Q.デリケートゾーンのニオイの原因は?普段のケアはどうすべき?
「デリケートゾーンのニオイの原因として対策が必要なのは、主に外陰部です」と、婦人科医の中村先生。おりもの自体は、菌を殺菌するために酸性になっており、酸っぱいようなニオイがするのは普通のことだそう。外陰部は汗をかきやすく、ナプキンやおりものシートで蒸れやすい部分。また、女性の外陰部は構造上、汚れがたまりやすいので、きちんと洗えていないと気になるニオイの原因に。普段から外陰部をお湯(シャワー)で洗い清潔に保つように心がけて。デリケートゾーン専用のソープを使用するのもOK。
ちなみに外陰部というのは、恥丘(Vラインのふくらみの部分)、大陰唇(Iラインのキワのふにふにした感触の部分)、大陰唇の内側にある左右一対の小陰唇などで構成されている部分のこと。お手入れの際は、クリトリスのキワや、小陰唇の手前のくぼみのライン、肛門の周りを丁寧に洗おう。ただし、くれぐれも膣内まで洗浄しないように気をつけて! 膣内まで洗浄してしまうと、膣内環境を良好に保つ菌が減ってしまい、細菌性腟症の原因に。
Q.デリケートゾーンにかゆみが。原因と対策を教えて!
かゆみの原因としては、大まかに「かぶれ」と「感染症」が挙げられる。外陰部は蒸れやすく皮膚も弱いので、下着や洋服、生理用品などの刺激でかぶれやすい。かぶれの場合には、かゆみ止めや保湿剤などで治療することが可能。
また、感染症のなかで頻度が高いのは膣・外陰のカンジダ。カンジダは健康な人でも持っている真菌だけれど、免疫力が低下すると菌が増殖して、おりものの異常やかゆみを引き起こすそう。「酒粕のような白や黄色のおりものが出るのが特徴です」と中村先生。デリケートゾーンのカンジダは膣錠や専用の塗り薬で治療していく。
そのほかには、性感染症のトリコモナス(原虫の一種)も強いかゆみが出る。外陰部を清潔に保っていてもかゆみがある場合には婦人科で検査してもらおう。
Q.デリケートゾーンにニキビのようなものが。できものの正体とは?
「外陰部はなかなか自分で確認しにくく、これ何だろう!?と心配になりますよね」と共感を寄せてくれた中村先生。デリケートゾーンにできものができる病気の代表例として、毛嚢炎、ヘルペス、コンジローマ、梅毒を挙げてくれた。
毛嚢炎は毛穴の炎症なので、抗菌薬や軟膏で治療でき、人から人へうつることはない。性交渉をしていない場合はこちらのケースがほとんど。
一方で、ヘルペスやコンジローマ、梅毒は性交渉によって感染する性感染症。ヘルペスはデリケートゾーンにピリピリした痛みと違和感を伴うのが特徴だそう。これらは放置すると増悪する可能性があり、また、性交渉によってほかの人を感染させてしまうリスクもあるので、早めに受診するようにして。
Q.おりものの量が多いのは病気?一般的に、おりものの量はどのくらいが普通なの?
おりものは、子宮・頸管・膣・外陰部から出た分泌物のこと。菌の侵入を防ぐ働きがあり、女性の体にとって非常に重要な役割をしている。
おりものの量には個人差があるので具体的に何ccとは言えないけれど、おりものの量が多いからといって病気とは限らない。「下着に付く程度や、おりものシートにおさまる量であればまったく問題ありません」というから、この記事を読んでいる多くの人はちょっと安心したはず。
また、20~30代は他の年代と比較して量が多めとのこと。そのほか、排卵期にはホルモンの影響でおりものが増える。「おりものは女性の体に必要な働きをしているので、ある程度の量が出るのは普通のことなのです」と中村先生。経血に比べるとやや地味な存在のおりものだけれど、これからは見方が変わりそう!
注意したいのは、急に量が増えたり、いつもより黄色い、またはかゆみやニオイを伴う場合。普段と様子が違う場合には、感染症の可能性もあるので、婦人科を受診するのがおすすめ。
Q.1カ月に2回も生理。生理周期が短くて心配!
女性としてぜひ覚えておきたいのは、通常の生理周期は25~35日ということ。24日以内に次の生理が始まることを「頻発月経」という。頻発月経の原因としては、無排卵周期、黄体機能不全、卵巣機能の低下などがあるという。
中村先生は「人間の体は完璧ではないので、ストレスやホルモンの乱れなどにより短い周期で生理が来ることもある」としながらも、「毎月または高頻度で頻発月経を繰り返す場合には、何かしらの原因が隠れていることもある」と教えてくれた。
頻発月経は、年齢や原因によって治療法が異なるそう。また、生理だと思っていた出血が、じつは妊娠やガンに伴う出血だという場合もある。生理周期が短い場合には、自分の体を注意して観察したり、基礎体温をつけたりして、婦人科を受診するようにしよう。
教えてくれた人
中村はるねさん
銀座に婦人科クリニックを開業して20年以上。丁寧な診察はもちろん、患者の小さな不安にも寄り添い応えてくれる。クリニックには毎週火曜日と第4土曜日は東西洋の漢方医がおり、漢方処方なども可能で、1人ひとりに合った提案をしてくれるのが魅力。
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WRITING/ATSUKO HABU