子犬のふやかした餌はいつまで与える?カリカリにするタイミングや注意点も

子犬を迎えてしばらく経つと「フードはいつまでふやかしたほうがよい?」「そろそろドライフードを与えるべき?」と疑問に感じる人も多いはず。水分が多いふやかしご飯は胃腸にやさしいため、ずっと与えたいと思う人も多いかも。今回は、子犬の食事をふやかしご飯からドライフードに変えるタイミングや、切り替え時の注意点を解説。ふやかしご飯の疑問もまとめているため、子犬と暮らしている人はぜひチェックして。

更新日:2023/10/16

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お話を聞いたのは・・・

「chicoどうぶつ診療所」獣医師 林美彩さん

酪農学園大学獣医学部卒業。大学卒業後、自身が代替療法と出会ったことで、動物の体に優しい治療法や食事・環境の見直し、飼い主の心のケアの大切さ等を伝えていくため、2018年に『chicoどうぶつ診療所』を開業。往診を中心に、精力的に診療を続けている。

<著書>
獣医師が考案した 長生き犬ごはん」(世界文化社)2019/12/18
獣医師が考案した 長生き猫ごはん」(世界文化社)2020/11/13
『獣医師が考案した一汁一菜長生き犬ごはん こだわりの安心レシピ&作り置きOK!』(世界文化社)2022/1/26

<公式サイト・SNS>
chicoどうぶつ診療所HP
Instagram:@chico_ah_323
Amebro:https://ameblo.jp/tinkerbell19850323/

1.子犬にふやかしたフードを与えるのはいつまで?

個体差はあるが、子犬にふやかしたドッグフードを与えるのは生後3~4カ月頃までが基本。生後3カ月頃には乳歯が生え揃うため、硬いドッグフードも食べられるようになる。子犬が生後3~4カ月を迎えたら、少しずつドライフードに移行しよう。

なお、生え揃った乳歯は生後7カ月~1歳頃までに永久歯に生え変わる。永久歯は乳歯の下で成長し、乳歯が抜け落ちると徐々に生え始める。ふやかしご飯からドライフードへの移行はこの時期までに完了させておこう。

2.子犬のフードをふやかしからカリカリに変えるときのポイント

ふやかしご飯からドライフードに移行する場合、いくつかの注意点がある。子犬に負担をかけないよう、フードの切り替えはポイントを押さえて行うことが大切。

2-1.水分量は徐々に減らす

ドッグフードの水分量は、少しずつ減らすのがポイント。ふやかしご飯を食べていた子犬にいきなりドライフードを与えると、警戒心からドッグフードを食べなくなる可能性がある。自然にドライフードへ移行できるよう、フードの硬さは段階を踏んで調整しよう。

2-2.切り替えには1~2週間かける

ふやかしご飯からドライフードへの切り替えは、1~2週間ほどじっくり時間をかけて慣れさせること。子犬が生後3~4カ月を迎えたからといって、急いでドライフードに切り替える必要はない。途中でフードを嫌がったときはひとつ前の硬さに戻し、犬の様子をみながら切り替えて。

2-3.便の状態は毎日チェックしよう

ふやかしご飯からドライフードへ切り替える間は、便の状態をよく観察して。便が緩すぎたりフードが混じっていたりする場合は、硬いフードで消化不良を起こしているかも。消化器官が未熟な子犬期は軟便や下痢を起こしやすいため、フードの硬さの変更は慎重に行おう。

3. 子犬にふやかしたフードを与えるメリット・デメリット

3-1.子犬にふやかしたフードを与える6つのメリット

ふやかしご飯にはドライフードにない魅力がたくさんある。消化器官が未熟な子犬だからこそ、フードの硬さには気を遣おう。まずは子犬にふやかしご飯を与える主なメリットを紹介する。

消化しやすくなる

柔らかくふやかしたフードは、ドライフードに比べて消化しやすい。そのため消化器官が未熟な子犬でも、栄養をしっかり吸収できるのがメリット。

なお、野生下ではふやかしたご飯がないため、子犬は母犬が咀嚼して吐き出した食べ物を食べる。吐き戻された食べ物はふやかしご飯と同じく柔らかく食べやすい状態で、内臓が未熟な子犬も楽に消化できる。

歯やあごの力が弱くても食べやすい

しっかりふやけたご飯なら、歯やあごの力が弱い子犬も難なく食べられる。乳歯が生え揃うまでの子犬はまだあごの力が弱く、硬い食べ物は食べづらい。ドライフードをふやかすことで歯が揃っていなくても食べやすくなり、栄養もしっかり摂取できる。

