル線を乗り継いで、途中下車を楽しもう。

日曜と月曜の午後だけオープンする、里山の小さな個人図書館

上/星空の小さな図書館は、築140年の古民家シェアハウスの敷地内に立っていた納屋をリノベーション 左下/漆喰の壁や土壁など自然素材を使った心地いい館内には、館主がセレクトした暮らし、旅、料理、自然、話題のベストセラーなど多彩なジャンルの書籍が揃う。地域に貢献する個人図書館などに贈られる「マイクロ・ライブラリーアワード」を受賞 右下/子供連れのお母さんが多く、絵本も充実

人生を変えた1冊の雑誌と
つながりを感じる里山の暮らし

都心から2時間ほどの千葉県いすみ市は、山と海の豊かな自然に囲まれ、首都圏からの人気の移住先として知られる。「星空の小さな図書館」の館主・三星千絵さんも神奈川県から2011年に移住。きっかけは、とある雑誌でいすみ鉄道の記事を見つけたこと。当時、三星さんは、都内のPR会社で多忙な日々を送り、気分転換で週末旅によく出かけていた。

「千葉県出身ですが、身近な場所に趣深い鉄道があってびっくり。田舎暮らしにも興味があって、いすみ鉄道に乗った後、この地域に興味を持ち、市の移住相談窓口に行くなどして移住を決意しました」と話す。そんな旅の出会いで三星さんの新たな人生の扉が開いていく。最初は、図書館が立つ築140年の古民家との出会い。

「お世話になった方の紹介で、リフォーム済みでとにかく立派だけど、なかなか借り手のつかない古民家に出合いました。この頃ちょうど都内のシェアハウスで楽しく暮らす知人をたずねる機会があり、『人が人を呼んでおもしろいな』と感じ、自分でもやってみようと思ったんです」

上/シェアハウス「星空の家」のみんなで世話している畑。運がよければ採れたて野菜のおすそ分けも 左下/12年前に川崎から移住した館主の三星千絵さん。「地域に開かれた場をつくりたくて」と話す 右下/図書館隣のシェアハウス「星空の家」。春は裏山と庭木の新緑が鮮やか

2012年6月にオープンしたシェアハウス「星空の家」は、大工さん、酪農業、美容師と漁師など、いろいろな職業の人々が集まった。彼らがくつろぐリビングには、みんなが持ち寄った本や雑誌が並ぶ本棚があった。

「より地元の人たちが気軽に立ち寄れる場所をつくりたいと考えたとき、本がある空間がいいと思いました。それなら今は使っていない納屋に本棚を置いて、図書館をやってはどうだろうと」
 
こうした思いから生まれた「星空の小さな図書館」が完成したのは、2014年12月。物置同然だったという納屋を地元有志50名ほどが協力して、DIYで改築した。
「人に頼むのが苦手な性格で、ひとりでコツコツやっていこうと思っていたら、人がたくさん集まってくれたのが嬉しかったです。いすみで暮らす人たちは横のつながりを大事にして、お互い協力しながらがんばっていこうという気概を感じます」
 
その後、シェアハウスの第1号の住人だった現在のご主人と結婚。今では、ふたりで地域づくりの会社を設立し、さらに空家を活用した「場づくり」のほか、本の寄付でいすみ鉄道を応援
する「い鉄ブックス」などを展開している。旅から始まった三星さんの素敵なストーリーはこれからも続いていく。

星空の小さな図書館

ほしぞらのちいさなとしょかん
TEL.0470-64-6503 
住所/千葉県いすみ市能実969
営業時間/13:00~19:00
定休日/火~土
入館料/入館無料
アクセス/茂原駅よりいすみシャトルバスで約25分、農産物直売所下車、徒歩5分

星空の小さな図書館を起点に房総のローカル線の旅へ出かけよう

左/4月上旬までは、養老渓谷駅や飯給駅などの沿線で菜の花と桜のコラボが楽しめる 右上/昭和30 ~50年代の車両が現役で活躍。ガタン、ゴトンと揺れる心地のいい音に、ついうとうとしてしまう 右中/いくつもトンネルを通ってのどかな山あいを走る 右下/駅横に小さなコーヒースタンドが登場した上総牛久駅

かわいいローカル線にコトコト揺られ春の旅

房総半島の人気ローカル線と言えば、いすみ鉄道と小湊鐵道。ふたつの鉄道は、半島の真ん中よりの上総中野駅から発着し、外房エリアをいすみ鉄道、内房エリアを小湊鐵道がつなぎ、ふたつを合わせると全長約65.9㎞の房総横断が楽しめる。今回の旅は、「星空の小さな図書館」の最寄り駅いすみ鉄道国吉駅から乗車し、終点の上総中野駅で小湊鐵道に乗り換え。ツートンカラーのレトロな鉄道が、山深い里や広大な田園地帯をのんびり進んでいく。春は車窓に広がる桜や菜の花、田んぼの緑にほっこり。沿線には古民家カフェや駅横のコーヒースタンドなど、新スポットがお見目えし、途中下車が楽しみ。

小湊鐵道

こみなとてつどう
運行区間/五井駅~上総中野駅、全18駅 
所要時間と運賃/約1時間30分、1440円(五井駅~上総中野駅)
問い合わせ/小湊鐵道TEL.0436-21-6771

