民藝、オズモール、福岡県・福岡市、ジュジュ テーブルランプシェード

日々をやさしく照らす、小さな提灯/福岡県・福岡市「ジュジュ テーブルランプシェード」

更新日:2021/06/20

ローカルに暮らすあの人が教えてくれる、町で生まれた手仕事もの(=民藝ちゃん)の話。今回は福岡県・福岡市の「ジュジュ テーブルランプシェード」を紹介。福岡と東京で二拠点生活を送る編集者の山村光春さんの心を奪ったのは、美しい旅の記憶のような小さな間接照明でした。心をやさしく照らしてくれる、民藝ちゃんにまつわるローカルの物語をお届けします。

暗い自分を肯定する、やさしく温かな光

僕が暗く生きていくことを決めたのは、旧友のもとを訪ねたドイツの旅だった。
家までたどり着くと、彼は「暗くてごめんなー」と言い、そこかしこにある照明をパチパチとつけてまわった。つけきってもなお暗く、それがまんま、美しい旅の印象となった。

この気分を持ち越したくて、やがて家でも天井灯は使わず、間接照明の生活が日常となった。たとえば夜ソファで寝落ちし、ベッドに行くまでの間。半眠りのままいくつも消してまわるのは面倒っちゃ面倒だけど、それもなんだか嫌いじゃなかった。

なもので、常によさげな照明に目を光らせているのだが、先日久しぶりに “出会っちゃった・・・・・・” と思えたのが、「ジュジュ テーブルランプシェード」。何やら福岡の八女という町が提灯の産地らしく、そこに家具デザイナーが制作を依頼したという。
提灯といえば文字や模様を入れるのが普通だけど、それらの要素を削ぎ落とし、今の暮らしにそぐうようデザインされている。ちんまりとしたサイズ、まるっこいフォルムはもちろん、何より胸をつくのは、和紙を通した柔らかな光だ。暗さを愛し、孤独を愛する自分を、生温かく肯定してくれているよう。

それを気付かせてくれたのはドイツだと思っていたけれど、何のことはない、もとからある僕らの国の文化だった。

民藝ちゃんDATA

■教えてくれた人/山村光春さん
編集者。心とむ衣食住のカタチ、生き方や暮らし方を伝える。広告、雑誌や書籍などの編集、執筆を手がけるBOOKLUCK主宰。現在、福岡と東京の二拠点暮らし

■作った人/稲垣巌さん
「松本民芸家具」や、デンマークのユーズド家具店に勤務した後に、独立。「Inagaki Design Works」として家具のデザインを手がける

■買えるところ/Arun
アルン
TEL.092-715-0605
住所/福岡県福岡市中央区荒戸1–1–21
営業時間/12:00~18:00
定休日/水・木

PHOTO/MANABU SANO TEXT/MITSUHARU YAMAMURA(BOOKLUCK)
※メトロミニッツ2021年7月号「わたしの町の民藝ちゃん」より転載

※記事は2021年6月20日(日)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります