花粉症対策は生活習慣を整えることから
花粉症の代表的な症状であるくしゃみや鼻水は、体内に侵入しようとする異物を追い払う体の防御反応で、適度に起こるのは正常な状態。ところが、この防御反応を担う「バリア機能」が乱れていると、花粉の刺激に過剰反応してくしゃみや鼻水がひどくなってしまう。
「東洋医学では、皮膚や粘膜などの体表部を流れる気(き=エネルギー)が異物などの侵入を防ぎ、バリア機能の役割を果たしていると考えます。しかし、気が不足していたり、気のめぐりが滞ったり、余分な水分がたまって気のめぐりがさえぎられたりすると、体表部の気の流れが悪くなってバリア機能が乱れてしまうのです」(岸さん)
この状態で花粉の刺激を受けると、滞っていた気が一気に発散されるためにくしゃみが過剰に出たり、たまっていた水分がどっとあふれ出て鼻水や涙が止まらなくなったりすることが。
「花粉症の根本的な対策は、バリア機能を担う気の不足や滞りを防ぐこと、そして余分な水分がたまらないように水分代謝の低下を防ぐことにあります。ストレスや過労、睡眠不足は気の滞りを招き、胃腸に負担のかかる食生活は気の不足や水分代謝の低下を招くので、まずはこうした生活習慣を改善することが大切です」(岸さん)
花粉症のタイプに合わせて食事や睡眠などを見直そう
花粉症の症状は大きく「冷えタイプ」と「熱タイプ」のふたつに分かれるのだと、岸さん。水っぽい鼻水が滝のように流れ出るなら冷えタイプ、鼻がつまる、黄色く粘りのある鼻水が出るといった症状なら熱タイプと考えられる。
冷えタイプの場合、水っぽい鼻水があふれ出るのは、水分代謝が低下して余分な水分がたまっていることが原因。特に胃腸を冷やしやすい食生活は、水分代謝の低下を招く大きな要因なので、改善することが花粉症対策になるのだそう。
「冷たい飲みものは温かい飲みものに、生野菜のサラダは温野菜やおひたしに、生魚は煮魚や焼き魚にして、胃腸を冷やす食事をできるだけ避けましょう。また、甘いものも胃腸の負担となって水分代謝の低下を招くので、控えめに。体内にたまった水分で体が冷えやすいため、体を温めることも大切です」(岸さん)
一方の熱タイプの場合、余分な熱が体内にこもって水分が乾燥して固まるため、鼻がつまったり、粘り気のある鼻水が出たりする。熱がこもる原因のひとつはストレスで、ストレスによって気のめぐりが滞り、そこに熱が発生するのだとか。そのほか、辛いものや刺激物を食べすぎることも余分な熱がたまる原因に。
「余分な熱は皮膚や粘膜の乾燥や炎症を引き起こし、かゆみや熱感なども招きます。ヨガやストレッチなどの体を伸ばす運動でストレスを発散する、夜ふかしをせずに23時頃には就寝する、辛いものや刺激物を控えめにするといった生活改善が効果的でしょう」(岸さん)
ツボ押し+アロママッサージで鼻の症状がスッキリ
冷えタイプと熱タイプのどちらにもおすすめのケアが、「迎香(げいこう)」のツボ押し。鼻の通りをよくするツボで、小鼻のすぐ横にある骨のきわのくぼみにあり、鼻水や鼻づまりなどを緩和するといわれる。両手の人差し指を左右のツボにあててやや上向きに10秒強めに押し、パッと離して。これを5回繰り返そう。
さらに「印堂(いんどう)」のツボもあわせて押してみよう。眉間の中央にあるツボで、鼻の通りをよくするほか、目の疲れの緩和や集中力アップにもなるとか。人差し指をあて、頭の重みで押すようなイメージで5秒押し、3回繰り返して。
「ホホバオイル5ml(小さじ1)に精油を1滴加えてマッサージオイルを作り、迎香や印堂のツボをマッサージしながら押すのもいいでしょう。精油は冷えタイプならユーカリやティートリー、熱タイプならペパーミントやサイプレスがおすすめです」(岸さん)
花粉症をできるだけ抑えるために現状の生活習慣に改善の余地はないか、改めて見直してみて!
※精油を使用する際は事前にパッチテストを行い、皮膚に刺激がないか確かめることをおすすめします
教えてくれた人
岸直美さん
漢方専門店「ニホンドウ漢方ブティック薬日本堂 青山店」薬剤師・漢方相談員。漢方薬から和漢ブレンドティ、スキンケアまで、からだの内外からのトータルケアを提案している。店舗は全国で11店舗展開し、同店は東京・青山エリアに2021年1月25日ニューオープン。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO