気づけば2023年も、あと数カ月で終わり。コロナの影響で滞っていたさまざまなことが元通りになり、生活の変化を感じた人も多いのでは。そんな2023年に、ヘルスケア関連で話題になったニュースを独自の視点でピックアップ！ この1年の思い出と共に振り返ってみよう。
アフターコロナ時代に注目のヘルスケアトレンドは？
【NEWS1】
脱マスク美容
マスクの着脱が任意になり、長い間続いたマスク生活から抜け出した！という人が増加。それとともに、これまでマスクで隠せていた口元、歯、あごなどのケアに注目が集まるように。例えば、口紅の復活。2021年にはコロナ前の約3分の1まで売り上げが減少したものの、今年上半期にはコロナ前の約8割の水準まで回復。口紅をまた楽しむようになった人も多いのでは。また、歯の矯正を始めたり、鼻や顎・フェイスラインなどの美容整形を受けたりする人も増え、下顔面の美容に今後も注目が集まりそう。
【NEWS2】
エクソソーム
エクソソームは、細胞が出す小さなカプセル状の物質（細胞外小胞）のこと。さまざまな「メッセージ物質」が含まれ、細胞間の情報伝達という役割を持っているそう。細胞同士がエクソソームをやり取りすることで細胞の性質が変化することを証明した報告が出ており、肌の老化や毛髪の再生などとの関連性が指摘されている。日本では現在、一部の医療機関において、美肌や毛髪再生、代謝の改善、疲労回復などに対する自由診療の治療法のひとつとして提供中。
【NEWS3】
フェムテック盛り上がる
テクノロジーを用いて女性特有の健康問題を解決する「フェムテック」については、2023年も引き続き盛り上がりを見せている。なかでも、他人に相談しづらいデリケートゾーン部分の悩みにダイレクトにアプローチするものが人気だそう。
「腟まわりの乾燥、むずがゆさなどをレーザー治療で改善する『フェムタッチ』は、年齢問わず人気です。また、尿漏れに悩む方も意外と多く、高密度焦点式電磁波（HI-EMS）を用いて、座るだけで骨盤底筋を強化するトレーニング機器も注目されています」（対馬先生）
【NEWS4】
低用量ピル広まる
「妊娠を希望しない間は、ピルを服用することで生理に伴う不調を軽減できる」という認識が広まり、低用量ピルを活用する女性が増加中。ピルのオンライン診療のTVCMを見て、服用を始めたという人も多いよう。つらい月経痛に悩む人には、特にピルの適切な服用をすすめたいと対馬先生も話す。
「患者さんご自身の月経の状態に応じて低用量ピルやミレーナなどのIUS（子宮内避妊システム）を案内し、少しでも元気に過ごせるようにすることは産婦人科医のとても大事な役割だと思っています」（対馬先生）
【NEWS5】
「飲む中絶薬」の承認
2023年のヘルスケアトレンドの中でも、実は大きなニュースといえるのが、「飲む中絶薬」といわれる経口妊娠中絶薬の承認。緊急避妊薬（アフターピル）と勘違いしている人が多いかもしれないが、アフターピルが妊娠成立前に飲む薬なのに対し、経口妊娠中絶薬は妊娠成立後に飲むもの。承認まで時間がかかったことや、手術を避けられることなどにより注目を集めている。
「手術よりも時間はかかりますし、出血や腹痛などの副作用が生じることもありますが、感染症などのリスクを軽減できるようになり、選択肢が増えたのは、女性の健康にとって大きな進歩といえます」（対馬先生）
対馬ルリ子 先生
医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス理事長／女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長／NPO法人「女性医療ネットワーク」理事
産婦人科医師、医学博士。弘前大学医学部卒業。女性ライフクリニック銀座・新宿の理事長として、「女性の生涯のかかりつけ医」を目指し、トータルな健康支援に取り組んでいる。2003年には女性の心と体、社会とのかかわりを総合的にとらえ女性の生涯にわたる健康を推進するNPO法人「女性医療ネットワーク」を設立。現在も理事として、さまざまな啓発活動や政策提言を行っている。『「閉経」のホントがわかる本』など著書多数。
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