低用量ピルを使用したことがある人は約2割
オズモールのアンケートによると、低用量ピルを服用したことがある人は、約2割。目的は「生理痛の軽減」が最も多く、ほかには「生理不順の改善」「避妊」「PMSの軽減」などが多かった。服用後の体の変化は、「生理周期が安定した(51%)」「生理痛が軽減した(43%)」「生理周期を変更できた(22%)」「PMSが軽減した(19%)」といった声が多かったけれど、「吐き気・頭痛が起きた」という人も約15%いた。
一方、低用量ピルを使用したことがない人は、その理由として「副作用が怖いから」という人が約4割と多数。そのほか「お金がかかる」「毎日同時刻に薬を服用するのが難しい」という声もあった。
避妊や月経トラブルのほか、貧血やニキビも改善
ピルとは卵巣から分泌されている卵胞ホルモン、黄体ホルモンと同じものが化学合成されたもの。ピルを服用すると、脳が排卵後のホルモンの状態だと認識し、排卵を止める働きがかかる。
現在は卵胞ホルモンの含有量が少ない低用量ピルが主流で、避妊だけではなく、生理周期が整う、生理痛が軽くなる、経血量が減る、子宮内膜症が改善するといった効果があるんだそう。さらに貧血やニキビが改善される場合も。長期に服用した場合は、卵巣がん、子宮体がん、良性の乳房疾患、骨粗しょう症、大腸がん、関節リウマチの発症を減らすこともわかっているんだとか。
また、服用をやめればほとんどの人が3カ月以内に排卵が再開して、妊娠可能な状態に。
ピルは市販薬ではないので手に入れるには、医師の処方箋が必要。婦人科で処方してもらうのが基本だけど、その場合は内診もするの?
「内診なしでも処方は可能です」
そう話すのは婦人科医の上田弥生さん。
「ただし内診を含めた婦人科的な診察を受けることにはメリットもあり、症状によっては内診が必要なので、受診した際に希望を伝えたうえで相談してみてください」
飲み始めは吐き気や胸の張りがあることも
アンケートでも多くの人が気になっていたのが、副作用のこと。
「ピルは薬なので、ほかの薬と同じように副作用が出る方もいます。薬はメリットとデメリットを比較して、メリットのほうが大きいと判断したときに飲むものです」(上田さん)
副作用には大きく分けて、日常的に起こるマイナートラブルとごくまれだけれど危険なトラブルがある。マイナートラブルは飲み始めの時期に出やすく、吐き気、胸の張り、頭痛、不正出血などで、3カ月以内におさまることが多いそう。
一方の危険なトラブルとは、血管内に血のかたまりができる血栓症のこと。1万人のうち1年間で血栓症を発症するリスクは、ピルを飲んでいない人で1~5人、ピルを飲んでいる人で3~9人。妊娠中は5~20人、産後12週以内だと40~65人とリスクが上がる。
「既往歴、体重、年齢、喫煙の有無などを聞く問診票などから、ピルを処方できないと判断されることもあります。リスクが高い方は飲み始めてから3カ月は、注意しながら過ごしていただき、もし症状が出たらすぐにピルの服薬を中止して受診が必要です」(上田さん)
血栓症は治療で治ることがほとんどだけど、一度血栓症になった場合は、その後は違う形での避妊や治療法に変更となる。
「ピルに関する間違った情報を信じてしまい、偏見や誤解を持っている方が多くいます。正しい情報は、自分でも調べることができますし、受診した際に資料をもらったり説明されたりして得ることができます。そのうえで飲んでみようと思った方は、飲んでみてはいかがでしょうか? 上手に使いこなせば、生活が快適で、便利になりますよ」(上田さん)
教えてくれた人
上田弥生さん
産婦人科医。不妊治療、一般婦人科治療に携わる。はるねクリニック銀座、天現寺ソラリアクリニックなど複数のクリニックで診療を行う。漢方やアロマをとり入れたセルフケア法にも詳しい。著書に『オトナ女子のためのスメらない手帖』(主婦の友社)。
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WRITING/AKIKO NAKADERA