あごニキビに悩まされる人が続出!頑固なあごのニキビの原因と対処法

あごニキビに悩まされる人が続出!頑固なあごのニキビの原因と対処法

コロナ禍でマスクの着用がマストとなり、かつてなくあごニキビ・吹き出物に悩まされる人が急増。こんなに長時間覆われていることがなかった口もとが、湿度の高い環境に晒され、摩擦によって刺激を受けることで、あごやフェイスラインが肌荒れして、ポツポツとニキビや吹き出物ができやすくなっている。そこで「品川駅前皮膚科」の院長 増岡宏昭先生に聞いた、あごニキビの原因や対策をご紹介。

更新日:2021/10/26

あごニキビって?状態や原因・理由とは

あごニキビってどんな状態?

ニキビとは、いわゆる「毛穴の病気」のことで、メカニズムとしてはどこの部位も同様。

なんらかの原因で毛穴の周りの角質が分厚く硬くなってきて、毛穴に皮脂や古い角質がつまり始めると次第にポツポツとニキビの症状が出始める。それが「白ニキビ」「黒ニキビ」と呼ばれている。

たまった皮脂が固まって出口を塞ぐようになると、外に出られなくなった皮脂がますます毛穴の中に溜まる一方に。つまった皮脂を栄養にアクネ菌や細菌が増殖し、それに抵抗しようとして炎症が起こっていくのが「赤ニキビ」。重症化すると、膿んで痛みが伴う「黄ニキビ」へと進行してしまう。

あごニキビができる原因と理由

・生活習慣の乱れ
・精神的ストレス
・間違ったスキンケア
・ターンオーバーの乱れ
・皮脂線が多い割に汗腺が少ない
・頬杖やマフラーなど頻繁に刺激を受ける

おでこや鼻のニキビが皮脂の分泌によってできやすいのに対して、あごのニキビはより生活習慣の乱れや精神的ストレス、間違ったスキンケア、ターンオーバーの乱れなどの影響を受けやすいのが特徴。これらの理由によって皮脂のコントロールができなくなり、皮脂分泌が増加してニキビにつながってしまう。

また、あごは皮脂線が多い割に汗腺が少ないため、汗で毛穴を潤すことができない分、皮脂を分泌しようとして毛づまりを起こしやすくなる。さらに、あごやフェイスラインは、マスクをつけたり、頬杖をついたり、ショールやマフラーでこすれたりと顔の中でも最も頻繁に刺激を受けるところでもあるので、炎症やニキビ、吹き出物を引き起こしやすい。

あごニキビ・吹き出物の対策・ケア・治療法

飲み薬や塗り薬を使う

大人ニキビ・吹き出物の中でも症状として多いのが、フェイスラインにポツンとできるニキビ。特に顔先にできると、つい気になって頻繁に触ってしまい、痛みや炎症を伴うほど悪化させてしまうことも少なくない。そんな重度化したニキビは抗生物質でしっかり退治したいところ。アクネ菌を抑える働きのあるテトラサイクリン系薬剤の内服(飲み薬)に加え、しつこいニキビには毛穴のつまりを改善させる塗り薬「アダパレン」も併用するとより治りが早くなる。

ケミカルピーリングを受ける

あごにポツポツとニキビ・吹き出物が広がっている場合は、広範囲の毛穴つまりを一気に解消できるケミカルピーリングも効果的。肌に薬剤を塗り、肌表面にこびりついている古い角質を取り除いていく治療法で、クリニックで受けられる。古い角層が取り除かれた後に新しい角層の生成が促されるため、毛穴のつまりがリセットされてニキビの改善につながる。保険が効かないものの、トラブルが非常に少なく、顔全体広範囲にできて、かつくすみ、毛穴開き、小じわにアプローチできて美容面でもさまざまな効果を期待できる。

イオン導入を受ける

頬杖やマスク・マフラーなどの刺激で炎症しやすく悪化しやすいあごニキビは、抗炎症作用・抗酸化作用の高いビタミンCをたっぷり送り込んで炎症を鎮められるイオン導入も有効。皮膚に微弱な電流を流すことで美容成分を肌の奥深くにいき渡らせる美容法で、その浸透力はコスメやサプリメントで得られる効果の30倍~100倍とも! 皮脂の分泌をコントロールしながら、肌のターンオーバーも促し、肌のハリやツヤ、弾力を取り戻せる。ケミカルピーリングを行なった後にイオン導入をすると吸収率がアップ。改善につながりやすい。

ニキビ圧出を受ける

あごに、明らかに膿んでいるぽつっとできたニキビ・吹き出物。ブチっと潰したい衝動に駆られるけれど、ニキビ跡になってしまうのでグッと我慢し、クリニックに駆け込もう。細い針でニキビの頂点に穴を開けてから特殊な器具で内容物をぎゅーっと押し出す外科的な治療であるニキビ圧出なら、皮脂のつまりや膿を直接取り除くので、素早く、キレイにニキビが改善できる。すぐに効果が得られ、保険が適用されるのでコスパもよし。

