子犬に離乳食をあげるのはいつからいつまで?回数、量、作り方も解説

子犬がお母さん犬から離れて初めて口にする離乳食。子犬が健やかに育つためには、離乳食からしっかり栄養を摂るのが必要。しかし初めて子犬を迎えた場合、離乳食をどうやって作ったらよいのか、どれくらいの離乳食が必要なのか、いつからいつまで与えるべきなのかと、わからないことばかり。そこで今回は子犬の離乳食の作り方や、与える量や回数、期間などをご紹介。離乳食のいろはを知って、子犬をすくすくと育てよう。

更新日:2023/04/24

お話を聞いたのは・・・

「chicoどうぶつ診療所」獣医師 林美彩さん

酪農学園大学獣医学部卒業。大学卒業後、自身が代替療法と出会ったことで、動物の体に優しい治療法や食事・環境の見直し、飼い主の心のケアの大切さ等を伝えていくため、2018年に『chicoどうぶつ診療所』を開業。往診を中心に、精力的に診療を続けている。

<著書>
獣医師が考案した 長生き犬ごはん」(世界文化社)2019/12/18
獣医師が考案した 長生き猫ごはん」(世界文化社)2020/11/13
『獣医師が考案した一汁一菜長生き犬ごはん こだわりの安心レシピ&作り置きOK!』(世界文化社)2022/1/26

<公式サイト・SNS>
chicoどうぶつ診療所HP
Instagram:@chico_ah_323
Amebro:https://ameblo.jp/tinkerbell19850323/

1.離乳食を与える期間や切り替え時期

まずは子犬に離乳食を与える期間についてご紹介。月齢ごとの与え方も解説するので、参考にしてみて。

1-1.離乳食を与える期間はいつからいつまで?

離乳食は生後3~4週ごろ、乳歯が生え始めたあたりからスタート。乳歯が生え始めると、子犬はいろいろなものをかじりたがるようになる。母乳を飲む際におっぱいもかじってしまうため、母犬がミルクを与えるのを渋りだすのもこの時期。その様子が確認できたら、ミルクから離乳食へ切り替えるサインと考えて。

1-2.離乳食の切り替え時期

子犬の離乳食は、生後6~7週を境に切り替える必要がある。ここでは離乳食の初期、中期、後期の切り替え時期と、それぞれの離乳食の特徴をご紹介。
なお、ペットショップやブリーダーから子犬を迎えた場合、動物愛護法にある「8週齢規制」のため、子犬はすでに生後56日以降の週齢となっている。そのため離乳食を与える場合は後期からスタートしよう。離乳食を与える期間は1カ月ほどしかないと覚えておいて。

生後4~6週ごろ(離乳食初期)

生後4~6週頃の子犬は、乳歯が生えてきて間もない頃。いろいろなものを噛みたいけれど、まだ消化器官が未熟な時期にある。
離乳食の初期は、今まで飲んでいたミルクの形状に少し固形物があるくらいのものを与えるのが適切。子犬はそこで「飲む」から「なめる」という行動を覚えていくようになる。

生後7~9週ごろ(離乳食中期~後期)

ペースト状の離乳食を上手に食べられるようになったら、生後7~9週頃から少しずつ固形物を増やして。この頃から市販の離乳食を卒業し、パピー用のドライフードをふやかして与えよう。子犬はこれまでの「なめる」という食べ方から、徐々に「噛む」行動にシフトしていく。

中期~後期の切り替え時期の目安となるのは、乳歯の状態とウンチの状況。生後2~3カ月に乳歯が生えそろってくると、固いものを噛めるようになるので離乳食後期に移行できる。徐々にドライフードの水分量を減らし、下痢や軟便などがなければ、1週間ほどかけて離乳食を卒業しよう。

2.子犬に離乳食をあげる回数と量

子犬の離乳食で悩みがちなのは、どれくらいの量を何回あげればよいのかというところ。ここではミルクから離乳食へ移行するために、どのような手順を踏んでいくのかご紹介。子犬の様子を見ながら、焦らずに離乳食を進めていこう。

子犬に与えるごはんの量や決め方について解説。詳しく見たい人はこちら

2-1.初期は1日4回、中~後期は3回が目安

初期のころは、消化器官が未発達で一度に多くの量を食べられないので、離乳食を1日4回与えるのが目安。胃腸が発達してきた中~後期は少し間隔をあけて、1日3回与えるのが基本。

しかし子犬の成長にはバラつきがあるため、食いつきとウンチの状態を見ながら回数と量を調整しよう。ちょうどよいのは、バナナのように1本ツルンと出てくるウンチで、水分もある程度含んでいるもの。アスファルトやフローリングの上で排泄した場合、そこにウンチがあったとわかる程度のしっとり感が残っているのがよい。
鼻をつくようなきつい臭いではなく、あまり臭いがしないような状態も理想的。

2-2.給餌量はフードの裏面を参考にする

離乳食に使うドライフードの量は、パッケージ裏面の給餌量を見て算出するのが基本。しかし、この量はあくまでも目安。子犬の食べっぷりやウンチの状態を見て、ちょうどいい量を見つけよう。「絶対にパッケージの給与量通りじゃないといけない」というわけではないため、子犬の腹八分を目指す感覚で与えてみて。

3.子犬の離乳食の作り方

ここではドライフードをふやかす離乳食の作り方をご紹介。ふやかし方も解説するので、温度にも注意しながら作ってみよう。

3-1.生後4~6週ごろ(離乳食初期)

