冬にしっかりとエネルギーを蓄えることが老化予防につながる
自然界の植物や動物の活動は、季節ごとに変化をしている。例えば植物は、春になると芽が出て伸びていき、夏になるとさかんに光合成して多くのエネルギーを生み、秋になると活動が落ち着いて葉が枯れ落ち、冬になると種を土に落として春を待つ・・・というサイクルを繰り返す。
岸さんによれば、東洋医学では人間の体も自然と同じように四季にあわせて変化すると考えられているという。
「春は植物が芽を出して伸びていくように、人間の体は心身が伸びやかに活動しはじめます。夏は活動がさかんになって最もエネルギッシュな状態になり、秋は植物の葉が枯れるのと同様に人間も皮膚や粘膜が乾燥しやすくなります。そして冬は、植物の種が地中で栄養を蓄えるように、人間の体も活動を低下させてエネルギーを体の内側に蓄えるようになるのです」(岸さん)
冬の間に蓄えたエネルギーは、そのあとにくる春、夏、秋を健康に過ごすための土台となるため、冬にエネルギーを十分に蓄えることができないと季節の変化に体がついていけなくなり、不調を招いたり老化が進みやすくなるのだと、岸さん。特にこれからの時期に、耳鳴り、むくみ、頻尿、夜間尿、白髪などが現れてきたら、エネルギーの不足による老化のサイン。冬の始まりであるこの時期から体内のエネルギーを蓄えるように意識することが、不調予防と老化対策の大切なポイントなのだそう。
エネルギーを蓄えるために見直したい生活習慣とは
体内のエネルギーを逃さないためにまず行いたいのは、“首がつく場所”をしっかり防寒すること。首元、手首、足首などの“首がつく場所”には、気(き=エネルギー)や血(けつ≒血液)の通り道である「経絡(けいらく)」が集まっているため、冷えてしまうと気や血の巡りが悪くなってエネルギーを蓄えにくくなってしまう。この時期から首元、手首、足首をしっかり覆う衣類を着るほか、42℃ぐらいのお湯で手湯や足湯をするのもおすすめ。
また、エネルギーを蓄える場所である腰も冷やさないように注意して。腰回りをしっかりと防寒し、鍋やスープなどの温かい食事をよく取って体の内側からも温めよう。
エネルギーを蓄えるためには睡眠を長めに取ることも大切で、特にこの時期からは“早寝遅起き”を意識してみて。
「立冬を過ぎると、寒さでエネルギーを消耗しやすくなります。できれば夜11時、遅くとも夜0時には寝て睡眠をしっかり取ることがエネルギーの回復につながります。ただし、太陽が昇る前に起きると体を冷やしてしまうため、これからの時期はあまり早起きはせず、朝日が昇ってから起きるようにしましょう」(岸さん)
そのほか、激しい運動や無理なダイエットなども、エネルギーの消耗につながるのだとか。暦の上で冬にあたる、立冬から節分までは控えめにしよう。
黒ごまと黒砂糖を使った老化予防ドリンクレシピ
食事面では、この時期から黒い食材を積極的に取るようにしてみて。黒豆、黒米、黒ごま、黒砂糖、海藻類などの黒い食材は、エネルギーを蓄える助けとなり、老化対策にもなるのだそう。
そこで、こうした黒い食材を使った簡単ドリンクレシピを、岸さんに教えてもらおう。
●豆乳と黒ごま、クルミ、黒砂糖のドリンク
<材料>
豆乳100~150cc、黒ごま(すりごま)大さじ1、クルミ大さじ1、黒砂糖 適量
<作り方>
(1)豆乳をカップに入れ、500Wの電子レンジで2分弱温める。
(2)(1)に黒ごま、砕いたクルミ、黒砂糖を入れてよくかき混ぜる。
「このドリンクを飲み続けることでエネルギーを蓄えることができ、老化予防に役立ちます。特に疲れ、冷え、腰痛、生理不順、白髪、抜け毛、シワなどに悩む人におすすめです」(岸さん)
これから始まる冬をどう過ごすのかによって、老化の進み方が変わってくるかも。この時期からエネルギーを蓄える生活習慣を実践して、エイジングケアをしてみて。
教えてくれた人
岸直美さん
漢方専門店「ニホンドウ漢方ブティック薬日本堂 青山店」薬剤師・漢方相談員。漢方薬から和漢ブレンドティ、スキンケアまで、からだの内外からのトータルケアを提案している。同店地下1階には「薬膳レストラン10ZEN青山店」があり、おいしくヘルシーな薬膳料理が楽しめる。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO