OZmagazineの中のこと

「おやつで幸せ」特集の中のこと2

更新日:2017/12/27

このページでは、毎号のオズマガジン制作の編集後記のような、こぼれ話のような、誌面に載せきれなかったサイドストーリーを編集部員が少しずつご紹介しています。今回はクマダがお届けします。

「OKUSAWA FACTORY」の香り高いレモンケーキ350円。酸味と甘みのバランスが絶妙です

奥沢にある「OKUSAWA FACTORY」にてなごむKanocoさん

おやつを巡って、いい1日を

先日、12月12日に発売したオズマガジン最新号「おやつで幸せ」特集。1冊を通して本当にたくさんのおやつが載っているので、おやつ好きな方にはぜひご覧頂きたいなと思っています。かくいう私もおやつが大好き。特に和菓子には目がなく、仕事中でも駅ナカでよりみちして大福を買ったり、社内で夜食に食べたりしています。

そんな和菓子LOVEな私が今回担当した巻頭エリアは、まさかの自由が丘。自由が丘と言えば、全国からスイーツ好きが集まる日本屈指のお菓子の町です。有名パティスリーが軒を連ね、日常的にスイーツを食べる文化が漂う住宅街、ケーキ片手に優雅に歩くマダム・・・。取材前はそんなイメージが頭から離れず、あまり洋菓子に馴染みのない私が担当して大丈夫だろうかと不安もありました。

しかしリサーチや取材をする中で出会ったのは、提供しているおやつへ込める想いやおやつと向き合う態度が「丁寧」そのものであるお店たちばかり。お客さんがおやつで幸せになればと、小さな世界に想いを込めて一つひとつ作り上げていました。丁寧なもの作りには洋菓子も和菓子も関係なく、いつのまにかすっかり魅了されていたのです。

自由が丘にある「Paris S’eveille」のムッシュアルノー650円

有名パティスリーのお菓子たちを取材して

“パティスリーがたくさん”というイメージがある自由ヶ丘。「AU BON VIEUX TEMPS(オーボンヴュータン)」や「PATISSERIE ASAKO IWAYANAGI」など、名前を知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の企画では、自由ヶ丘ですでにケーキを食べたことがある人も楽しめるよう、有名パティスリーたちの看板メニューや、ひそかなイチオシメニューを知りたい・・・と思い取材に臨みました。

しかし話を伺ってみると、お店の方は「特にイチオシというものはない」とおっしゃるのです。どのケーキも同じようにひとつずつパティシエが想いを込めて丁寧に作っているので、各商品に甲乙なんてない、と。

確かに、店内に並ぶケーキはどれも本当に素晴らしいものばかり。予定外の返答に一瞬悩みましたが、考えるほどに納得して、逆に企画について少し反省をしたのでした。

お店ひとつとっても、そこに並ぶお菓子の数は膨大。だけどそのひとつ一つの高いクオリティを守り続けることが、お客さんからの信頼につながり、老舗となる秘訣なのだなと思いました。お客さんはそれぞれに好みがあるので、お気に入りの商品も違います。単純なことですが、「いつ、どれを、好きに選んでもハズレがない信頼感」の大切さを改めて実感しました。

自由が丘の和カフェの名店「古桑庵」。抹茶白玉ぜんざい930円

思い出がよりいっそうそのお菓子を味わい深くする

台風の中自由が丘でロケハンをしていたときのこと。洋菓子を立て続けに食べていたので、雨宿りがてら和カフェの「古桑庵」へ。有名店なのに初めて行くなあ・・・と思っていたのですが、店へ到着して抹茶白玉ぜんざいを食べたとき、一度この店へ来たことがあることに気づきました。

8年ほど前、上京して初めて訪れた自由が丘で、ここのぜんざいを食べていたのです。あたたかな陽射しの入る縁側、一緒に訪れた相手・・・ひとりで抹茶白玉ぜんざいを食べながら、大雨の縁側を眺めつつ記憶がよみがえります。思い出の中では、ぜんざいと縁側しか覚えていなかったので、それが自由が丘であることすら忘れていました。

変わらず甘くておいしいぜんざい。店内は私ひとりだったので、8年の月日の流れを感じながら物思いにふけるには、十分すぎるくらいに広く静かな空間でした。おやつは食べるシーンとセットで思い出と結びついて、ふとしたときにその味が記憶をよみがえらせます。甘いものが甘い思い出にたくさん結びついているのは、私だけでしょうか・・・(苦笑)。次に古桑庵に来るときはお菓子が大好きな親友を連れてこよう、そう決めて店を出たのでした。

福島「長門屋」の羊羹ファンタジアは、切るごとに断面の絵が変わります

和菓子の断面美に注目

和菓子が大好きということで、自由が丘とともに担当したもう一つの企画が「和菓子の断面美談」。お菓子を選ぶキーワードとして、和菓子の断面に注目して欲しいと思いながら取材を行いました。古くから和菓子には繊細な日本の技術と美意識が込められていますが、「長門屋」のFly Me to The Moon羊羹ファンタジアはまさにそれらを感じられるもの。

羊羹を切るごとに一切れずつ絵柄が変わり、青い鳥が月に向かって羽ばたいていく様子を楽しむことができるこの商品は、170年の歴史を誇る老舗和菓子店「長門屋」と福島県出身の日本画家・桝田玲香さんが今年の春に作ったものです。その背景にある美しい誕生秘話と想いを実際に福島へ訪れて取材したので、ぜひ誌面で読んでいただけると嬉しいです。「Fly Me to The Moon」という曲名を名前につけたのも「長門屋」6代目女将、鈴木静さんの遊び心。有名なジャズの曲ですが私も大好きで、取材以降かなり頻繁に聴いています。

和菓子の断面美談企画では、都内から全国のものまで、ほかにもたくさんの断面が素敵な和菓子を紹介しています。味もおいしいものばかりなので、みなさんも断面を眺めながら食べてみて下さいね。

すごく幸せなときにはもっと幸せに、ちょっと寂しいときや辛いときには心のビタミンに。おやつを食べてみなさんの1日がいいものになりますように。

OZmagazine 1月号「おやつで幸せ」特集

OZmagazine 1月号「おやつで幸せ」特集

発売日
2017年12月12日(火)
価格
593円+税
販売場所
全国の書店、コンビニエンスストア、駅売店などで発売
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※記事は2017年12月27日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります