メトロミニッツ、北海道の絶品駅弁

見た目そっくり!東西シウマイ弁当を食べ比べ

更新日:2023/08/20

関西シウマイ弁当東西、出揃いました! 東、崎陽軒「シウマイ弁当」。知名度はナショナル級で、おかずに推しあり食べ順に一家言ありの熱狂的ファンも多数。もはや一種のカルチャーです。西、流星の如く現れた「関西シウマイ弁当」。竜虎相搏つ両者の魅力を、いまつぶさに解き明かします。

1954年に誕生し、現在は神奈川・東京・千葉・埼玉・静岡で販売される。おかずの種類は2003年以来変わらない。900円

【東/シウマイ弁当(崎陽軒)】ローカルの声を吸いあげ生まれた、おかずの黄金比

「シウマイ弁当」と名乗ってこそいますが、入っているシウマイは5個。鶏の唐揚げ、鮪の漬け焼、筍煮などのおかずに脇へ押され、ちょっと肩身が狭そう? いえ、このバランスこそが、愛されるゆえんです。

創業115年の崎陽軒が誇る名物弁当は、1928年に誕生してこのかた一度もレシピを変えることなく作り続けられてきた“冷めてもおいしい”シウマイが主役。いまや日本一売れている駅弁とも言われ、1日の平均販売個数はなんと約2万7千! 数字はナショナルレベルですが、ひるがえってその実は、創業の地である横浜へのローカル愛にあふれる“地域密着型”弁当。

「真に優れた『ローカルブランド』をめざす」とは崎陽軒の経営理念ですが、それを地で行くシウマイ弁当と横浜市民は、いわば相思相愛の関係。それだけに、食材の安定供給の関係などでおかずが変更されれば、良くも悪くも市井がザワつく。そうしてローカルの声をくまなく吸い上げることで成長してきた今、その弁当の一挙手一投足に目を見張るファンは、津々浦々に。主役のシウマイを差し置いて、おかずそれぞれに無数のファンがつくほど。どのおかずも外せない、押しも押されもせぬ“準主役”なのです。

シウマイ弁当の中身解説

■昔ながらのシウマイ/ひと口サイズだが、噛むほどおいしく、食べ応え十分。味付けもしっかりめなので、醤油や辛子無しでもイケる!

■鶏の唐揚げ/お弁当の大定番であるシンプルな唐揚げ。ここでは主役の座をシウマイに譲り、あっさりとした味わいに徹する

■鮪の漬け焼/しっかり漬け込まれ、ぎゅっと締まった食感に。比較的控えめな味わい。切り昆布と合わせてご飯のおともにも

■筍煮/どのおかずとも相性がよく、単体でも美味。冷蔵庫で冷やすと味の輪郭が際立つので、ビールとの相性も増す

■玉子焼き/甘みがジュワッと染み出す玉子焼き。あんずより、むしろこちらを〆のひとくちに推したい。薄さもちょうどいい

■切り昆布・千切り生姜/さっぱりとした味わいの千切り生姜は、お口直しや箸休めに。切昆布は、ごはんにのせてもおいしくいただける

■辛子/シウマイにちょこんとずつ絞るか、半分残して筍煮に絡めるか。それとも板わさ感覚で蒲鉾に? 采配が問われる

■あんず/「いつ食べる?」と議論の的。のっけに食べて、甘酸っぱさで口の中をスッキリさせるのも、意外とアリかも?

■俵型ご飯/崎陽軒独自の蒸気炊飯方式で実現したもっちり固めのご飯。ひと口目にまずご飯、というファンも多い。経木についたのをこそげ取りながら食べるのもオツ

2021年11月26日発売。まねき食品本社ドライブスルーや姫路駅構内など姫路市及び大阪市内の支店で販売。1080円

【西/関西シウマイ弁当(まねき食品)】出汁が効くシン ·シウマイ弁当ご飯の炊き加減にも注目!?

門外ほぼ不出のシウマイ弁当に関西バージョンが? 熱狂的なファンならずとも、驚いたことでしょう。

コラボのお相手は、創業明治21年、兵庫県姫路市に構える「まねき食品」。日本で初めて駅弁幕の内を作った先駆者にして、いまなお業界を牽引するトップランナーです。但馬牛やあなごなど、“地の物”を使った駅弁がとりわけ人気で、横浜に崎陽軒があれば姫路にまねき食品ありと、ローカルをたっとんできたのは同じ。

本家に敬意を払いながらも“似て非なる”弁当にと、シウマイ(製造は本家が担い、“崎陽軒印”に)からおかずにいたるすべてを、徹底してオリジナルレシピに。味の要には、関西の食文化が誇る「出汁」を駆使。最後まで何度も調整を繰り返したのは意外にもご飯で、経木の蓋にくっつく固さをめざし、自社では規格外とされる少ない水分量で炊き上げることで、たしかに崎陽軒のそれと瓜二つ。ちなみに、駅弁の箱に経木を初めて採用したのはまねき食品。それゆえ、このシウマイ弁当は、原点回帰とも言えるでしょう。

“冷めてもおいしい”シウマイはもちろん健在。そんな関西シウマイ弁当に、いま、本家のファンたちからもアツアツの熱視線が送られます。

関西シウマイ弁当の中身解説

■関西シウマイ/“冷めてもおいしい”のヒミツは食感も楽しいレンコン。昆布と鰹節で旨みを引き出しあっさりとした味わいに

■あご出汁唐揚げ/醤油は、兵庫県たつの市で400年間醤油を作り続けるヒガシマルの淡口。あご出汁でしっかりと下味を付けた

■鯖の幽庵焼/ふっくらジューシーな味わいと食感が魅力。ご飯にのっけてほぐしながら食べると、柚子の香りがさらに際立つ

■拍子木切り筍煮/あっさりとした甘み、ポリポリと軽い歯応え。まねき食品が誇る姫路のソウルフード「えきそば」の出汁を使用

■出汁巻玉子/駅弁には珍しい、関西といえばの出汁巻玉子。兵庫県・赤穂産の卵に鰹と昆布の出汁を合わせ、焼き上げる

■レンコン甘酢漬け・柴漬け/ほのかな酸味のレンコンの甘酢漬けは、レンコン入りシウマイと相性抜群。コリコリ食感の柴漬けはご飯とともに

■タカラマスタード/肉まんにつけるイメージの神戸名産タカラマスタードはシウマイにも絶妙にマッチ。まろやかな酸味が後を引く

■黒花豆煮/皮はパリッと、中はホクホク。食感のコントラストが楽しい。醤油がしっかり染みて、ご飯のおともにすらなる

■ご飯/まねき食品の炊飯設備で、本家そっくりのもっちり加減に炊き上げたこだわりのご飯。蓋にくっつくのがおいしさの証。梅干しとゴマまで本家と色違い!

PHOTO/MANABU SANO MASAHIRO KOSAKA(CORNELL)
※メトロミニッツ2023年9月号「たのしい駅弁」特集の情報を転載しています。掲載情報は、2023年8月14日時点のものです。その後、変更が生じる場合がありますのでご了承ください

※記事は2023年8月20日(日)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります