食事の時間が毎日適当な人は、体内時計が狂う!?食事のタイミングで、太りやすくなることも
「食事をとるタイミングは、体のリズムを整えるのにとても大切です。人間の体には肥満遺伝子ともいわれる『BMAL1(ビーマルワン)』というたんぱく質があり、これがたくさん排出される時間は太りやすいといわれます。BMAL1は22時くらいから増えるので、夜食は太るというのは本当のことなんですよ」と友野さん。逆に、15時ごろはBMAL1が少ないので、この時間におやつをとるのは太りにくく、理にかなっているそう。
「これらの物質含め、ホルモンなどは体内時計に従って分泌されます。体内時計が狂ってしまうと睡眠のリズムが乱れ、結果として食欲中枢も乱れて、食べすぎたり脂肪がつきやすくなったりしてしまうことに。自律神経も乱れて、心身ともに疲れがとれにくくなることも。体内のリズムが崩れないように、食事をとるタイミングをできるだけ規則正しくしたいですね」(友野さん)。
基本は朝・昼・夜の3食をリズム正しく。毎食たんぱく質を取り入れるのがおすすめ!
では、何時くらいに食べるといいの?
「朝は起床して1時間以内、昼は13時くらいまでに、夜は寝る3時間前までに食べるのが理想的です。また、できればたんぱく質は1日3回摂るとなおいいですね。たんぱく質にはトリプトファンという必須アミノ酸が含まれていて、これは昼間の意欲的な活動を促すセロトニンを作る材料になります。このセロトニンが暗くなると睡眠ホルモンに変換され、夜の快眠をサポートしてくれるのです。これは体内では作れない成分なので、毎食少しずつでもたんぱく質を食べることで、ぐっすり眠るための準備もできます」と友野さん。
たんぱく質といっても肉や魚だけでなく、納豆やチーズ、茹で卵など、手軽に摂れるものを活用すればいいそう。「また、朝のおすすめはバナナです。バナナにはトリプトファンを含むほか、セロトニンを作るのに必要なビタミンB6や糖質も入っているミラクルフルーツ。私はビニール袋にバナナと豆乳、キナコ(たんぱく質)、いちごなど季節のフルーツを入れて、手でつぶしてジュースにしてよく飲んでいます。お手軽に必要な栄養素をまるっといただけて、おすすめですよ」(友野さん)。
夜遅くに食べるしかない日は、夕方に軽食を。夜中のガッツリ飯は、太るだけでなく安眠も妨げる!?
残業などで、夜遅くまで食べられないときも・・・。そんなときはどうすればいい?
「22時以降はBMAL1も増えるのでできれば避けたほうがいいですが、忙しいときもありますよね。21時以降に食べなければならない場合は、18時くらいにいったん10分だけ手を止めて、軽食をとっておきましょう。おにぎりなどおなかにたまる固形物がいいですね。その後、帰宅後に温かいものをおなかにいれると落ち着きます。野菜スープや卵とじうどんなど、消化器官にあまり負担が大きくないものを選びましょう」と友野さん。
逆に、空腹のまま寝てしまうと覚醒を促すホルモンが出るため、安眠の妨げになるそう。睡眠中の胃腸の負担にならない消化のいい、軽くて温かいものを心掛けたい。
「また、寝る3時間前までに食べられる日なら、夕食時に体を温めておくと、寝る前に体温が自然に下がって寝つきがよくなります。ショウガや適量の唐辛子を使った料理などもおすすめです」(友野さん)。食べるものやタイミングに少し気遣うだけで、睡眠の質も上がるというのは、多忙な女性には耳寄りな話。毎日を元気に過ごすために、心にとどめておきたい。
教えてくれた人
友野なお
睡眠コンサルタント、株式会社SEA Trinity代表取締役。千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学 医学博士課程。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 修士号。日本睡眠学会正会員。自身が睡眠を改善したことにより、15kgのダイエットや体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。全国での講演活動、執筆など幅広く活躍。著書に『きょうの睡眠ダイエット』(主婦と生活社)ほか多数。
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WRITING/HIROKO KUROKI