17時からの“陰の時間” の過ごし方を見直そう
睡眠リズムと深い関係がある体内時計。実は東洋医学にも、古来より体内時計の考え方があるのだとか。太陽が出ている時間帯(5時~17時頃)を「陽」の時間、太陽が沈んでいる時間帯(17時~翌朝5時頃)を「陰」の時間とし、この陰と陽のリズムと心身のリズムが調和していると、睡眠をはじめさまざまな生理機能が健康に保たれると考えられている。
「陽の時間はエネルギーを燃焼して活動する動的な時間、陰の時間はエネルギーを蓄えて体を養う静的な時間です。陽の時間は活発に過ごし、陰の時間は静かに過ごすことで体内の陰陽リズムが調和し、良質の睡眠につながりやすいと考えられます」(成田さん)
快眠のカギは、17時からの陰の時間の過ごし方にあると言えそう。では、実際にどんな過ごし方をすればいいの?
夕食には生命力を養う食材、熱を発散する食材をプラス
心地いい睡眠を習慣にするためには、陰の時間に“快眠ルーティン”を実践することがおすすめなのだと、成田さん。そのひとつめのポイントは夕食にあるのだそう。
「東洋医学では17~19時は生命力を蓄える時間と考えられているので、夕食には生命力を養う食材を取るといいでしょう。なかでもエビ(干しエビ)、クルミ、黒ゴマなどは常備しやすい食材なので毎日取り入れやすいです。干しエビをスープなどのおかずに加えたり、刻んだクルミをサラダのトッピングにしたり、おひたしなどに黒ゴマをたっぷり加えたりして、夕食時の習慣にしてみてください」(成田さん)
また、日中の活動によって生まれた熱が夜になっても体にたまっていると快眠を妨げるため、余分な熱を体外に発散させる食材も夕食に取り入れて。ネギ、シソ、ミツバ、ミョウガなどは、体の表面に残った余分な熱を発散する食材。味噌汁やスープに刻んで入れたり、おかずに薬味としてそえたりするのもおすすめ。スッキリと熱を冷ますために、食後には緑茶や、菊花またはカモミールを加えたお茶などを飲むとよいそう。
「夕食はできるだけ早く軽めにすませることを心がけましょう。可能であれば19時までに食べ終えるのが理想的ですが、難しい場合は就寝時間の3時間前までには食事をすませることを目安にしてください。しっかりかんで食べることも重要です。就寝時に胃腸に負担がかからないようにすることで、よい睡眠につながります」(成田さん)
食後は腕のマッサージなどで脳をリラックスさせよう
“快眠ルーティン”のもうひとつのポイントは、食後に脳をリラックスさせること。そのためには、体が気持ちいいと感じることを習慣にするといいのだそう。
「食後から23時頃までは、上半身をリラックスさせることを意識してください。できるだけ目や頭を使いすぎないようにして入浴やヨガ、ストレッチ、マッサージなどで心身をゆるめると、日中の活動によって上半身に上がっている気(き=エネルギー)や血(けつ≒血液)を降ろすことができます。頭の温度が下がると、心地いい睡眠を導きやすくなります」(成田さん)
食後のルーティンとして特におすすめなのは、腕の外側を付け根から指先に向かってさするマッサージ。21~23時の時間帯はこの部分の気や血の巡りが活発になるため、心地いい強さで左右両方の腕を数回ずつ、さするようにマッサージをしてみて。アロマオイルを使ったマッサージなら、香りによるリラックス効果もプラスされてより効果的に。
陰の時間は自分自身を大切にケアする時間。ゆったりと心地いい時間を過ごすことをルーティンにして、毎日の快眠を手に入れて。
教えてくれた人
成田かおるさん
漢方ビューティブランド「カガエ カンポウ ブティック日本橋髙島屋S.C.店」店長、漢方カウンセラー。同店にて、漢方薬からハーブティ、スキンケア、アロマまで、からだの内外からのトータルビューティケアを提案している。店舗は東京(上野・日本橋)、仙台、名古屋、京都で展開し、商品は銀座ロフトでも取り扱い中。
【特集】プチ不調や身体の悩みを解消!すこやかなココロとカラダへ
毎日がんばる働く女性にプチ不調や悩みはつきもの。そこでみんなが気になる健康法やグッズ、食材やドリンク、悩みの解決法やメカニズム、取り入れたい習慣などを専門家やプロのお話しとともにご紹介。自分のココロとカラダに向き合って、健やかに私らしく。オズモールはそんな“働く女性の保健室”のような存在をめざします
こちらもおすすめ。ヘルスケアNEWS&TOPICS
WRITING/TOMOKO OTSUBO