THE TIME TRAVEL 時間旅行 Vol.002 /
Editorial Haus MAGASINN(京都府京都市)【後編】

the TIME travel 時間旅行 Vol.002 / Editorial Haus MAGASINN(京都府京都市)

【毎週火曜 6:00更新】
本屋、雑貨店、ギャラリーなどさまざまな要素が一体化した「泊まれる雑誌」。オーナー岩崎達也さんを中心に、最先端の人々の手で編集された空間で過ごす1日は、発見と出会いに満ちている。

更新日:2016/08/02

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泊まれる雑誌 京都にオープンしたEditorial Haus MAGASINN カフェ 古書 ゲストハウス 古民家 
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2Fの宿泊スペースに続く階段には、1960年代から現在までの「時代を映す本」を、年代別に並べた棚がある。宿泊者の川合祐未さんが選んだ『B型 自分の説明書』は2000年代のベストセラー

本や雑貨と出会い ともに過ごす夜

 「泊まれる雑誌」をコンセプトに、京都にオープンしたEditorial Haus MAGASINN。二条城から北へ向かって歩いて10分、丸太町通の一筋北、歩く人の服が擦れる音が聞こえるほど静かな住宅街のなかでひっそりと時を刻んでいる。1Fと2Fの半分をストア、ギャラリー、イベント会場として一般開放し、2F奥の部屋は1日1組限定の宿泊スペースとして使用。

 この日の宿泊者はオーナーの岩崎達也さんの友人で、イラストレーター・グラフィックデザイナーの川合祐未さん。「夜はとても静かで、寝室の電気がオレンジ色に光って、とてもムーディーな雰囲気ですよ」。就寝前のお供にも、読書が楽しめる。「『パンツが見える』というタイトル。思わず笑ってしまいました」と、普段は手に取らない本との出会いについて楽しそうに話す。

 ここにあるのは、MAGASINNのスタッフと、コラボレーションする東京のSNOW SHOVELLING(スノウショベリング)、京都のYUYBOOKSの手で1冊1冊選ばれたものばかり。次の朝スタッフと感想を共有してみるのも良いし、気に入ったら購入が可能なのも嬉しい。

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近所の「チタチタ喫茶」でいただけるモーニング(宿泊料+500円)。MAGASINN宿泊者には、通常のAセットにプラス一品をサービスしてくれる

ゆるやかな空気が流れる 喫茶店で朝食を

MAGASINNのある椹木町通を少し歩くと「チタチタ喫茶」という小さな喫茶店がある。カウンターにコーヒーチケットが貼られた純喫茶スタイルで、丸い椅子のカウンターと緑のボックス席がレトロなほっこり落ち着ける優しい空間。朝食希望の宿泊者には、ここのモーニングが提供される。野菜がたっぷり入った手作りのスープに、バターの染み込んだ焼きたてのトーストの朝食は、これから始まる1日の頼もしいエネルギー源に。

「店主のみよしさんは、一見そっけないように見えるけど、実はとてもいい人なんですよ」と岩崎さん。店に置いてある漫画や雑誌、CDのセンスの良さに、カルチャー好きはつい反応してしまうかもしれない。店に流れるスローな音楽に耳を傾けたり、常連らしき男性が新聞片手に店主と会話する様子をぼうっと眺めたり。朝の「チタチタ喫茶」では、忙しい日常とは無縁の、ゆったりとした時間が流れる。

泊まれる雑誌 京都にオープンしたEditorial Haus MAGASINN カフェ 古書 ゲストハウス 古民家 
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京都初進出というチェコの文房具ブランドや、編集者の菅付雅信さんがディレクションした編集者のためのカバンなど、一つ一つ岩崎さんによって丁寧に選ばれた雑貨が、美術展のように壁にディスプレイされる

「これからの MAGASINNは?」

 岩崎さんは現在30歳。「書籍や書類がどんどんデジタル化するなか、紙の本は嗜好品になって行くと思う。紙の良さもデジタルの良さも、フラットに感じ取れる世代だからこそ、雑誌をスペースとして運営するということができるのかも」。開催中の「本:本を体験する」特集が終わったあとは、「KYOTO ART HOSTEL kumagusuku」の矢津吉隆さんとコラボする「アート」特集、またデザイン事務所「れもんらいふ」の千原徹也さんとコラボする「デザイン」特集が続く。特集を通して「最先端でありながら、サブ・カルチャーにとどまらない面白いもの」を発信していくそう。

「めざすのはローカルに根差しつつ外にも開けたお店。今後、京都のローカルカルチャーを体験できる場所として、京都の陶芸家の方の器や、西陣織のクッションなど、地場のコンテンツ・商品を充実させていく予定です。
そしていつか地元の神戸や、東京などにも店舗を持ちたいですね」。

 今後いろんな人を巻き込んで、新たなムーブメントを築き上げる可能性を秘めたMAGASINN。その歴史は今、時を刻み始めたばかり。

泊まれる雑誌 京都にオープンしたEditorial Haus MAGASINN カフェ 古書 ゲストハウス 古民家 
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【今週の時間旅行 to 京都
Editorial Haus MAGASINN(エディトリアル ハウス マガザン)】

泊まれる雑誌 京都にオープンしたEditorial Haus MAGASINN カフェ 古書 ゲストハウス 古民家 


TEL.075-202-7477
住所/京都府京都市上京区中書町685-1
IN 18:00~20:00、日曜14:00~20:00/OUT 9:00~10:00
1泊12000円(1名1室利用時)
営業時間/18:00~20:00、日曜14:00~20:00
アクセス/JR二条駅より徒歩15分、京都市バス「堀川丸太町」より徒歩5分

チタチタ喫茶(チタチタキッサ)
TEL.075-823-2121
京都府京都市上京区椹木町通葭屋町角講堂町223
営業時間/8:00~19:00 (モーニング:8:00~10:30 ランチ11:30~15:00) ※水のみ12:00~
火定休
アクセス/地下鉄東西線二条城前より徒歩10分

WRITING/AI KIYABU  PHOTO/EDDY OHMURA

※記事は2016年8月2日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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