初期は食餌の回数も多く、頻繁に離乳食を作らなければいけないため、すでにペースト状になっている市販の離乳食を利用するのが手軽。
もしくはペーストに近い程度の柔らかさまでふやかしたフードに、犬用ミルクを足して与えてもよい。ふやかし方は、40℃前後のぬるま湯をドライフードが浸るくらいまで注ぎ、20~30分ほど放置するだけ。熱湯ではなくぬるま湯でふやかすと、栄養素を壊さず与えられる。ふやけたフードは潰してペーストにしよう。

この時期は食餌の回数が多いものの、1日分をまとめてふやかして作り置きするのは衛生的にNG。しかし、フードが柔らかくなるまでには時間がかかるため、離乳食を与えたあとに次のドライフードをふやかして備えておくと、次回の食餌にちょうどよく対応できそう。

3-2.生後7~9週ごろ(離乳食中期~後期)

40℃前後のぬるま湯をドライフードが浸るくらいまで注ぎ、20分ほど放置しよう。この時期から、少しずつ固形のものが混ざるようにしていく。生後2~3カ月には、ドライフードの形状がある程度残るくらいの状態で与えてOK。ふやかす際の水分量を少しずつ減らしていこう。
ドライフードの水分が減ってくると、胃腸の調子やウンチにも影響が出てくるので、注意深く見守る事が大切。食べづらそうにしていないかなど、変化がないか見守ろう。基本的にはしっかり食べられているようなら、さほど心配する必要はない。

4.離乳食の与え方のポイント

離乳食を食べ始める前の子犬は、まだ母乳以外のものを口にしたことがない。そのため離乳食を作っても、警戒してすぐに食べてくれない子犬もいる。
その場合は口の周りに付けてみたり、お皿に入れて舐めさせてみたりして、少しずつ離乳食の味と食餌の仕方に慣れてもらうことが大切。1日数回やってみてだんだんと慣れさせて。慣れてくると、自分からお皿のほうへ寄ってきて食餌をせがむしぐさも見られるように。

5.子犬の離乳食での困りごとと対処法

子犬はそれぞれに個性があり、食べ方に違いが出てくることも。ここでは子犬の離乳食でのよくある困り事をご紹介するので参考にしてみて。

5-1.離乳食を食べないときの対処法

子犬は気温や気候が違うだけでも食欲が変わってしまう場合があるほどデリケート。「昨日までは離乳食を食べていたのに急に食べなくなった」「食べるがすぐ残してしまう」など、離乳食の食いつきが悪いと飼い主さんが心配するのは当たり前のこと。

1食の食いつきが悪いだけであれば、さほど心配する必要もない。しかし食いつきの悪い日が続いたり、元気がないなどの症状が見られたりしたら、動物病院で一度診察してもらうのがおすすめ。病院に行く際には、子犬の体重の推移、フードの量や状態などを詳しく聞かれることもあるため、普段からノートに記録をつけておくとよい。

5-2.離乳食を食べすぎてしまうときの対処法

食べなさすぎも心配だが、食べすぎも心配。多頭飼いでほかの子のフードを奪ったり、ずっとお皿を舐めていたりするようなら離乳食を増やしてみるのも手。ドライフードの裏面にある表示はあくまで基本的な分量のため、多少なら増やしても問題ない。

離乳期には基本的に肥満になることはないと言われているものの、食べすぎによる嘔吐で体力が落ちてしまわないよう、様子を見ながら量を調整するのがおすすめ。

5-3.離乳食を吐いてしまうときの対処法

子犬が離乳食を食べて吐いてしまう場合は、いくつかの原因がある。夏バテや食べすぎで吐いた場合は、離乳食の温度の調整や、食餌の量の調整で回復することが多いよう。ただし夏だからといって、フードを冷やして与えるなどは避けて。冷やしたものを食べると、体の内側がダイレクトに冷えすぎてしまう。
何度も吐く、吐いた後にぐったりしているなどの場合は病気が隠れている可能性もあるため、動物病院へ連れて行こう。

6.子犬の離乳食に関するQ&A

そもそも離乳食はなぜ必要?

離乳食は子犬に必要な栄養を与えるためのものです。さらに、これまで母乳しか飲んだことがない子犬が、固形のフードをスムーズに食べられるよう与えるものでもあります。離乳食という消化のしやすい状態のものを与えて練習することで、消化器官が未発達な子犬もさまざまな栄養を摂ることができるようになります。

子犬の離乳食にはどんなものがある?

子犬の離乳食にはいくつか種類があります。

・缶詰めタイプ
・フレークタイプ
・粉末タイプ
・パウチタイプ

上記は市販で販売されているもの。それ以外では、ドライフードをお湯や犬用ミルクでふやかして作る離乳食もあります。
また、ささみなどの肉類や野菜などを使って手作りすることもできます。ただし子犬期は必要な栄養素が非常に多いため、しっかりと知識がある人でなければ難しく、あまりおすすめはできません。

どんなフードを選べばいいの?

最初に与えるフードは、ブリーダーやペットショップが与えていたフードを使用するのが無難です。離乳食の初期は使用頻度が多いこともあり、手軽な缶詰め、フレーク、パウチタイプがおすすめ。

子犬期は多くのカロリーや栄養素を必要とするので、さまざまな栄養がバランスよく含まれたフードを与えるのがよいでしょう。例えば総合栄養食と書かれた離乳食は、子犬の成長に必要な栄養を網羅しています。離乳食を与えるのはほんの数カ月ですが、非常に大切なのでしっかりと食べさせて成長を見守ってください。

また、さまざまなメーカーのフードを試すのであれば、動物病院が開いている時間帯に試すのがベターです。しかし短期間でいろいろなフードをローテーションしすぎると、体に異常が見られた際に何が原因だったのか判断できなくなってしまいます。そのため1~2週間程度でローテーションしてみて、特に問題がなければ別のフードを少しずつ混ぜて切り替えてみましょう。

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※記事は2023年4月24日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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