メトロミニッツ、大阪府八尾市、姫野作

切れ味感動!機能性&デザイン性にこだわった心地よいナイフ/岐阜県・関市

更新日:2022/09/20

世界三大刃物産地に数えられる、刃物の町が日本にあるのをご存知ですか? それが、岐阜県・関市。「折れず、曲がらず、よく切れる」と称される関の刃物は、台所に備えておきたい日用品のひとつ。この記事では、「志津刃物製作所」で誕生した、切れ味抜群、美しいナイフの物語をお届け。オンラインストアで購入も可

選ばれた職人のみ担当できる刃付け。刃付けした包丁は社長が1本1本切れ味を試し、合格したものだけが出荷される

使うシーンをイメージした優しい形の刃物を提案

世界三大刃物産地のひとつであり、「刀都(とうと)」の異名を持つ岐阜県関市。その歴史は鎌倉時代にまでさかのぼり、当時、戦乱を逃れた刀匠たちが、日本刀づくりに欠かせない良質な焼刃土と炭、そして長良川の清らかな水を見つけて関に定住。最盛期には300人以上もの刀匠が集まり、優れた切れ味の刀を次々と生み出しました。

明治時代に入ると日用的な刃物づくりに移行しますが、その高い技術は受け継がれて、関の刃物は「折れず、曲がらず、よく切れる」と称され、プロの料理人にも愛用されています。

関の職人は比較的若く、女性が多いのも特徴

関の刃物づくりは、日本刀製作の基本である分業制が伝承されているのも特徴で、研磨や背研ぎ、刃付けなど、20以上の工程を専業の
職人が行うことで、品質の高い刃物に仕上げています。そして、この分業制が大量生産も可能にし、関の包丁生産量は日本一を誇ります。

数あるメーカーの中で、伝統的な刃物を製造しつつ、新しいものづくりに挑戦しているのが「志津刃物製作所」です。1959年に刃物の研磨職人だった現社長の父が創業し、他社ブランドの製品を開発するOEMとして発展。2006年からは自社ブランド製品の開発に取り組み、料理や食事の時間を豊かにするキッチンツールを多く生み出しています。

その過程で、まったく新しいコンセプトのもと、2013年に誕生したのが「「morinoki」シリーズです。

morinokiのハンドル。天然木のため木目や色合いに個体差があり、表情が楽しめる

「自社製品の開発にあたり、OEMで手がけた包丁を改めて使ってみると、女性スタッフから“パン切り包丁が切りにくい”という意見が出たんです。そこで、日頃から刃物を使っている女性の意見を参考に商品開発を行った結果、機能性とデザイン性を兼ね備えたmorinokiシリーズが生まれました」と話すのは、営業企画の和田浩明さん。

試行錯誤の末、完成したパン切り包丁は、先の部分は固いパンへの入り込みがよく、真ん中の部分はやわらかいパンも薄くスライスでき、パンくずもほとんど出ない傑作と呼べる完成度に。

関市を流れる長良川。豊かな風土も刃物づくりに欠かせない条件

また、同シリーズの万能ナイフは、三徳包丁やペティナイフとも違う新規格の包丁で、一般的な三徳包丁の約半分の重さにあたる73gという軽さが魅
力です。さらに、ハンドルを天然木にすることでナチュラルな印象になり、キッチンだけでなく、食卓やアウトドアなど、見せるシーンで使える点でも人気を集めています。

昔から、1本目の包丁は三徳包丁、2本目はペティナイフと言われますが、morinokiの万能ナイフは両方のいいとこ取りなので1本目にも最適。切れ味のいい包丁を持つことは、暮らしを見直す大きな一歩になるはず。

morinoki/志津刃物製作所(岐阜県関市)

無垢のケヤキ材を使用したスマートなハンドルが特徴のmorinokiシリーズ。パン切り4180円は、刀身に2種類の波刃を施し、どんなパンもスッと切れるつくりに。1本あると便利な万能ナイフ3960円も、軽くて切れ味抜群/志津刃物製作所(TEL.0575-22-0956)

PHOTO/SAORI KOJIMA WRITING/CHIAKI TANABE(Choki!)
※メトロミニッツ2022年10月号特集「ケの日の美学」より転載

※記事は2022年9月20日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります