生理前はなぜ不調を感じやすくなるの?
PMSは、生理前3~10日の間に続く、精神的あるいは身体的な症状で、生理開始とともに軽快、もしくは消失するもののこと。症状はイライラ、怒りっぽくなる、落ち着かない、憂うつ、眠気、睡眠障害、倦怠感、のぼせ、下腹部膨満感、下腹痛、腰痛、頭重感、頭痛、乳房痛などさまざま。
原因ははっきりわかっていないけれど、関わっていると考えられているのが女性ホルモンの変動。排卵がある女性の場合、排卵から生理までの期間(黄体期)には、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されるけれど、黄体期の後半には、これらの女性ホルモンの分泌が急激に低下する。この変動が脳内のホルモンなどに影響を及ぼし、生理前にさまざまな症状が出てくるというわけ。
PMSを発症しやすい人とは?
特にPMSになりやすい人はいるの? 産婦人科医の入江琢也さんによると、排卵があるかどうかがひとつのポイントになるそう。
「PMSは黄体期に症状が出るので、一般的に排卵がなければPMSは発症しないと考えられています。このため、無排卵周期症(排卵を伴わない生理)になりやすい思春期や更年期の女性はPMSの頻度は少ないと考えられます」
また、脳内のホルモンはストレスの影響を受けるため、PMSとストレスも密接な関係があると考えられているそう。
「仕事量や仕事の責任が多い20代後半から30代の働く女性はPMSの発症頻度が高く、症状が重い傾向があります。また、コロナ禍の生活環境の変化やストレスがPMS発症の引き金になったり、症状を悪化させたりすることは十分に考えられます。日常生活に困るほどの症状があれば、婦人科を受診しましょう」(入江さん)
PMSのリズムを把握して上手に付き合おう
婦人科を受診した場合、治療の中心となるのは低用量ピルの服用。
「PMSは排卵に伴う女性ホルモンの変動が原因と考えられているので、低用量ピルで排卵を止めることで、症状を軽くすることが期待できます」(入江さん)
低用量ピルは、服用している間だけ一時的に排卵を止める薬なので、服用をやめれば排卵が再開し、妊娠可能な状態となる。PMSの症状は幅広いので、精神的な症状が強ければ抗うつ薬など、それぞれの症状に対して薬が処方されることもある。
また、自分のPMSの状態を把握することも大切。毎月どれくらいのタイミングで症状が出始めるのか、どんな症状が出るのかなどを記録した症状日記をつけることで、PMSと付き合いやすくなる。例えば、PMSが出やすい時期はなるべくストレスを避け、気分転換やリラックスする時間を意識的に取るといった対処をしやすくなるというわけ。
これまでなかったのにPMSを発症したり、重くなってきたりした人はストレスがたまっている証拠と言えるかも。PMSをきっかけに生活を見直すことも意識して。
教えてくれた人
入江琢也さん
アイレディースクリニック新横浜院長。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本臨床細胞学会細胞診専門医。慶應義塾大学病院、けいゆう病院のほか渋谷や恵比寿の婦人科クリニックに勤務。2016年開院。月経痛緩和のための低用量ピル処方、子宮頸部異形成に対するレーザー治療などをおこなっている。
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WRITING/AKIKO NAKADERA