満腹感を得られやすい

ドライフードに比べて、ふやかしたご飯は満腹感を得やすいという特徴もある。ドライフードはふやかすと大きく膨らみ、ふやかし時間によっては元の大きさの2~3倍になることも。そのため、1回の食事量が少なくても満足感を得られやすい。一方で、ふやかしたご飯は消化しやすいため、空腹感もやや感じやすくなる。

自然に水分補給ができる

ドッグフードにはさまざまな商品やタイプがあるけれど、ドライフードの水分含有量は10%程度以下とかなり少ない。犬はのどが渇く感覚が鈍く、普段ドライフードだけを与えていると水分不足になりやすい。
水分をたっぷり含んだふやかしご飯なら、食事と一緒に十分な水分補給ができ、脱水症状や泌尿器疾患などのリスクを軽減できる。

風味や香りが立って食欲が高まる

ドッグフードは温めると風味が増すため、お湯でふやかすことで犬の嗜好性を高められる。犬は人の何倍も優れた嗅覚を持っており、食べ物の嗜好性には匂いが最も影響するといわれている。
フードをふやかして与えるだけで食欲が出ることも少なくなく、夏バテや体調不良、ストレスなどによる食欲不振時にも活用できるのが強み。

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胃捻転のリスクを減らせる

ふやかしご飯は、胸の深い大型犬に多い「胃捻転(いねんてん)」のリスク軽減にも役立つ。一般的なドライフードは発泡製法と呼ばれる作り方で製造されており、粒内には多くの空気が含まれている。そのため胃内に余分なガスが溜まりやすく、胃捻転を起こす場合があると考えられる。

なお、犬は体の構造的にゲップが苦手で、胃内の空気を排出するのに長けていない。その点、ドライフードをふやかせば粒内の空気が外に押し出され、余計な空気を飲み込まずにすむ。満腹感が得やすいことで早食いやドカ食いも予防でき、胃捻転のリスクを最小限にできるのがメリット。

3-2.子犬にふやかした餌を与える3つのデメリット

メリットばかりに思えるふやかしご飯だが、毎食与えるにはデメリットもある。ここでは、子犬にふやかしご飯を与えるデメリットを解説する。

手間と時間がかかる

消化器官が未熟な子犬期では、1日3~5回の食事が必要。毎食ドライフードをふやかして与えるのは手間になり、忙しい人にとっては大変と感じるはず。詳しくは後述するけれど、ドライフードをふやかす際にはさまざまな注意点があるため、その点も面倒なことも。

歯に汚れが付きやすくなる

ドライフードに比べると、ふやかしご飯は食べかすが歯に付きやすい傾向がある。葉に付着した食べかすは時間とともに歯垢や歯石となり、歯周病など口腔内トラブルの原因になる。食後はしっかりと歯磨きをして、歯に付いた汚れを落とすよう心がけよう。

衛生面のリスクがある

ふやかしたドッグフードは水分が多いため、雑菌が繁殖しやすい。そのため、愛犬が残したフードを取っておいたり、まとめて作り置きしたりすると、愛犬の健康に悪影響が出ることも。食べる分だけふやかすよう心がけ、ふやかしたフードを放置するのは避けて。

4.子犬の餌をふやかすときの注意点6つ


子犬の餌をふやかす際は、以下6つのポイントを押さえておこう。誤ったふやかし方をしてしまうと、子犬が体調を崩したり栄養を十分に摂取できなかったりする可能性がある。子犬の成長を妨げないためにも、ふやかしご飯は注意点を守って用意して。

4-1.冷水は使わない

ドッグフードをふやかすときは、冷たい水ではなくぬるま湯を使おう。冷たい水でもフードをふやかすことはできるが、胃腸の冷えによる下痢や腹痛を引き起こす可能性があるためおすすめできない。消化不良による栄養不足を避けるため、夏場など暑い時期も冷水は避けよう。

4-2.熱湯は使わない

熱湯でふやかすこともおすすめできない。50℃以上の熱湯は栄養素を破壊してしまううえ、愛犬がヤケドをするおそれもある。沸かしすぎてしまった場合は冷まし、必ず30~40℃のぬるま湯の状態にすること。

4-3.ミネラルウォーターは使わない

ミネラルウォーターもドライフードをふやかすには不向き。ミネラルウォーターには硬水と軟水の2種類があり、それぞれミネラルの含有量や飲みやすさが異なる。硬水はミネラルが豊富で栄養価も高いが、犬が摂取すると尿結石症を引き起こす可能性があるといわれているため、ふやかし用の水分としては避けたほうがよい。

4-4.芯が残らないようしっかりふやかす

芯が残らないよう中心までしっかりふやかすことも大切。中途半端にふやけた状態のドライフードは、ところどころ硬さが異なる。ドッグフードは消化に時間がかかり、かえって子犬の胃腸に負担をかけてしまうため注意しよう。芯が残っていないか、潰して確認する方法もおすすめ。

4-5.使ったお湯は捨てずにそのまま与える

ドライフードをふやかしたお湯には、ビタミンやミネラルなど多くの栄養素が溶けだしている。ドライフードの多くは総合栄養食だが、ふやかしに使ったお湯を捨ててしまうと栄養価が低くなり、十分な栄養を摂取できなくなる可能性も。せっかくの栄養を無駄にしないように、ふやかしに使ったお湯はフードと一緒に与えて。

4-6.作り置きや保存はせず、毎食必要な分だけ用意する

ふやかしご飯は水分が多く傷みやすいため、作り置きは避けよう。特に夏場は雑菌が繁殖するスピードも早く、食べ残しはなるべく早く処分する必要がある。食事のたびにふやかしご飯を用意するのは手間だが、毎食1回分を作るようにして。

5.子犬のドッグフードのふやかし方

ドッグフードをふやかすときは、30~40℃程度のぬるま湯と耐熱容器を用意しよう。まずは耐熱容器にドライフードを入れ、フードが浸るくらいにお湯を注ぐ。ラップをフードにしっかり密着するようかけたら、10~15分ほど放置すれば完成。

より手軽にフードをふやかしたい場合は、お湯を入れてから電子レンジ(500w)で10~30秒ほど加熱する方法もある。ただし、電子レンジは加熱ムラが出やすいため、子犬に与える際は均等にふやけているか確認するとよい。

6.子犬のふやかしご飯に関するQ&A

ふやかしご飯で下痢になることもある?

中途半端にふやけたフードは胃腸に負担をかけるため、下痢を引き起こす可能性があります。作ってから時間が経ったふやかしご飯には雑菌が繁殖しやすく、場合によってはお腹を壊すことも。また、ふやかしによる水分過多が原因のこともあるでしょう。
消化器官が未熟な子犬はもともと些細なことで下痢をする傾向があるため、ふやかし具合やご飯の鮮度には注意が必要です。

ミルクからふやかしご飯に変更するのはいつ?

子犬の食事をミルクからふやかしご飯に切り替えるのは、生後3~4週間頃が最適です。この頃は乳歯が生え始める時期でもあり、消化器官も少しずつ発達してきます。
突然ふやかしご飯のみを与えると食べてくれない場合もあるため、ミルクとふやかしご飯はしばらく併用して与えるとよいでしょう。

子犬がふやかしご飯を食べないときはどうする?

子犬がご飯を食べない理由は、ストレスや体調不良、味の好みなどさまざまです。特に迎えたばかりの子犬は、急な環境の変化からストレスで食欲が落ちることも珍しくありません。

子犬がふやかしご飯を食べないときは、粉ミルクや缶詰を混ぜて嗜好性を高めたり、手で与えたりしてみましょう。どうしても食べないようなら、獣医師やペットショップの店員、ブリーダーなどに相談を。子犬は低血糖を起こしやすいため、なるべく早く対処してください。

子犬がご飯を食べない原因については、こちらの記事もチェックしてくださいね。
>>子犬がご飯を食べない原因についてもっと見る

生後3カ月以上の子犬にもふやかしご飯を与えていい?

ふやかしたフードは生後3カ月以上の子犬にも与えられます。お腹の調子が悪いときや、抜けそうでぐらついた乳歯が気になりドライフードが食べづらそうなときなどは、消化にやさしく食べやすいふやかしご飯を用意してあげましょう。

子犬期は健康的な体を作るために重要な時期であり、健やかな成長のため十分な栄養を摂取する必要があります。そのためドライフードの食いつきが悪く食べ残してしまうような場合は、生後3カ月以上でも無理せずふやかすことをおすすめします。

生後3カ月未満の子犬にドライフードを与えるのはよくないの?

問題なく食べられるようなら、生後3カ月未満でもドライフードを与えて構いません。ただし、きちんと消化できているか確かめるため、便の状態は毎日チェックしてください。

なお、硬すぎるフードは歯並びが悪くなったり歯茎が傷んだりする原因になるため、ドライフードを探すときは硬さのレビューも参考にするとよいでしょう。

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※記事は2023年10月16日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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