痛みが強い人は、血のめぐりをよくすると症状がやわらぐ
ひとくちにPMSといっても、その原因は人によってさまざま。東洋医学では、特に気になる症状から、PMSを引き起こす主な原因と対処法を知ることができるのだそう。
例えば、下腹部の痛みや頭痛などの痛みが激しいタイプは、血のめぐりが悪いことがPMSの主な原因。このタイプは少し体を動かすと、血のめぐりがよくなって症状が軽くなる傾向があるという。
「エスカレーターを使わずに階段を使うなど、日常生活の中で体を動かす習慣を取り入れるだけで、痛みが楽になるでしょう」(山口さん)
このタイプにおすすめの食材は、タマネギ、長ネギ、ラッキョウ、ニンニクなど。これらの食材の辛味や刺激が、血のめぐりをよくするのだとか。特に、排卵以降(月経開始の約2週間後)から月経までの期間に意識的に取るのが効果的。
「漢方薬で対処するなら、『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』を。下半身の血のめぐりをよくする作用があり、子宮内の血流をよくすることで症状の緩和に役立ちます」(山口さん)
月経前にイライラする、過食や拒食になる人は気が滞っているかも
イライラ感が強い、胸やおなかが張る、ストレスで過食や拒食になる、体重の増減が激しい・・・こうした症状が目立つ人は、気のめぐりが悪いタイプ。ストレスが多い人や忙しい人によく見られるのだとか。
気のめぐりをよくするには、意識的に深呼吸をすることが大切。また、全身を伸ばすストレッチなども効果的なのだそう。
「ヨガもいいのですが、日本人なら誰もが知っているラジオ体操は、呼吸を意識しながら全身をストレッチできる手軽な方法なので、とてもおすすめです」(山口さん)
このタイプは、忙しいときやストレスを感じたときに、ミントティーや柑橘系のお茶などを飲むと効果的。すっきりした香りが、気のめぐりをよくしてくれる。また、パクチーやレモングラスなどの香草類も積極的に取って。
「イライラ感や熱感が強い場合は、『加味逍遙散(かみしょうようさん)』という漢方薬を試してみては。不要な熱をとり、気のめぐりをよくして症状を軽くしてくれます」と、山口さん。
気分の落ち込みや疲れが気になる人は血の不足がPMSの原因
月経前になんとなく気分が沈みがちになる、疲れやすくなるという人は、血が不足しているために血のめぐりが悪いタイプかも。川の水が少ないと流れが悪くなるように、血の量が少ないとめぐりも悪くなるのだそう。
「このタイプは貧血で虚弱体質の傾向があるので、月経前は無理をせず、しっかり睡眠をとって体を休ませることが大切です。特に胃腸を休ませるように意識するといいでしょう」(山口さん)
貧血の人はお肉を食べたほうがいい、と思われがちだけど、焼肉のような脂っぽい肉料理は胃腸に負担をかけるため、あまりおすすめできないとか。鶏手羽先のスープなど、油分を控えた胃腸に負担のかからない料理でホウレンソウや小松菜なども一緒に取ると、血の不足を補ってめぐりをよくする効果が期待できる。
「漢方薬で対処するなら、『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』です。血の不足を補う代表的な処方で、ふらつきや疲れ、むくみなどの解消に役立ちます」(山口さん)
痛みを抑えることに特化した西洋薬と違い、薬膳や漢方薬は体質を改善してPMSを緩和するのに役立つもの。この違いを理解して、上手に使い分けて。
教えてくれた人
山口りりこさん
薬剤師、国際中医師、国際薬膳師。銀座の薬膳レストラン「kampo’s」プロデューサー。星薬科大学にて薬剤師免許を取得し、遼寧中医薬大学にて国際中医師、国際薬膳師を取得。漢方薬局勤務をへて、現在は薬膳レストランの監修をメインに商品開発やエステのメニュー監修などに携わっている。監修する手帳『月・薬膳・ヨガでどんどんきれいになる! 月美容手帳2019』(エイアンドエフ)がロフト銀座店ほか全国書店で発売。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO