マスクと肌との摩擦でニキビや皮膚炎が発生
マスクを長時間つけていることによる肌トラブルが増えていて、これから暑い日が多くなるにつれて、さらに増えることが予測できるそう。そもそもなぜ、マスクを長時間つけていると肌トラブルが起きやすくなるの?
「一番の原因は、マスクと肌の摩擦です。着脱する際や人と話していてマスクが動くことで、肌との摩擦が起きやすくなります。摩擦による刺激を受けると、肌が防御反応を起こし、角層が厚くなります。すると毛穴がふさがって皮脂が溜まり、ニキビに。もともと皮脂を分泌する脂腺が大きいタイプの人は、特にニキビができやすくなります」と慶田さん。
また乾燥肌の人やアトピー性皮膚炎がある人も、もともと肌のバリア機能が低下しているのに、保湿成分がマスクの不織布や布についてしまい、そのうえ摩擦による刺激が加わって皮膚炎を起こしやすいそう。
さらに暑くなるこれからの時季は、マスク内の汗やムレによって、肌荒れを起こしやすい環境に。
「マスク内の蒸れと汗が刺激になって、肌荒れを起こしやすくなります」(慶田さん)
肌トラブルを予防するには、マスク選びを慎重に
摩擦に関する対策として意識したいのが、マスク選び。
「使い捨ての不織布マスクもガーゼマスクも質にかなりの差があります。不織布だとマスクの内側にトゲトゲした部分があったり、接着剤がかたまっていたり質がよくないものがあるので、要注意です。ガーゼマスクもごわごわした素材のものは避けたほうがいいでしょう」(慶田さん)
また、マスクが触れる部分には、いつも以上に保湿クリームをしっかり塗ることも大切。こすれることで保湿成分がとれるのを防ぐほか、摩擦による刺激を軽減できるそう。
一方、汗やムレに対しては、こまめにふいたり、洗ったりすることが一番の対策に。
「濡らしてしっかりしぼったハンカチで、汗や唾液を吸いとるように拭くことがポイントです。汗には水分のほかミネラル分も含まれていますが、これが肌荒れの原因に。乾いたハンカチだと汗に含まれるミネラル分までは、拭きとれないのです」と慶田さん。
マスクをつけている部分も日焼け対策は必要
また、マスクをつけていると、日焼け対策についても悩むことが多いのでは? マスクで覆われている部分は、ほかの部分に比べると日焼けはしにくいけれど、完全に紫外線を防げるわけではないのだそう。このため、マスクをつけている部分にも日焼け止めを塗るのが基本。
「特に肌と接着している縁の部分はこすれて日焼け止めが落ちやすいことを留意して、日焼け止めを重点的に塗るようにしましょう」(慶田さん)
マスク選びに関しては、厚手で縫い目が密な素材、色は黒いほうが紫外線をカットできるけれど、暑さ対策を考えると現実的ではないかも。最近は通気性がよく、UVカット機能もあるようなマスクが続々と登場しているので、試してみるのもよさそう。
マスク生活はこれからもしばらくは続きそうなので、なるべくトラブルを起こさないようにしっかり対策をしよう。
教えてくれた人
慶田朋子さん
銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会レーザー専門医。東京女子医科大学病院皮膚科、聖母病院皮膚科、などで勤務したのち、2011年に現クリニック開設。最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、「切らないハッピーリバースエイジング」を叶える美容皮膚科医として多くの患者から厚い信頼を得ている。皮膚の働きや美肌に役立つスキンケア、生活習慣などのわかりやすい解説が好評。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)、『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。
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WRITING/AKIKO NAKADERA