春はストレスの原因が急増するシーズン。心身へのストレスが体内時計を狂わせる
「人間は体内時計に乗っ取って生活しています。ですから体内のリズムを整えることは、健康のいちばんの基盤ともいえる重要なことです。そのためにはちゃんと夜は暗く、朝は明るくするという光のメリハリが大切ですが、ほかにも体内のリズムを狂わせる、春ならではの要因もあります」と友野さん。春は職場などの環境の変化のほか、歓送迎会が続いて睡眠不足になることも。また、花粉症でのどや鼻が詰まってよく眠れなかったり、寒暖差が激しく、気温や気圧が不安定なのも自立神経を乱して快眠を遠ざける要因となるそう。
「そうした要因が重なって睡眠リズムが乱れて体内時計が狂ってしまうと、ストレスへの抵抗力も弱まります。すると昼間受けるさまざまなストレスのダメージが増すことになり、ますますぐっすり眠れなくなり、生活リズムが狂っていくという悪循環に。昼間受けたストレスをできるだけ取り除くことが、結果として体内リズムを整えるために重要なのです」(友野さん)。
ストレスを減らすために、自分で手軽にケアできる方法を見つけておこう
それでは、ストレスを減らすためにできることって? 「現代はストレスの原因がたくさんあるので、日々こまめに自分で自分をセルフケアできるようになることが必要です」と友野さん。そのためにおすすめなのが、「これをすれば気分が晴れる」「心が落ち着く」と思える方法を、3~5つくらい用意しておくこと。性格は人それぞれなので、自分に向いている方法を選ぶのが大切。
そこで左のように図式化して考えると、自分に向いた方法を見つけやすいのでおすすめ。例えば「活動量が多いほうが好き」で「人との関わりが少ないほうが落ち着く」人は、ジョギングやサイクリング、水泳など1人でできるスポーツなどを選ぶと、心身が安定しやすいそう。このように「活動量」と「人との関わる度合い」を基準にして考えれば、自分の心が安定する方法を見つけやすい。疲れたな、ストレスが溜まってるなと思ったら、すぐに手軽にトライできる方法を見つけておこう。
自分を癒すケア法があれば、ストレスフルな日も安心に。心地よいと感じる「自分ケア法」をピックアップ
「上でご説明したように、『自分はこれをすると気分が晴れる』と思える方法を作っておくことは、安心材料にもなります。嫌なことが起こっても『あれを後ですれば大丈夫』と思えると、心の逃げ場となり、心の安定にもつながります」と友野さん。
「これをしたら元に戻った、心が落ち着いた」という成功体験を積み重ねていくことで、弱っているときにも「あれがあるから大丈夫」とがんばれるのだとか。「『これをしたら落ち着く』と自分に覚えさせておけば、疲れてあまり考えたくないときでも簡単に心身をリセットできます。そうすると夜もぐっすり眠れるようになって昼間のストレスへの耐性も強くなる・・・というように、元気になっていく良い循環が生まれてくるのです」(友野さん)。それには、ショッピングで爆買いしたり暴飲暴食など、後で罪悪感を感じたりお金がかかってしまうことは選ばないのもポイント。いつでも手軽に行えて、自分が心地いいことを探しておこう。
セルフケアでストレスを減らし、体内リズムを整えることが、春を元気に乗り切る秘訣のひとつと言えそう。
教えてくれた人
友野なお
睡眠コンサルタント、株式会社SEA Trinity代表取締役。千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学 医学博士課程。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 修士号取得。日本睡眠学会正会員。自身が睡眠を改善したことにより、15kgのダイエットと体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。全国での講演活動、執筆など幅広く活躍。著書に『正しい眠り方』(WAVE出版)ほか多数。
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WRITING/HIROKO KUROKI