家庭での食品ロスに関する疑問を中村シェフに教えていただきました

“もったいない”食材のアレンジレシピ料理教室で講師を務めていただいた、「ホテルメトロポリタン エドモント」統括名誉総料理長の中村勝宏さんに、家庭での食品ロスに関する疑問や、料理のコツに関して、お答えいただきました。
※一部、日本料理を担当されている方にも回答をいただいています

更新日:2020/10/27

Q.余りやすいキャベツの硬い部分の調理法などを知りたいです

A.キャベツの芯の固い部分は、本来熱を通すととても甘くて美味な部分でもあります。
簡単な方法では、キャベツを剥がし熱湯で芯が残るようにさっと湯がき、冷水で冷まして水分をよく切り、適当な大きさに刻み、洋風のドレッシングで食べる方法や、ほうれん草のように削り節を載せポン酢などでもさっぱり食べられます。
フランス風には、6分の1の大きさにカットしたキャベツと、ベーコンの固まりなどを鍋に隙間なく置いて、チキンブイヨン・白ワインなどを2分の1くらいまで注ぎ、紙蓋をしてさらに鍋蓋をし、キャベツの芯が柔らかくなり水分が適度に煮詰まるまでオーブンに入れるかガスの弱火で約1時間半ほど蒸し焼きにするととてもおいしくいただけます。

Q.大根の葉やセロリの葉など、どうすれば使えるかお伺いしたいです

A.大根の葉は私自身は小口にカットして味噌汁によく使用しますし、葉の房ごと漬物にもします。
セロリの小枝と葉は非常に栄養価が高く、煮込みなどに使用すると旨みが出ます。また、セロリの黄色い葉の柔らかい部分は小枝ごと、浅漬けの素などを使用して漬物にします。

Q.ブロッコリーの選び方、洗い方なども教えてほしいです

A.よくしまって色が濃いものを選び、洗う場合は、房ごとカットして、軽く水洗いしてください。

Q.レタスやキャベツはサラダばかりにしてしまうので、加熱して食べるおすすめ料理を知りたいです

A.キャベツは1枚ずつはがし軽く茹でて冷水にとり、水分をふき取った後、ハンバーグのようなネタを2~3枚の葉で包み型に巻き込み、缶詰のホールトマトなどで煮込みます。(ロールキャベツとしてよく作られる方法です)
レタスも外側の青くて固い部分は、同じくサッと湯通しして冷水にとり、水分をよくふき取った後、適当な大きさにきざみ、ほうれん草のお浸しのようにポン酢でおいしくいただけます。また、大きめの葉を出来上がったラーメンの具として使用するとシャキシャキしておいしいです。
<日本料理担当より>
A.キャベツ、レタスはごま油で炒めてから、出汁を加えて煮びたしに。

Q.意外と知られていない、皮をむかなくてもおいしく食べれる食材が知りたいです

A.ズッキーニの種類で小さなかぼちゃのような形のものが色とりどりであります。カットしてほかの野菜とともに炒めたりするのも結構ですが、丸のまま中を少しくりぬいて詰め物をし、オーブンで蒸し焼きにするとおいしいです。

Q.料理の時に野菜の皮をむく意味と、皮をむかなくても気にならない料理はどんなものがありますか?

A.皮をむく行為はあくまでも、料理の見た目をよくする方法です。
かぼちゃの煮つけなどにする場合は、よく洗って、皮ごと種つきのまま適当な大きさにカットして煮付けると美味しく仕上がります。また、大根はよく洗ってわざと厚めに皮をむき、その皮をきんぴらにすると美味しいです。
<日本料理担当より>
皮に近い部分は素材によっては筋が口に残ることがあるため、皮をむきます。風呂吹き大根や蓮根のきんぴらなどは皮をむかなくても、おいしく召し上がれます。

Q.あくを取ることはどれくらい必要ですか?

A.野菜のあくは、最初沸騰した時に出るあくを一度丁寧に取れば、それ以上は取る必要はありません。
でも、鶏ガラなどのスープストックを作るときに出るあくは、沸騰時に丁寧に取り去り、その後も2~3度取る必要があります。これは魚の骨でだしを取るときにも同様のことが言えます。

Q.じゃがいもが余りがちなので、ヘルシーなレシピがあれば教えていただきたいです

A.よく洗って皮つきのまま茹で、アツアツのうちに皮をむいて5~6ミリの厚さにカットしたじゃがいもを、ボウルに移し、オリーブオイル、多めのフレンチマスタード、ビネガーで濃いドレッシングを作り、熱いうちに軽く混ぜ、温かいうちに食べます。トッピングに小葱の薄切りやゆで卵の刻んだもの等をのせるとより完成度が高くなります。特に新じゃがにはもってこいのサラダです。
<日本料理担当より>
A.じゃがいもを蒸してつぶしたものに白玉粉を混ぜ、形を整えて蒸し上げた、じゃがいももちはいかがでしょうか。味付けした出汁と大根おろしで煮おろしにして食べます。

Q.普段使わない塩麹やスパイス、ナンプラーなどを、日常の料理で使える方法はありますか?

A.塩?は特に鮭の切り身や豚肉、鶏肉などにまぶしてしばらく置いてから料理すると、肉は柔らかくまた、風味が程よく美味しくなります。ナンプラーは様々な料理に隠し味として使われる場合が多いです。
各種のスパイスなどもそうですが、それぞれの用途によって使い方が異なります。できれば、それらの本が良く出回っていますので、それらを見て参考に、基本的なことを理解したうえで利用されることをお勧めします。

Q.家庭だと出汁に使う野菜くずなどは一度に大量でないので、ある程度の量をためた方がいいですか?

A.これはなかなか難しい質問です。なぜならば、ご家庭ではさほど多くの野菜くずは出ないでしょうし、これらを冷凍してもさほど有効だとは考えられません。要はできるだけくずを出さない、無駄を出さないことで、心掛けることは切り方です。切り方によってだいぶ違います。にんじん、大根などはよく洗えば当然そのまま皮ごと料理できます。

Q.果物の皮は農薬が気になって捨てていますが、どうすればよいでしょうか

A.まず、野菜やフルーツも当然よく洗うことが必要となります。多くの野菜くずが出た場合、だし汁用の香味野菜として使い切るのもよい方法です。また、フルーツ(ぶどう、柿、もも)などは、私は薄い洗剤でよく洗い、真水で十分にすすいだ後、皮ごと食べるのを習慣としています。慣れれば、皮をむいたフルーツとは比較にならないほど美味しいです。

Q.だいたいどんな食材もヘタも食べられますか?逆に食べたらいけないものがあれば教えてください

A.キノコなどの軸は先端の堅い部分だけ削りますが、切り方によって薄くカットすれば十分おいしく食べられます。また、トマトやリンゴなどのへたのくぼみの部分は洗ってもすべての汚れは取れませんので、その部分だけ削り取って使用することが一般になされています。

Q.野菜や果物の皮など、捨てがちなところはどこまで食べられるか知りたいです

A.その料理によって用途も違います。例えば、大根や人参などは、よく洗えば煮込みなどにして皮付きのままで使用でき、おすすめです。また、他の質問にもありましたが、大根などはわざと厚めにカットして、その皮の部分できんぴらにすると美味です。蓮根などあくが出る野菜はできるだけ薄く皮をむいて使用することが肝心です。

Q.ひじきや切り干し大根は少量では作れず、大量に作ることになるのですが、そのまま食べ続けると飽きます

<日本料理担当より>
A.ひじきはごはんに混ぜ込み、炊き込み御飯風にしたり、すし飯に混ぜてちらし寿司にしても美味しいです。切干大根はマヨネーズを混ぜてサラダとして食べるのもおすすめです。

Q.出汁を取ったかつお節や昆布の使いみちを知りたいです

<日本料理担当より>
A.昆布を刻み、鰹節と出汁、酒、醤油、砂糖で煮ます。ごはんに混ぜ込んで、焼きおにぎりに。

日本フレンチの巨匠に教えてもらう、家庭でできる食品ロスの削減【第2回SDGsイベントレポート】

もったいないとわかっていても、食材を使い切れなかったり、食べ残したり。そんな“食品ロス”を意識することもSDGsの初めの一歩に。
SDGs活動の一環で食品ロス削減に取り組む「ホテルメトロポリタン エドモント」にて“もったいない”食材のアレンジレシピ料理教室を9月下旬に開催。その模様と、ホテルの取り組み、講師シェフのインタビューを紹介します。

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※記事は2020年10月27日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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