現代は体内リズムが狂いやすい環境。朝は明るく、夜は暗く、光のメリハリをつけよう
「健康のいちばんの基本は、体内のリズムを整えることです。体内時計が狂ってしまうと、体も心も不調をかかえるようになってしまいます」と友野さん。もともと人間の体は暗い間に休み、明るくなると活動するようにできている。それがここ140年くらいの間に急激に、夜も煌々と明るかったり、夜勤で夜間も働くなど、体内時計が狂いやすい環境になってしまったそう。
「昼と夜とで光の量にメリハリをつけないと、今は眠るときで今は活動するとき、と体が正しく判断できなくなってしまうのです。目に入ってくる光の量は、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌にダイレクトに影響をもたらします。ですからちゃんと夜は暗く、朝は明るくないと、眠くならないのです」(友野さん)。
このため、寝つきが悪い人などは、帰宅直前にコンビニによるなどは避けたほうがよいそう。コンビニなど光が強い場所で夜間に光を浴びると、メラトニンが分泌されにくくなり、質の高い睡眠が得られないことに。逆に朝や日中の間に光の強い場所に行ったり、太陽を浴びたりすることも大切なんだとか。
質のよい睡眠に重要な働きをするメラトニン。きちんと分泌されるように気を付けたい
よく聞くけれど、睡眠に関わるという「メラトニン」ってなに? 「脳の奥の松果体という器官から分泌されるホルモンで、これが体内に増えると眠くなります。光が目に入ると松果体に作用してメラトニンの分泌が減り、代わりにセロトニンが分泌されます。これによって体が睡眠モードから活動モードに切り替わるのです」と友野さん。
メラトニンが十分に分泌されないと、深い睡眠が得られにくいため、睡眠中に成長ホルモンも分泌されにくくなる。すると疲れがとれないだけでなく、肌などのダメージ回復もできにくくなり、美容面にも影響するそう。またメラトニンは強力な抗酸化作用も持っているので、アンチエイジングにも役立ってくれるという一面も。「夜間に強い光を浴びてメラトニンの分泌を邪魔すると、女子にとってうれしくないことがたくさん起こりやすいのです。部屋の照明を夜は暗めにするなど、少し気遣うだけでも効果があると思いますよ」(友野さん)。
朝起きたら、まず光を浴びよう。朝の15秒が、夜の快眠のカギに
ほかにも、メラトニンがきちんと分泌され、よい睡眠を得るためにはできることはある?「朝起きたらすぐに、窓の1m以内に立ち、15秒程度光を目に入れましょう。朝光を浴びることで、体内時計がリセットされ、メラトニンの分泌がストップされます。さらに、朝日を浴びてから約14~16時間後に眠くなるようにスイッチも入るので、快眠の予約にもなるのです」(友野さん)。
逆にきちんと朝日を浴びないと、体内時計がリセットされずに毎日少しずつずれていき、日本にいながらにして時差ボケのような状態になり、様々な不調の原因となってしまうそう。「地球の自転は24時間周期ですが、人間の体内時計は24時間10分で動いているので、体内時計が少しずつずれていきます。しかしこのズレは、光を浴びることでリセットできるのです」(友野さん)。
また、起床時すぐに、というのもポイント。例えば起きてから1時間もたってから光を浴びると、既に1時間10分の時差が生まれることになってしまい、遅い時間まで眠くなりにくいことに。朝きちんと光を浴びることが、夜の質のいい睡眠のために重要、と覚えておきたい。
教えてくれた人
友野なお
睡眠コンサルタント、株式会社SEA Trinity代表取締役。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 修士号取得。日本睡眠学会正会員。自身が睡眠を改善したことにより、15kgのダイエットと体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。全国での講演活動、執筆など幅広く活躍。著書に『大人女子のための睡眠パーフェクトブック』(大和書房)ほか多数。
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WRITING/HIROKO KUROKI