上・右下/養老渓谷駅から電動アシスト付き自転車で山道を走って約40分で到着。店内や校庭の至る所にアートを展示 左下/常時4 ~ 5種類の豆が揃うコーヒー450円~。この日のおやつは上総大久保駅そばのベーカリー「麦を踏む」のブルーベリーマフィン350円 

【養老渓谷駅】廃校を改装した週末だけの焙煎所&カフェ

現代美術の祭典「いちはらアート×ミックス」の舞台となった旧月出小学校は、週末に開くカフェ「TSUKIDEYA」と、焙煎所の「ヤマドリ珈琲」を併設。職員室を改装したカフェでは、校庭のアート作品や新緑の山を眺めながら、香り高いコーヒーと地元のおやつでひと息つける。

ヤマドリ珈琲

ヤマドリコーヒー
TEL.なし
住所/千葉県市原市月出1045 月出工舎1F(旧月出小学校)
営業時間/11:00 ~ 16:00  
定休日/不定休(基本的に土・日の営業。SNSで要確認)
予約/不可
アクセス/養老渓谷駅より電動アシスト付き自転車で約40分(養老渓谷駅前観光案内所でレンタル、は要確認)

上/納屋などが立つ昔ながらの古民家を1年6カ月かけてセルフリノベーション。広い板の間にゆったりとテーブル席が並ぶ 左下/自家製ハンバーグと自家製おそうざいの欲張りプレート1600円。手作りにこだわるビーフシチューやキッシュ、カレーなどのメニューも 右下/湧き水で淹れる自慢のコーヒー550円。6種類のナッツがゴロゴロ入った黒糖キャラメルのタルト600円などスイーツも充実

【月崎駅】自家製ハンバーグやタルトが絶品!和モダンなカフェ

築40年の日本家屋を改築した和モダンな空間でいただきたいのが、ふんわりとしてジューシーな自家製ハンバーグプレート。地元の直売所で仕入れる野菜たっぷりのおかずが添えられてヘルシー。敷地内でコンコンと湧く、まろやかな湧き水で淹れるコーヒーも味わい深い。

このいかふぇ

TEL.070-8470-1248
住所/千葉県市原市月崎338-2
営業時間/11:00~16:00 金~15:00
定休日/月~木
予約/可(11:00~の予約のみ) 
アクセス/月崎駅より徒歩5分

上/こだわりの豆を使ったコーヒー400円、不定期で販売している牛久商店街の「三河屋」のシベリア150円。羊羹×カステラがコーヒーとよく合う 左下/店は駅の待合室の隣。電車の待ち時間にもコーヒーをゆっくり楽しめる 右下/コーヒーチケットは商店街の人やタクシーの運転手さんなどの常連客が愛用

【上総牛久駅】丁寧に淹れた1杯に愛を感じるコーヒースタンド

上総牛久駅の売店跡地に立つコーヒースタンドは、駅前の牛久商店街の活性化をめざして2020年3月にオープン。1杯ずつ丁寧に淹れるコーヒーは、午前中は「まろやか」、午後は「すっきり」とブレンドを変えているのがこだわり。コーヒを片手に商店街をぶらりと歩いてみたい。

牛久にカフェを作りたいんだ

うしくにカフェをつくりたいんだ
TEL.なし
住所/千葉県市原市牛久897-2
営業時間/7:30~10:30 13:00~16:00 土・日・祝10:00~16:00
定休日/月(祝の場合営業)
※現金のみ
アクセス/上総牛久駅よりすぐ

上/店主の岸尾恵美さんが働いていた、都内の英国カフェのレシピで作るチキンティッカマサラカレー1100円。自家製チーズケーキやイチゴやブルーベリーなど地元の果実で作るジェラートも人気 左下/岸尾さん(写真右)とスタッフの上島京子さん 右下/静かな田舎道に現れる一軒家カフェ。テラス席からはブルーベリー畑が一望

【馬立駅】地元のお米と野菜を使ったランチやモーニングが評判

カフェ近くの農家の田んぼで米作りをしていた岸尾恵美さんが、昨夏に開店。地元米「粒すけ」のごはんと地野菜を使ったランチやモーニングを提供する。おすすめは10種類のスパイスを贅沢に使ったチキンティッカマサラカレー。ほどよい辛味でもちもちのごはんが進む。

里山カフェ FLIP FLAP

さとやまカフェ フリップフラップ
TEL.0436-67-1010
住所/千葉県市原市上原171-1
営業時間/9:00~17:00(16:30LO)
定休日/月・火 月1回水休
予約/可
アクセス/馬立駅より徒歩10分

オズモール、千葉県、市川市、いすみ市

千葉県・いすみ市へのアクセス

東京駅より総武線快速で茂原駅まで約1時間20分、いすみシャトルバスに乗り換えて約25分、片道合計約2000円(「星空の小さな図書館」の最寄り、農産物直売所バス停まで)

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この記事が掲載されているのは、OZmagazine TRIP「春のひとり旅」特集

OZmagazine TRIP「春のひとり旅」特集

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発売日/2023年3月22日(水)
定価/800円
販売場所/全国の書店、コンビニエンスストアなどで発売中!

PHOTO/NIRIKO YONEYAMA WRITING/AYAKO GOTO
※OZmagazine TRIP(2023年3月22日発売)の情報を転用して掲載しています。掲載情報は、2023年3月8日時点のものです。その後、変更が生じる場合がありますのでご了承ください

※記事は2023年3月23日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります