食材の「陽性」「陰性」のイメージを知っておくと、必要以上に体を冷やさない工夫ができる
暑さに火照った体をクールダウンするために、夏は冷たい飲み物をつい多く飲んでしまいがち。体を冷やすとよくないというけれど、体を冷やしてしまう飲み物ってどんなものなの?
「東洋医学では、食べ物を「陽性」と「陰性」に分けて考えています。「陽性」の食べ物は体を温め、「陰性」のものは冷やすと言われています。これを頭に入れておくと便利かもしれませんね」と柴田さん。
考え方によって差異はあるが、体を冷やすと言われている果物の中でも寒い地域でとれるリンゴやサクランボなどは体を温め、温かい南の地でとれるもの、例えばバナナやキウイなどは体を冷やすとされるそう。また、白や緑といった寒色系の食べ物は体を冷やし、赤やオレンジの暖色系や黒砂糖・黒豆など黒っぽいものは体を温めると言われるんだとか。ついたくさん飲んでしまう飲み物でも、「南国でのフルーツより、北国のリンゴにしよう」「白い牛乳より赤いニンジンジュースにしよう」など、色や産地のイメージを持っていると、体を必要以上に冷やさないために役にたってくれそう。
冷たいドリンクは体を冷やす。常温で飲む、白湯を間にとる、ショウガを加えるなど、冷やしすぎない工夫を
では具体的に、体を冷やしやすいので気を付けたほうがいい飲み物って?
「果物は全般的に体を冷やす働きを持つものが多く、これを冷たくして作るスムージーなどは飲みすぎると体を冷やします。氷を入れずに、果物はリンゴなど冬が旬のものを選んだり、夏野菜以外の野菜を入れるのもおすすめ。すりおろしたショウガを入れると、より体を冷やしすぎずにすみます」と柴田さん。ビタミンを補給できると女性に人気のスムージーだが、内容の選び方を工夫すれば、もっと体に優しくできるよう。
「また、砂糖入りの飲み物(スポーツドリンクや清涼飲料水など)も体を冷やしやすいです。ビールやハイボールのお酒なども、少量なら血行がよくなるのですが、飲みすぎはよくないですね。適量を、白湯など温かいものと一緒にいただくようにしたいもの。とにかく冷たく冷やしすぎた飲みものは、なんであれ大量に摂りすぎないように気を付けてほしいですね」(柴田さん)。
発酵系のお茶や甘酒は冷えやすい夏におすすめ。無理せず上手に飲み物と付き合おう
逆に体を温めてくれる飲み物とは?
「やはり温かい飲み物は体を温めます。さらに同じお茶でも、緑茶より発酵している紅茶やほうじ茶のほうが体を温める働きがあります。また、甘いものが飲みたくなったら、甘酒がおすすめです。体を冷やす砂糖ではなく、自然の甘味であるうえ、ビタミンB群なども豊富で代謝も高めてくれます。冷たくせずに常温か温めて、レモンを入れてさっぱりいただくのもおすすめです」と柴田さん。
また、お酒を飲むならホットワインもおすすめだそう。お酒の中ではワインは体を冷やす効果が少ないと言われるうえ、シナモンやカルダモンなどのスパイスも血行を促進してくれる。
「でも、体を冷やす陰性の飲み物は、おいしかったり、ホッとするものも多いですよね。完全にNGなのではなく、体が火照った日中など体を冷やしたいときは飲み、体が冷えているときや寝る前などは避けるなど、飲むタイミングも考えて、上手に付き合っていきましょう」(柴田さん)。
教えてくれた人
柴田真希さん
管理栄養士、料理家。漢方養生指導士などの資格も持つ。お料理コーナーの番組出演をはじめ、各種媒体でレシピ・コラムを掲載、食品メーカーや飲食店のメニュー開発やプロデュースに携わるなど多方面で活躍。著書に『私は「炭水化物」を食べてキレイにやせました』(世界文化社)など多数。
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WRITING/HIROKO KUROKI