香川県、高松市、屋島、石川直樹

留学生数が京都府に次いで全国2位の多さ!? ワールドワイドな別府のカレー事情

更新日:2023/03/29

実は別府は「カレーの街」でした。全国2位の留学生の多さというのにも驚かされますが、そこから派生してうまれた国際色豊かなカレーに加えて、日本人オーナーがつくる個性豊かなカレーがあり、まさにカレーパラダイス。別府の地元民なら、2~3の行きつけがあるという、そんな別府の日常を彩るカレーをご案内。

別府でカレー文化が花開いたのは必然だった

 大分県は人口10 万人当たりの留学生数が292.6人と京都府に次ぎ全国2 位。なかでも、立命館アジア太平洋大学(APU)、別府大学がある別府には留学生が多く、卒業生が始めたカレー屋が20 年ほど前からでき始めたという。

「数年前からは日本人経営の店もどんどん増えて、選びたい放題。地元民はそれぞれお気に入りのカレー屋さんが2~ 3軒はあります」と桐子さん。

 留学生カレー店の先駆け的存在は、バングラデシュからやってきたモンズさんが始めた「カレーの王国 ユーシャ」。イスラム教徒のモンズさんは、後輩たちが苦労しないようにと別府大学卒業後、2008年にハラルフード食材店とレストランを開業した。

 同じく別府大学卒業をしたスチッタさんが営む「スリランカ料理カムカム」では、女性シェフが作るカレープレートが食べられる。季節の野菜や豆をスパイスやかつお節で調理したおかず、ココナッツミルクが使われたカレーはまるでお母さんの味。素材のおいしさが優しく身体へと沁み渡る。

 日本人店主が営む店も名店揃い。「TANE」で提供する南インドのミールズは、京都府出身の太田茂豊さんが現地のレストランで学んだものを再現。大分県内の契約農家から仕入れたオーガニック野菜がスパイスできりっと味付けられたカレーを食べると、身体がリセットしていくかのよう。

 「青い鳥∞黄い蜂」のカレーも滋味あふれんばかり。マクロビオティックの陰陽論により、じっくり火を通してうまみを引き出した「重ね煮」の野菜を使っている。別府でカレーを食べて思うのは、温泉にもカレーにも心身を整える力があること。別府でカレーが受け入れられ、広がるのは、そんな共通点があるからかもしれない。

地元民のカレーリストを参考に巡った別府カレー

骨付きチキンカレーセット1200 円。ポラオ(炊き込みごはん)、サラダ付き

【BANGLADESH】
20種類のスパイスをブレンド。
コクがある濃厚カレー

チキン、マトン、豆、魚などを20 種類近くのスパイスとともに調理したバングラデシュのカレーを提供。火曜はチキンレグローストカレー、水曜は魚カレー、金曜はビリヤニが、ランチもディナーも500円で食べられるお得なセットがある。

カレーの王国 ユーシャ

TEL.080-3952-3560 大分県別府市若草町9-26 営業時間11:00~15:00 17:00~22:00 月定休

スリランカスペシャルカリーセット1680 円。サラダ、ドリンク付き。ドリンクはバラ水にバジルシードを入れたファルーダをチョイス

【SRILANKA】
お母さんの優しさあふれる
18種類のおかずとカレー

約18種類のおかずとカレーが付いた「スリランカスペシャルカリーセット」は、少しずつ混ぜて自分好みの味にして食べるのがスリランカ流。バラ水がベースのドリンク「ファルーダ」も美味。店名はシンハラ語で「食べて食べて」。

スリランカ料理 カムカム

TEL.0977-51-5725 大分県別府市鶴見9組ルミエールの丘S-16 営業時間/11:00~14:30(LO) 17:30~21:00(LO) 火定休

VEG MEALS 1300 円。日替わりカレーにサンバル、ラッサム、副菜付き

【SOUTH INDIA】
心身がリセットされる
キリリと引き立つスパイス使い

大分県の契約農家から直送されるオーガニック野菜をベースに、日替わりでベジプレートを提供。南インドのケララで学んだスパイス使いで、できるだけ現地の味を再現している。基本は野菜のみで、チキンやキーマなどを+300円で追加できる。

TANE

TEL.080-3950-3457 大分県別府市駅前本町10-2 11:30~17:00(LO) 不定休

重ね煮カレー2 種類(ポークキーマカレー、エビのココナッツカレー)1600 円

【ORIGINAL】
重ね煮でじっくりと引き出された
野菜の甘み、うまみを味わう

東京・幡ヶ谷で「Curry&Spice 青い鳥」を営んでいた森脇千絵さんが移住して2019年に開業。重ね煮したタマネギ、にんじん、しいたけをベースに、季節の野菜や山椒などのスパイス、じゃこやブリなどの魚介や海藻などを用いて週替わりでカレーを提供。

青い鳥∞黄い蜂

TEL.なし 大分県別府市朝見1-15-22 営業時間/11:30~14:30(LO) 土12:00~15:00(LO) 日11:30~15:00(LO)
※夜は不定期営業 不定休

まだある別府のカレー。テイクアウトするなら・・・

看板キーマカレーと台湾風ルーローハンの2種あいがけ1000円。ごはんは黒米と白米のブレンド。

【TAKE OUT】
カレーとルーローハンのあいがけ!
意外性のあるマリアージュが実においしい

カレー好きが高じて、出身地の別府に戻ってカレー屋を開業したという「パプリカ」の大野恭平さんと朋佳さん。キッチンカーから始め、2021年には「仕込み場」と称して、テイクアウト専門店を立ち上げた。定番キーマカレーと月替わりの気まぐれカレー、台湾風ルーローハンを常時ラインナップ。インドカレーをベースにしたスパイシーカレーでありつつも、大人から子供まで楽しめるマイルドさを持ち合わせた優しい味わい。取材班も感動したのはキーマカレーとルーローハンの2種あいがけ。スパイシーなカレーと、意外にもルーローハンがよく合うから、ぜひお試しを。

パプリカ

TEL.なし 別府市千代町10-4(市立図書館の裏)営業日/水~金 11:00〜14:00 日~火・土定休 ※土日はキッチンカーで別府市内はじめ、主に大分県内のイベントなどに出店。詳しくは下記Instagramより

案内人: 豊島桐子さん

別府生まれ、別府育ちの温泉ラバー。扇山のふもとで民泊施設「えかきの家」を営む。来訪者に地元の温泉を案内することが喜び。最近のお気に入りは、扇山ハイクからの明礬温泉コース。

えかきの家

TEL.090-5287-8958 
大分県別府市竹の内6-1-2
宿泊料金/1泊1名5000円(素泊まり)

PHOTO/MEGUMI SEKI TEXT/KAYA OKADA
※メトロミニッツ2023年4月号特集「郷に入る旅」より転載

※記事は2023年3月29日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります