マリオネットラインとは?原因や解消法、セルフケアを美容皮膚科医が徹底解説

マリオネットラインとは?原因や解消法、セルフケアを美容皮膚科医が徹底解説

不機嫌な印象を与えたり、老けて見えたりするマリオネットラインは、年齢とともに気になってくる人も多いはず。そこで、マリオネットラインができる原因やセルフケア方法、美容クリニックでの治療法などを「やさしい美容皮膚科・皮膚科秋葉原院」の院長・宇井千穂先生に聞きました。日々のケアを見直し、今からできることを実践して、自信の持てる素顔を手に入れて。

更新日:2021/05/11

マリオネットラインとは?

マリオネットラインとはどんな状態のこと?

口の両端から顎まで走っているしわを指し、腹話術の人形のように見えることが名前の由来。しわの中でもマリオネットラインは、小じわや中じわよりも深い構造的陥凹が認められる陥凹じわの一種。少し機嫌が悪いような印象を与えたり、見た目年齢を決める大きな要因になったりする。なお、鼻から口もとの両脇にかけて伸びるほうれい線とは別もの。

「マリオネットラインは加齢による真皮のコラーゲンの劣化、減少に始まります。そして、その下層にある表情筋の委縮と脂肪組織の構造の劣化により、症状が進んでいってしまいます」と宇井先生。

マリオネットラインの原因

■真皮のコラーゲンの劣化、減少
皮膚は表皮、真皮、皮下組織に分類され、真皮層に線維状のタンパク質であるコラーゲンと、そのジョイント部分にエラスチンという成分が存在する。このふたつが網目状に張り巡らされて、弾性と伸縮性に富んだ肌が生み出されている。年齢を重ねるにつれてコラーゲンとエラスチンが減少するため真皮内が緩み、それが原因となって肌表面にたるみとなって出現。結果、マリオネットラインができてしまう。

■表情筋の萎縮・口周辺の筋肉のたるみ
顔には多くの表情筋があり、それを靭帯が支えている。靭帯は加齢によって弾力を失い、筋肉を支えきれなくなった結果、重力により下に引っ張られ頬がたるむ。また、マリオネットラインと密接に関わっている口もとの口輪筋は、リング状の筋肉で筋膜と呼ばれるコラーゲン層についており、骨についていないため衰えやすい。さらに、知らない間に癖になっている表情が長年にわたってしわを作ってしまうことも。

■脂肪組織の構造の劣化
マリオネットラインができる原因には、脂肪組織の構造の劣化によるものもある。太ったり、ダイエットによって痩せたりを繰り返すほど脂肪組織の構造の劣化が進んでしまうため、しわやたるみが多くなると言われている。体重に変化のないほうがしわやたるみに影響を与えにくい。

■姿勢や噛み合わせの悪さ
頬の重みでマリオネットラインが増すため、うつむき姿勢には注意が必要。スマホは膝の上に置いて見るのではなく、顔の正面に持ってきて下を向かないで見る習慣をつけるなど、できるだけうつむき姿勢をなくすよう心がけることが大切に。また、片側の頬に枕を付けて寝ると重みでしわが深くなってしまうため、寝るときは仰向けがおすすめ。そのほか頬杖をつく、片側の口端で物を食べる、悪口を言うときに顔がゆがむのも原因のひとつ。

マリオネットラインの予防

表情筋トレーニングをする

主に口を閉じる、前に出して尖らせるという働きを担っている口もとの口輪筋を鍛える体操をご紹介。口いっぱいに空気を含み、その空気を上や下、左右にころころと動かす。このとき、鏡を見ながら空気によってきちんとマリオネットラインがなくなっているかを確認しながら行う。また、口を「お」の形にして前に出して尖らせる。どちらも表情筋を鍛えてマリオネットラインを目立たなくする運動なので、試してみて。

紫外線ケア・UV対策を徹底する

真皮の衰えを促すことは厳禁。その原因のひとつが紫外線を浴びることであり、紫外線のダメージでコラーゲンやエラスチンが減少したり変性したりすると肌の弾力やハリが失われてしまう。結果、マリオネットラインの症状を進行させていく。そのため、外出時はもちろん、洗濯物を干す間など紫外線を受ける際にはきちんと日焼け止めを塗ってUVケアを行うことがとても重要に。

保湿をする

乾燥から肌を守るのも重要なケア。パックを使用するときは、顔にのせて肌になじませたら、頬骨の上辺りを引っ張ってマリオネットラインを持ち上げるようにしてみよう。併せてフェイスラインを持ち上げることを意識するとなおよし。パックをしたままうつむき加減でスマホなどを覗いていると、頬とパックの重みでマリオネットラインが増すため注意。

マリオネットラインの対処・ケア・治療法

セルフマッサージ

マリオネットラインの真下には顔面動脈という大きな血管が通っているため、その動脈を刺激して血流を促し、くすみを取るようなマッサージが効果的。まず、蒸しタオルを顏にあてて血流をよくする。その後、マリオネットラインに沿って指や手のひらをあて、マリオネットラインの真下に沿ってある顔面動脈全体を刺激してみて。日々のケアに取り入れて、マリオネットラインを目立たなくすることをめざそう。

リラクゼーションサロンのフェイシャルエステ

セルフマッサージと同じ理由から、血流を促し、くすみを取るようなマッサージは効果的。フェイシャルエステで、マリオネットラインの真下に通る顔面動脈を刺激してもらおう。くすみが取れ、血流アップすればマリオネットラインを目立たなくすることにも期待できる。また、未然に防ぐための保湿ケアやリラクゼーションが目的という人にもおすすめ。

美容クリニックで照射を受ける

美容クリニックでの照射には、光フェイシャル、超音波(ハイフ)、高周波などもあるけれど、特に美肌再生用にマイルドに照射する治療法である深い波長のフェイシャルレーザーがおすすめ。なかでもジェネシスレーザーは、角質層および表皮から真皮上層に働きかけ、レーザーの光が美肌、整肌に有効に働く機器。マリオネットラインはもちろん、肌のキメ、ハリ、毛穴、赤ら顔、ニキビ跡などさまざまな治療効果を発揮する。

美容クリニックのヒアルロン酸注射・水光注射

ヒアルロン酸注射は、気になる部分の注射でヒアルロン酸を注入する方法。真皮の内側に注入されたヒアルロン酸によるボリュームアップ効果で、マリオネットラインが目立たなくなる。

さらにおすすめなのが、9本の極細針で肌に均一に注入する水光注射でより自然にヒアルロン酸を入れること。ヒアルロン酸の効果に加え、創傷作用による肌再生、コラーゲン増生効果も期待できるため、老化防止の肌ケアとして注目されている。

美容クリニックのボトックス注射

口輪筋の緊張を緩めることで口周りの縦じわは軽減されるので、早いうちから筋肉の緊張を緩められるボトックス注射を行うことが未来の刻まれるしわの予防には効果的。口輪筋に散りばめるように注射することで、自然な形でマリオネットラインを目立たなくできる。

また、すでに深くなってしまったしわに対しては、ボトックスで筋肉の動きを止めてヒアルロン酸の効果を長く保てる、ヒアルロン酸×ボトックスの組み合わせがおすすめ。

マリオネットラインにまつわるQ&A

年齢が若くてもマリオネットラインはできてしまいますか?

年齢が若くても、姿勢や生活習慣でマリオネットラインができることもあります。うつむき姿勢や肌の老化を招く糖分のとりすぎ、タバコを吸う習慣はやめましょう。特にタバコは体内のビタミンCを破壊するだけではなく、ハリや弾性、美肌、美白にも悪い影響を与えてしまいます。

また、ハリと弾力に欠かせない真皮に存在するコラーゲンを食事からも補給してみましょう。コラーゲンは鶏の皮や牛すじ、うなぎ、ゼリーなどに含まれています。また、コラーゲン生成を助ける補助ビタミンであるビタミンCも同時にとるといいです。食事で十分に摂取しにくい方は、サプリメントで補ったり、美容皮膚科クリニックで点滴を受けたりすることもひとつの手です。

お話をお伺いしたのは、医師・宇井千穂さん

準ミス日本受賞・客室乗務員を経て美容皮膚科医に。2019年に「やさしい美容皮膚科・皮フ科秋葉原院」を開院。アトピー性皮膚炎や肌の弱い人も安心して受診できるオーダーメイドの治療を提案する。

WRITING/NOZOMI SUZUKI、ILLUSTRATION/HARUKA OSHIMA

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※記事は2021年5月11日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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