お風呂の温度とつかる時間の違いが、肌の潤いの差に!
お風呂に入ると「肌がしっとりする」と感じる人は多いはず。ところが、それは入浴直後の一時的なもので、時間がたつほど肌は乾燥してしまうのだそう。特に入浴後の肌の乾燥は湯温と深い関係があり、42℃以上のお湯に入浴すると肌の乾燥を強めてしまうというから、注意が必要。
「38℃と42℃それぞれのお湯に入浴してから、60分たった後の角質層の水分量を測定したところ、42℃のお湯に入浴した場合のほうが肌が乾燥していることがわかりました。これは、熱いお湯ほど肌の保湿成分が溶け出しやすいことを意味しています。肌の潤いを守るためには、湯温を40℃以下におさえるといいでしょう」(早坂さん)
また、長風呂は美容にいいイメージがあるけれど、長風呂になるほど角質層の保湿成分であるセラミドがお湯に溶け出してしまうのだとか。肌の乾燥を防ぐには、お風呂につかる時間を15分以内にして。1日に何度も入浴することも、肌の乾燥につながるので控えよう。
石鹸やボディソープで体を洗うのは2~3日に一度で十分
お風呂に入ったら体を洗うのは当たり前だと思うけれど、実はこれも肌によくない場合が。石鹸やボディソープ、シャンプーなどに含まれる「界面活性剤」には油分を溶かす作用があるため、使い方を間違えると肌に必要な皮脂やセラミドまでも洗い流してしまい、乾燥肌の原因となるのだそう。
そのため早坂さんは、「石鹸やボディソープで毎日体を洗う必要はありません」と話す。
「たいていの体の汚れは、お湯だけで落とすことができます。体を洗ったときに出てくる垢とは無理やりはがした角質層であり、大事な皮膚の一部なのです。頭部、顔、陰部、背中の上部、足の指の間、脇などの皮脂腺の多い場所や、においや汚れの気になる場所は毎日洗ってもいいのですが、それ以外の場所を石鹸やボディソープで使うのは2~3日に一度でOK。それもタオルなどでゴシゴシこするのではなく、肌の表面を泡でやさしくなでる程度で十分です」(早坂さん)
なお、入浴後10分までは入浴前より皮膚の水分量が多く、それ以降はどんどん乾燥してしまうので、保湿ケアは入浴後10分以内に行うことを習慣にしよう。
肌をしっとりつやつやにする入浴剤の選び方
バスタイムを心地よく過ごすのに欠かせない入浴剤。水道水をそのままわかしたお湯だと肌への刺激が強いため、刺激をやわらげるためにも入浴剤を入れるのがおすすめだと、早坂さん。
入浴剤の種類はさまざまで、硫酸ナトリウムや硫酸マグネシウムなどのミネラル類を多く含む「無機塩類系」、泡の出る「炭酸ガス系」、生薬類を含む「薬用植物系」、洗浄効果のある「酵素系」、保湿成分を多く含む「スキンケア系」などがある。このうち、美肌をめざすならスキンケア系入浴剤がおすすめで、選ぶ場合は次のような保湿成分を多く含んでいるかどうかチェックしてみて。
・保湿成分
ホホバ油、液状ラノリン、グリセリン、カゼイン、ステアリルアルコール、オリーブ油、大豆油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、脱脂粉乳、スクワラン、 海藻エキス、ハチミツ、ポリエチレングリコール、コメ胚芽油など
「保湿成分の代表格であるホホバ油入り入浴剤を入れたお風呂と、含まない入浴剤を入れたお風呂に入り(41℃で5分間の入浴)、それぞれの皮膚水分量を比較したところ、入浴後30分、60分、90分、120分のいずれの場合もホホバ油入り入浴剤の場合の皮膚水分量が約2倍多かったのです。これは、ホホバ油が角質層を保護して皮膚の水分が蒸散するのを防いでいるため。スキンケア系入浴剤の保湿成分には、このような効果が期待できます」(早坂さん)
お風呂の温度、つかる時間、洗い方に入浴剤の選び方。医学的に正しいスキンケア入浴法で、潤い肌をめざしてみて。
教えてくれた人
早坂信哉さん
温泉療法専門医、博士(医学)、東京都市大学人間科学部教授。一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長、一般社団法人日本銭湯文化協会理事、日本入浴協会理事。生活習慣としての入浴を医学的に研究する第一人者。メディア出演も多数。 著書に『最高の入浴法』(大和書房)、『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)、『入浴検定 公式テキストお風呂の「正しい入り方」』(日本入浴協会/共著)がある。
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WRITING/TOMOKO OTSUBO