我慢するダイエットはリバウンドする!?食べながら痩せる最新ダイエット術とは
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我慢するダイエットはリバウンドする!?食べながら痩せる最新ダイエット術とは

更新日:2022/02/22

春が少しずつ近づいてくると、気になってくるのは冬の間に増えた体脂肪。「そろそろダイエットしなくては」という思いがよぎるけれど、ダイエットが続かずにリバウンドというパターンは避けたいところ。いったいどうすればリバウンドせずに痩せられるの? 年間5万人を保健指導する医師の益江毅さんに、20年間実践してきたという最新のダイエット法について教えてもらおう。

「ダイエットは我慢が必要」は、果たして本当?
アンケート:オズモール調べ 2022/1/21~2/1 927人のうち、ダイエット経験のある622人に調査

「ダイエットは我慢が必要」は、果たして本当?

オズモールのアンケートによると、ダイエット経験者の7割以上がリバウンドをしたことがあると回答。リバウンドは繰り返すほど痩せにくくなると言われているけれど、ダイエット経験者のうち35.1%が2~3回、23.2%が4回以上リバウンドを経験しているみたい。

リバウンドの原因については、約半数の46.1%の人が「ダイエットを習慣化できなかった」と答えているほか、「リバウンドで逆に太ってしまった。我慢や欲求に負けてしまった」(アメリアさん/38歳・会社員)、「“パイナップルダイエット”をしたが、パイナップルに飽きてしまいすぐにリバウンドした」(krcatさん/47歳・フリーランス)、「もういいかなと思い、少し間食を始めたら、そっちが習慣化。そうなると止めようと思っても止められない」(もこさん/41歳・会社員)などの意見も。

これだけ多くの人がリバウンドを経験していることを考えると、ダイエットを成功させるには相当な“我慢強さ”が必要なように思えてしまうけれど・・・。

「リバウンドとは、カロリー不足という飢餓状態から体を守るための生存本能によって起こるもので、“我慢強さ”や“意志の強さ”で乗り越えられるものではありません。カロリー制限というダイエット方法自体を見直す必要があるのです」(益江さん)

カロリー制限ダイエットはリバウンドして太りやすくなる

カロリー制限ダイエットはリバウンドして太りやすくなる

益江さんによれば、カロリー制限ダイエットは開始直後こそ体重が順調に減るものの、やがてカロリー不足から体が“飢餓状態にある”と感じるようになり、代謝を低下させてカロリーの消費を抑えてしまうという。ダイエットを始めてしばらくすると痩せにくくなるのは、このためなのだそう。

また“飢餓状態にある”と感じている体は、生きるために必要なカロリーを獲得するために「グレリン」というホルモンを分泌。グレリンには食欲を増進させる働きがあるうえに、脂肪を体内に蓄える作用もあるのだとか。

さらに、食べたいものを我慢することがストレスとなり、ストレスホルモンも分泌される。ストレスホルモンにも脂肪を蓄積する作用があるため、リバウンドを引き起こす要因となるのだそう。

「カロリー制限で体重が落ちたとしても、体脂肪はほとんど減らず、水分や筋肉が多く落ちてしまいます。そのため筋肉量が減って代謝が低下し、ダイエット前よりも太りやすい体質になってしまいます」(益江さん)

つまり、カロリー制限ダイエットをすると、ほどなくホルモンの作用で食欲が抑えられなくなり、体脂肪が増えやすくなってしまうため、ほとんどの人がリバウンドを招いてしまうことに。

実は、私たちがこれまでダイエットの基本と考えてきた「摂取カロリーを抑え、それ以上に消費カロリーを上げれば痩せられる」という理論(=エネルギーバランスモデル)は、最新の研究の結果、2021年9月に米国栄養学会によって完全に否定されたのだそう。

「太る原因とカロリー摂取量はまったく関係がないことが明らかになりました。カロリー制限をしてもダイエットは成功しない、と断言できます」(益江さん)

糖質の取り方を工夫するとリバウンドしにくい

糖質の取り方を工夫するとリバウンドしにくい

では、太る原因とはいったいなにかというと、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンが深く関係しているのだとか。

「私たちは糖質(炭水化物)を取ると、その後に血糖値が上昇します。その上昇した血糖値を下げるためにインスリンが分泌され、その作用によって糖が体脂肪となるのが太るメカニズムなのです。この理論は『炭水化物-インスリンモデル』と呼ばれ、米国栄養学会でもこの理論にもとづくダイエットこそが本当に痩せると結論づけています」(益江さん)

糖質はご飯やパン、麺類といった主食や、スイーツなどに多く含まれるもの。これらを制限することがダイエットには有効なのだけれど、糖質を制限しつづけることはストレスになるほか、極端な糖質制限はさまざまな不調を引き起こす可能性が。

そこでおすすめなのが“糖質の取り方を工夫すること”なのだと、益江さん。その具体的な方法をいくつか教えてもらおう。

◎主食にたんぱく質や脂質をプラスする
たんぱく質や脂質は食後の血糖値の上昇をゆるやかにするため、ご飯やパンはそのまま食べるよりも、たんぱく質や脂質と一緒に取ったほうが太りにくい。白ご飯よりも卵かけご飯やチャーハン、なにもつけないパンよりもバターたっぷりのパンを選んで。

◎主食は一番最後に食べる
まずは野菜類やおかずを食べ、最後にご飯などの主食を食べるようにすると、食後の血糖値上昇を抑えることができる。野菜サラダにかけるなら、糖質が少なくたんぱく質や脂質が多いマヨネーズやシーザーサラダドレッシングなどがおすすめ。

◎温かいご飯や麺類よりも冷たいご飯や麺類
ご飯やパン、麺類などに多いでんぷんには、「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」という成分が含まれている。このレジスタントスターチは血糖値が上昇しにくいのが特徴で、加熱すると大幅に減り、冷めると増える。そのため、ほかほかご飯よりも冷めたご飯、温かいそばやうどんよりもざるそばやざるうどんのほうが血糖値が上昇しにくく、ダイエットに向いている。

「たんぱく質や脂質は高カロリーなのでは?」と思った人は、従来のカロリー計算の考え方は一切忘れてみて。我慢せず食べながら痩せることが、リバウンドしないダイエットの新しい常識となるはず。

教えてくれた人

益江毅さん

医師・労働衛生コンサルタント。産業医科大学卒業後、大阪大学医学部第一内科、神戸掖済会病院、大阪警察病院、大阪船員保険病院で内科医、循環器科医として勤務した後、三洋電機株式会社大東産業保健センター所長・専属産業医に就任。2012年に産業保健サービスを提供する株式会社健康管理室を起業。これまでに200社以上で産業医をつとめる。

1月19日に発売された最新刊『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』(ダイヤモンド社)では、インスリンの分泌量を抑えるためには糖質をなにと組み合わせて食べればいいか、いつ食べればいいか、食べた後になにをすればいいかなどを詳細に掲載。日本で初めて最新のダイエット理論「炭水化物-インスリンモデル」を取り上げた本となっている。

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WRITING/TOMOKO OTSUBO

※記事は2022年2月22日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります