シネマみたいな旅がしたい.09「冬の海辺の町の話」/神奈川県三浦市

シネマみたいな旅がしたい.09「冬の海辺の町の話」/神奈川県三浦市

まるで映画の世界に入り込んだようなドラマチックで絵になる町は、せわしない日常を忘れさせてくれるとっておきの旅先。東京女子部の@baba_sleepalldayさんが神奈川県三浦市・三崎で体験した、冬の海辺の町の物語。

更新日:2023/12/24

いつか行こうと思って作ってきた旅先リストの中で、いちばん気になっていたのが、神奈川県三浦市の三崎。まぐろが有名な港町で、三浦半島の最南端に位置する。さっそくこの休みに、京急線とバスを利用して三崎港へ。目の前には深い青色の海が広がり、対岸には城ヶ島が見える。薄曇りだからなのか異国情緒たっぷりで、ヘルシンキでおにぎり食堂を始める、あの映画のワンシーンのよう。気分が浮き立つ渡し舟を利用して、城ヶ島へ向かう。水面の近くから見る景色は、また違って見えた。

「ピー」という鳴き声の先には、トンビが空高く舞い上がり、目の前では大量のまぐろが漁船から降ろされている。その様子を興味深く見ていると、「三崎はいろんな国のまぐろが集まるんだよ。ケープタウンで獲れたものとかね」とフレンドリーな船頭さんが、このあたりの漁獲事情を教えてくれる。

おしゃべりをしていると、あっという間に島に到着。その足で、三崎まぐろの大トロを使用したフィッシュ&チップスが楽しめる、「FISHSTAND」をめざす。お目当てのフライをいただくと、ふわっと口の中でとろけてしまう。火を加えるとまぐろのうまみがより強く感じられるそう。カラッと揚がったポテトは、散策しながら食べようかな。

城ヶ島を満喫した後は、冷えた体を温めるべく、三崎下町商店街にある「蒸籠食堂かえる」へ。メニューのほとんどがおひとり様サイズで、女性ひとりでも利用しやすい。三崎に魅せられて移住した店主の古矢美歌さんのアイデアが詰まったこの店は、2021年にオープンした。「コロナ禍を機に、都会に近い田舎に住みたくなって」と移住。

半年後に、いつかの夢だった飲食店を開いたというから驚く。「三崎で出会った素敵な方々のおかげです。私は運がよかっただけ」と苦労話もこともなげに話す。楽しい会話とおいしいお酒に酔ったのか、「なにかしたいけど、やり方がわからない」と本音がぽろり。「私にとって三崎は自分と向き合えて、自分に還れた場所。この旅は自分のことを考える時間にしてもいいかもね」とさりげなく提案してくれる。

いろんな人が行き交う港町だからなのか、触れ合った人々は皆フレンドリー。そのおかげで私も気構えせず自然体でいられた。店を出るとき「なにかあってもなくても、いつでも帰ってきてね」との言葉にもほっこり。冬の港町でのひとり旅は、人の優しさが温かかった。私を癒してくれる場所ができたようで、嬉しい。

シネマみたいな旅のロケ地

FISHSTAND

まぐろ専門の卸問屋・三崎恵水産が、2022年にオープンさせた加工食品の直売店。三崎まぐろの大トロを揚げたフィッシュ&チップスは、ほかでは味わえない贅沢な逸品。3種類のオリジナルディップをつけるとまた違った味わいを楽しめる。店内に並ぶまぐろコンフィなどは、おみやげにぴったり。

DATA

フィッシュスタンド
TEL.046-881-7222
住所/神奈川県三浦市三崎町城ケ島658-142三崎恵水産内
営業時間/10:00~16:00
定休日/月~水・日
アクセス/三崎口駅より城ヶ島方面バスで約25分、城ケ島漁港前下車徒歩2分

蒸籠食堂かえる

三崎下町商店街に佇む小さな食堂。看板メニューは、さまざまな蒸し料理。なかでも旬の三浦野菜を蒸した野菜蒸しや、米粉をブレンドして皮から作る、もちもちした食感の蒸し餃子がおすすめ。自然派ワインと一緒に楽しみたい。土~日は不定期でランチ営業も行っている。

DATA

せいろしょくどう
TEL.なし
住所/神奈川県三浦市三崎2-13-10
営業時間/金18:00~ 土・日17:00~ 21:00(20:30LO)
定休日/月~木
予約/可
カード/不可 ※現金のみ
アクセス/三崎口駅より城ヶ島方面バスで約15分、三崎港下車徒歩3分

PHOTO/AYA MORIMOTO WRITING/AKI KOTAKE MODEL/@baba_sleepallday(東京女子部)

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※記事は2023年12月24日(日)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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