ニキビ注射を受ける

仕事のプレゼン、結婚式など、とにかく大事な予定の前なのに、あごに突然大きな吹き出物ができてしまった・・・! そんな時は、すぐに炎症を抑えて目立たなくしてくれるニキビ注射がおすすめ。ニキビの炎症を抑える薬を患部に直接注入し、短期間で腫れを鎮めてくれる。極細の注射針を使うので痛みが最小限なのも嬉しい。保険適用ではないけれど、いざという時に頼れるケアなので知っておきたい。

あごニキビ・吹き出物の予防

刺激を与えない

ニキビができてしまったら、本来は清潔を保って触れないのがいちばん。刺激を与えると、炎症により赤みが増して細菌が増えてしまい、結果、進行が進んだり長引いたりしてしまうから。

といっても、あごは顔の中でも頻繁に触ってしまう刺激を受けやすい部位でもある。頬杖をつかないように意識したり、ストールのようにフェイスラインに当たるようなファッションは素材を選んだり、ニキビができてしまったら直接患部に摩擦がいかないようガーゼを当てたりするなど工夫したい。

規則正しい生活リズムを意識する

10代の頃の「思春期ニキビ」が皮脂の分泌量が多いのに起因するのに対して、「大人ニキビ」は生活習慣の乱れやストレスなど、いろいろな影響を受けやすく原因が複数あることが多い。ニキビができやすい人は、まずは朝起きる時間や眠る時間を一定に整えたり、食事を同じ時間にしたり、体内時計を整えることを意識したい。その中でも、あごニキビはホルモンバランスや自律神経の乱れによって生じることが多いので、睡眠をしっかりとり、不規則な生活や偏った食生活を避けて、ストレスをためないよう心がけて。

洗顔を丁寧に清潔な状態を保つ

鼻やおでこのいわゆるTゾーンほどではないけれど、あごも皮脂線が多いところなので洗顔で余分な皮脂をしっかり取り除くことがニキビ予防の肝。丁寧な朝晩2回の洗顔を習慣にしよう。ただし、皮脂を取りすぎると肌が乾燥していると勘違いして皮脂の分泌量が増えてしまうので、乾燥しがちだなと思ったら朝はぬるま湯のみに切り替えて。洗顔後はたっぷりと保湿をしてあげよう。スキンケアは、角質ケアができるグルコール酸やビタミンCが入ったものがおすすめ。色んな成分が入っていると逆にニキビを誘発してしまうため、できるだけ“シンプルなコスメ”を選ぶようにしよう。

サプリメントを摂る

ニキビのケアには肌のターンオーバーを促すことが大事だけれど、その作用を持つビタミンB群はレバー、うなぎ、マグロ、カツオ、貝類などのタンパク質が中心で日常的に十分に摂取するのが難しい場合はサプリメントで補うのも手。

特にニキビができやすい人は、皮脂の分泌を抑制する働きのあるビタミンB2、ビタミンB6、抗酸化作用がありコラーゲンの生成を助けるビタミンCがおすすめ。薬局でも手に入るけど、できればクリニックで診察を受けたうえで処方してもらうのが安心。自分の肌にあったものを出してもらえて、かつ保険も適用されるので一石二鳥!

フェイシャルエステを受ける

あごにニキビができやすい人は、定期的なケアをプロの手に委ねるのもあり。その人の肌質にあった的確なケアでニキビができにくい肌へと導いてくれるのが嬉しい。

ニキビケアのみならず、生活習慣などいろいろとアドバイスしてもらえたり、毛穴が目立たなくなったり、透明感がアップしたり、ハリツヤが出たりとメリットもいっぱい。肌の健康状態を整えるために、日々のメンテナンスとしてフェイシャルエステを取り入れてみては?

あごニキビ・吹き出物にまつわるQ&A

顎のニキビ跡はどうしたらいいですか?

赤みや茶色いシミのような状態、凸凹としたクレーター肌・・・このようなあごにできたニキビ跡は、実は、将来の「シミ予備軍」。いずれも強い炎症によって傷ついた肌を治そうとする働きによって、毛細血管が広がったり、メラニンが過剰に生成されたり、肌を治癒するための組織が異常に作られたり。その結果、ニキビが治っても後遺症としてニキビ跡が残ってしまっている状態。

時間が経つと自然に治る場合もあるけれど、ケミカルピーリングやイオン導入、フォトフェイシャル、美容レーザーなどを定期的に続ければ確実に目立たなくしていくことができる。

お話をお伺いしたのは、医師 増岡宏昭さん

品川駅前皮膚科 院長、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医

東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部附属病院 皮膚科医として勤務したのち、2003年の日比谷ヒフ科クリニックを皮切りに、やえす日本橋ヒフ科、蒲田グランデュオ皮膚科、品川駅前皮膚科をオープン。美容メニューから保険診療までを幅広く対応。患者さんの要望を聞き、いっしょに治療法を決める丁寧な診療に定評がある。

WRITING/KANO NUMATA、ILLUSTRATION/HARUKA OSHIMA

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※記事は2021年10月26日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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